お風呂の安全ルール | 子どもの溺水を防ぐ習慣

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「うちの子はまだ小さいから、お風呂で目を離しても大丈夫」・・・そう思っていませんか。実は、子どもの入浴中の溺水事故は、私たちが想像しているよりもずっと身近な場所で、ほんの数分の間に起きています。しかも、溺れている子どもは大きく水をかいたり大声で助けを求めたりせず、静かに沈んでいくことが多いため、そばにいても発見が遅れてしまうケースが少なくありません。

この記事では、消費者庁や厚生労働省の公的データ、小児科医の調査結果などをもとに、なぜお風呂で子どもの事故が起きやすいのか、そしてどうすれば防げるのかを、今日からすぐに実践できる形でまとめました。難しいルールを覚える必要はありません。ちょっとした習慣の見直しで、お風呂の時間を親子の大切なスキンシップの時間に変えていきましょう。

子どもの入浴事故はなぜ起こるのか

まずは、なぜお風呂での事故が繰り返し起きてしまうのか、データから実態を見ていきましょう。
感覚的な「気をつけよう」ではなく、事実を知ることが最も効果的な予防策の第一歩になります。

0~1歳に集中する溺水事故の傾向

消費者庁が厚生労働省の人口動態調査と医療機関ネットワーク事業の事故情報を分析した結果、子どもの中でも0~1歳の入浴中の溺水事故が最も多いことがわかっています。
子どもの入浴中の溺水事故は入院が必要と診断されている事故が半数以上で、死亡事故も発生しているという報告もあり、決して他人事ではない数字です。

さらに詳しいデータを見ると、家庭で発生した溺水事故のうち0歳と1歳での事故は55件と多く、そのうち約6割の34件が保護者等が目を離している間に発生しています。
目を離した状況をさらに細かく確認すると、入浴中に保護者等が目を離した52件の事故のうち「子どもを残して浴室を出る」状況が21件と最も多く、保護者が子どもと一緒に入浴していても洗髪などにより目を離してしまう状況が16件と続いていることも報告されています。

年齢が上がるとリスクの中身も変わっていきます。
年齢別に見ると、0歳~1歳では浴槽での溺水、より活動的になる5歳以上では自然水域での溺水事故が最も多く発生しており、浴槽での溺水事故は5歳以上でも多く発生しているとされており、お風呂での注意は乳児期だけで終わるものではないという点も覚えておきたいポイントです。

洗面器やおもちゃが置かれた浴室で、赤ちゃんが浴槽の縁に手をかけて立っている様子を後ろから見守る母親

「静かに溺れる」子どもの特徴

小児科医による調査でも、この「音のない溺水」の実態が指摘されています。
子どもが、ママやパパと入浴中に家庭のおふろで溺れる事故は意外と多く、厚生労働省の人口動態統計によると交通事故以外の不慮の事故による死亡原因として溺水は4歳以下で2位、5~14歳は1位とされています。
子どもは水を飲んでもむせて泣くというより、体が沈んでいく間に声を出す力を使い切ってしまうため、周囲が異変に気づきにくいのです。
「静かだから安心」ではなく「静かだからこそ危険」という意識を持つことが重要です。


お風呂で命を守る5つの基本ルール

ここからは、消費者庁が推奨する具体的な行動をもとに、今日から実践できる基本ルールを紹介します。

目を離さない・そばを離れない

浴槽に子どもを残して浴室を離れることは、最も事故につながりやすい行動の一つです。
タオルを取りに行く、着替えを準備する、といったほんの数十秒の間でも、水深が浅くても事故は起こり得ます。
実際にわずかな水深でも事故が発生していることが報告されているため、「少しだけだから」という判断は避けましょう。

洗髪中は子どもを浴槽から出す

自分の洗髪中に子どもだけを浴槽に残してしまうことも、よくある事故のパターンです。
大人が洗髪する際には、子どもを浴槽から出しましょう。
浮き輪の使用中でも事故が発生しています。
という注意喚起が公式に出されている通り、浮き輪や補助具をつけているからといって安心はできません。
洗髪は子どもが湯船から出た状態で行うか、先に自分の洗髪を済ませてから子どもを入れるなど、順番を工夫しましょう。

入浴の順番は「大人が先、子どもが後」

浴室への出入りの順番も、事故防止のカギになります。
子どもは大人の後に浴室に入れ、先に浴室から出しましょう。
という原則を守ることで、子どもだけが浴室や浴槽に取り残される時間をなくすことができます。
子どもだけで入浴させないようにしましょう。
という点も、年齢が上がってからも意識したいルールです。


年齢別に気をつけたい入浴時のポイント

発達段階によってリスクの現れ方が変わるため、年齢に応じた対策を知っておくことが大切です。

0歳(ベビーバス期・浴槽デビュー期)の注意点

首がすわる前は寝た姿勢での入浴が中心ですが、少し目を離した瞬間に体勢が崩れることがあります。
ベビーバスから大人用の浴槽に移る時期は、環境が変わることで思わぬ動きをすることもあるため、移行期は特に慎重に見守る必要があります。

1~2歳(一人で座れる・つかまり立ちができる時期)の注意点

お座りや立っちができるようになると、浴槽の縁に手をかけて自分でよじ登ろうとする姿も見られます。
子どもが亡くなってしまう家庭内事故で最も多いのが、1歳では「浴槽での溺水」であり、厚生労働省の調査によると2016年から2020年の5年間で浴槽での溺水は131件、うち55件は0~1歳児の事故という結果が出ており、まさにこの時期の見守りが重要であることを示しています。

3歳前後(自分で動き回れる時期)の注意点

ある程度自分で体を動かせるようになると、保護者は「もう大丈夫」と感じやすくなりますが、油断は禁物です。
浴室内の床で滑って転倒したり、浴槽をのぞき込んでバランスを崩したりする事故も報告されています。
「自分で動けるようになった=安全になった」ではないことを、家族全員で共有しておきましょう。

バスマットの上に置かれたバスチェアと浮き輪、清潔感のある明るい浴室のインテリア


浮き輪やバスチェアなど育児アイテムの使い方

市販の入浴補助アイテムは便利ですが、使い方を誤ると事故のきっかけになることもあります。

首浮き輪のリスクと使用時の注意

首浮き輪は手軽に使えるアイテムとして人気ですが、浮き輪の使用中でも事故が発生していますという消費者庁の指摘の通り、装着していれば安全というわけではありません。
首の角度や体勢によっては、浮き輪の中で顔が水につかってしまうリスクもあるため、使用中も必ず保護者が手を伸ばせる距離で見守るようにしてください。

バスチェア・バスリングは「補助具」であることを忘れない

バスチェアやバスリングは、あくまで座る姿勢を補助するためのアイテムであり、監視の代わりにはなりません。
パッケージの対象年齢や使用方法をよく確認し、アイテムに頼りすぎず、常に大人の目が届く状態を保つことを最優先にしましょう。


事故を防ぐ浴室・脱衣所の環境づくり

行動面のルールに加えて、環境そのものを見直すことで、うっかりミスによる事故のリスクをさらに減らせます。

入浴後は浴槽の水を抜く習慣をつける

入浴後にすぐ水を抜けない場合でも、家族が知らないうちに子どもが浴室に入り込んでしまう可能性があります。
消費者庁の注意喚起でも「入浴後はお風呂の水を抜く」ことが具体的な対策の一つとして挙げられています。
残し湯を利用する家庭では、浴室のドアや浴槽のふたをしっかり閉め、子どもが一人で近づけない工夫をしましょう。

ベビーゲートや鍵で浴室への侵入を防ぐ

行動範囲が広がる1歳前後からは、脱衣所や浴室の入り口にベビーゲートを設置することも効果的です。
大人が気づかないうちに子どもだけで浴室に入り、浴槽に転落してしまう事故も報告されています。
ドアの開閉や鍵の管理を家族全員で共有し、「誰かが見ているはず」という思い込みをなくすことが大切です。

脱衣所の入り口に設置されたベビーゲートと、その横で遊ぶ幼児の様子


もしものときの応急対応と受診の目安

どれだけ気をつけていても、ヒヤリとする場面が起こる可能性はゼロにはできません。
もし子どもが水を飲み込んだ、顔が水につかっていたなどの場面に遭遇したら、まずは子どもを浴槽から出し、呼吸や意識の状態を確認しましょう。
咳が続く、顔色が悪い、ぼんやりしている、呼吸が苦しそうといった様子が見られる場合は、症状が軽く見えても医療機関で相談することをおすすめします。
肺に水が入ることで、時間が経ってから症状が現れることもあるため、「元気そうだから大丈夫」と判断せず、様子を見て気になる場合は早めに受診してください。


今日から始められるお風呂タイムの工夫

安全対策は、堅苦しい「ルール」として構えるより、日々の習慣に自然に組み込んでしまうのが長続きのコツです。
例えば、入浴前に「タオル・着替え・おもちゃ」を先に浴室の外に準備しておけば、洗い場を離れる必要がなくなります。
また、パートナーと「洗髪は交代で担当する」「片方が体を洗っている間はもう片方が子どもの近くにいる」といった役割分担を決めておくのもおすすめです。

お風呂は、親子で歌を歌ったり、今日あった出来事を話したりする貴重なコミュニケーションの時間でもあります。
安全対策をしっかり整えることは、その時間を心から楽しむための土台づくりだと考えると、日々の見守りも前向きに続けやすくなるはずです。


まとめ

子どもの入浴中の事故は、0~1歳を中心に、家庭という最も身近な場所で起こっています。
そしてその多くは、保護者がほんの少し目を離した瞬間や、洗髪などで注意が別のことに向いた瞬間に発生しています。
子どもは大人が想像するよりも静かに溺れてしまうため、「そばにいたから大丈夫」という思い込みは禁物です。

今回紹介した「目を離さない」「洗髪中は浴槽から出す」「大人が先に入り、後に出る」といった基本ルールに加え、浮き輪やバスチェアの正しい使い方、浴室の環境づくりを組み合わせることで、事故のリスクは大きく減らせます。
すべてを完璧にこなす必要はありません。
まずは家庭でできそうなことを一つずつ取り入れて、お風呂の時間を親子にとって安心で楽しいひとときにしていきましょう。

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