「音楽をかけてあげたいけれど、どんな曲を選べばいいの?」「童謡じゃないとダメなの?」・・・そんな疑問を抱えている親御さんは少なくありません。0〜3歳の時期は、耳や脳がぐんぐん育つ大切な時期。だからこそ、音楽の選び方に悩んでしまうのは当然のことです。この記事では、月齢や発達段階に合わせた音楽の選び方から、童謡・わらべうたの活かし方、聴かせるときの注意点まで、育児の現場で役立つ情報をまとめました。難しく考えず、親子で音楽を楽しむヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。
子どもに音楽を聴かせる効果とは
そもそも、なぜ子どもに音楽を聴かせることが良いとされているのでしょうか。
まずは基本的な効果を知っておくことで、音楽選びの軸がぶれにくくなります。
聴覚と言語能力の発達をサポート
音楽と言葉の発達には深い関わりがあると考えられています。
幼児のうちから音楽に触れることで、言葉を聴き取る能力が育って、言語能力の発達に良い影響を及ぼすとされています。
さらに人間の聴覚は4~5歳くらいの時期に最も発達すると言われており、この頃にたくさんの音楽を聴く、歌う、演奏するなどの経験を重ねることで、脳の聴覚野の神経細胞の数が多くなると判明しています。
また、音楽能力と言語能力の関係については研究も進んでいます。
音楽に注意を向けて聴く経験を積み重ねると、言語音声を聴くことも得意になるという報告があり、4〜5歳児を対象とした研究では、音楽を聞き取る力と言語能力にかかわりが見いだされています。
こうした背景からも、幼少期の音楽経験は言葉の土台づくりにつながる重要な要素だといえるでしょう。
親子の絆を深めるコミュニケーション
音楽は知育の面だけでなく、親子のスキンシップという役割も持っています。
0歳児が音楽に触れる上でいちばん大切なことは「心地よさ」であり、赤ちゃんは無条件に「ママの声」に心地よさを感じます。
つまり、上手に歌えるかどうかよりも、親が声をかけながら一緒に楽しむ姿勢そのものが、子どもにとって何よりの音楽体験になるのです。

月齢別に見る音楽の選び方の基本
音楽の選び方は、子どもの発達段階によって少しずつ変えていくのがポイントです。
ここでは0歳・1歳・2〜3歳の3つの時期に分けて紹介します。
0歳児:心地よさを重視した音楽選び
新生児期から生後半年ほどは、まだ音楽に反応を見せない時期です。
しかし赤ちゃんは生後5か月〜6か月ごろから、音楽に合わせて体を揺らすなど反応し始め、妊娠8か月ごろからお母さんのおなかの外の音まで聞こえていると言われています。
つまり耳は生まれる前からすでに発達しているため、反応がなくても音楽はしっかり届いています。
この時期は、優しく穏やかなメロディーや、ママ・パパの生の歌声を中心に選ぶのがおすすめです。
1歳児:体を動かせる曲を取り入れる
1歳前後になると、体の発達とともに音楽への関わり方も変化します。
1歳を過ぎると音楽に合わせて歌ったり、おもちゃの楽器で音を出したりすることができるようになり、初めのうちは音階もあいまいですが、言葉の習得に並行して、メロディーを追ったりリズムをとったりできるようになります。
この時期は、繰り返しのフレーズが多く、体を揺らしたくなるようなリズミカルな童謡やわらべうたを選ぶと良いでしょう。
2〜3歳児:歌詞やストーリーのある曲へ
2歳を過ぎると、言葉の理解力がぐっと伸びていきます。
2歳になる頃には、体を動かすだけでなく、音楽に合わせて歌い始められるようになることもあります。
また、1歳ごろになると幼児は自作の歌を作ることがあり、これまでに聴かせてきた歌が自作の歌に大きく影響を与えるため、よりたくさんの音楽を聴かせて音階、リズム、歌詞などを刷り込んでいくことが大切です。
この時期は、季節の行事や動物、食べ物など身近なテーマを描いた童謡を取り入れると、言葉の世界がさらに広がります。

童謡が子どもの音楽選びに向いている理由
数多くの音楽ジャンルの中で、なぜ童謡が0〜3歳の子どもに向いているのでしょうか。
ここではその理由を掘り下げます。
繰り返しとシンプルな旋律が学びやすい
童謡は、子どもの発達段階に合わせて意図的に作られている点が最大の特徴です。
童謡は、大人の作曲者・作詞者によって作られた歌で、子供たちの情操教育を目的としています。
シンプルな旋律や繰り返しの多い構成は、小さな子どもでも覚えやすく、自然と口ずさめるようになっています。
わらべうたとの違いを知っておこう
童謡と混同されやすいのが「わらべうた」です。
わらべうたは生活の中で生まれ、子供たちによって口伝えされてきたものであり、意図的に作ったものではありません。
わらべうたには、くすぐりや手遊びなど身体的な触れ合いを伴うものが多く、「いっぽんばし こちょこちょ」とくすぐりながら触れ合うことで、子どもに安心感や信頼感を与えるという特徴があります。
研究の分野でも、わらべうたの発達への影響は多角的に検討されています。
わらべうたと子どもの発達との関係については、身体的発達、言語の発達、社会性の発達、心の発達など、多くの研究がなされてきました。
童謡は言葉や情操を育てる目的が強く、わらべうたは触れ合いや自然な感性を育む側面が強いと考えると分かりやすいでしょう。
どちらも優劣ではなく、場面によって使い分けるのがおすすめです。

クラシックやヒーリング音楽の活用法
童謡以外の音楽も、場面によって上手に取り入れることができます。
特にリラックスさせたい時間帯には、別ジャンルの音楽が役立つこともあります。
寝かしつけや落ち着きたい時間に
クラシックやヒーリング音楽は、大人と同じでリラックスさせる効果があり、子供の寝つきが悪かったり、泣き止まなかったりするときに聴かせてみるのも一つの方法です。
ただし、かつては「クラシック音楽」が特に効果的だといわれていた時期もありましたが、現在ではクラシック音楽だけでなく、そのほかの音楽であっても赤ちゃんの知育に効果的だといわれています。
特定のジャンルにこだわりすぎず、親子が心地よいと感じる音楽を選ぶことが大切です。
ジャンルにとらわれすぎない柔軟さ
「この音楽でなければいけない」という思い込みは、育児のプレッシャーになりがちです。
テレビのCMや家事をしながら口ずさむ好きな曲など、日常にある音楽をそのまま親子の時間に取り入れるだけでも、十分な音楽体験になります。
大切なのは、音楽そのものよりも、それを親子で共有する時間だという視点を持つことです。
音楽を聴かせる際の注意点
効果ばかりに注目していると、つい見落としがちになるのが安全面や環境への配慮です。
ここでは2つのポイントを紹介します。
音量と再生時間に気をつける
警告:赤ちゃんの耳は非常に繊細なため、大きな音量で長時間音楽を流し続けることは避けましょう。
スマートフォンやスピーカーで音楽を流す際は、会話ができる程度の音量を目安にし、赤ちゃんが泣いたり不快そうな反応を見せたときは、一度音楽を止めて様子を見ることが大切です。
「聴かせすぎ」による影響にも配慮を
警告:音楽は良い効果がある一方で、常に音が流れている環境は、静かな時間や親の声を聞き取る機会を減らしてしまう可能性があります。
1日中BGMのように流し続けるのではなく、静かな時間と音楽の時間を意識的に分けることで、子どもが様々な音に耳を傾けられるようになります。
年齢別おすすめの取り入れ方
ここまでの内容を踏まえ、実際の生活の中でどのように音楽を取り入れていけば良いか、具体的な場面別に紹介します。
お風呂・食事・お着替えの時間に
生活の節目に決まった歌を歌うと、子どもが「次は何をする時間か」を理解しやすくなります。
例えば、お風呂の前に決まったフレーズを歌うことで、切り替えがスムーズになるという声も多く聞かれます。
生活リズムと音楽をセットにすることは、日々の育児をぐっと楽にしてくれる工夫です。
お出かけ・車移動の時間に
ベビーカーや車移動の際は、親子で一緒に歌える童謡や手遊び歌が活躍します。
1歳を過ぎたころには大人の動きをまねて体を動かすことができるようになり、リズムに合わせて体を揺らしたり、簡単な手遊び歌などを楽しんだりします。
移動時間を親子のふれあいタイムに変える良いきっかけになるでしょう。
リトミックや音楽教室の活用
自宅だけでなく、リトミック教室などのプログラムを活用するのも一つの選択肢です。
0歳クラスの赤ちゃんは、まだ自分で自由に動くことはできませんが、周りの音をよく聞いており、優しい音楽を聴かせたり、ママやパパに抱っこされながら体を揺らしたりすることで、安心感と心地よさを感じることができます。
親子で一緒に参加できるプログラムを選ぶと、家庭での音楽の取り入れ方のヒントも得られやすいためおすすめです。
よくある疑問と気をつけたいポイント
最後に、音楽の選び方に関して親御さんからよく寄せられる疑問について触れておきます。
YouTubeやアプリで聴かせても良いのか
近年は動画配信サービスやアプリを通じて童謡を聴かせる家庭も増えています。
親が積極的に動くことが大事であり、親が歌を歌う、おもちゃの楽器を鳴らす、CDやYouTubeで曲をかけるなどの方法があります。
映像に頼りすぎず、時には画面を見せずに音だけを流す、一緒に歌う時間を作るなど、視聴方法を工夫すると良いでしょう。
楽器を習わせるタイミングはいつが良いか
音楽好きな子どもを見ていると「早く楽器を習わせたい」と思う親御さんもいるでしょう。
しかし1〜3歳くらいまでは手の腱が未発達であるため、その時期に楽器を習わせると手を傷めてしまう可能性があり、まずは1〜2歳くらいから、自宅などで楽器を使わせずに音楽に触れさせるのが良いとされています。
焦って楽器を習わせるよりも、まずは音楽を楽しむ土台を作ることが優先です。
まとめ
子どもの音楽選びに、正解はひとつではありません。
0歳の頃は心地よさを、1歳を過ぎたら体を動かせるリズムを、2〜3歳になったら歌詞やストーリーを楽しめる曲を、というように発達段階に合わせて少しずつ選び方を変えていくことが大切です。
童謡は言葉や情操を育て、わらべうたは触れ合いを通じた安心感を与えてくれます。
どちらも良さがあるので、無理に一方に絞る必要はありません。
何よりも大事なのは、親御さん自身が音楽を楽しむ気持ちです。
上手に歌えなくても、子どもは親の声に安心感を覚えます。
日々の生活の中に少しずつ音楽を取り入れながら、親子で楽しい時間を積み重ねていってください。
