「うちの子、まだ言葉が少ないかも・・・」「どんな絵本を読めば言葉が増えるの?」そんな悩みを抱えているママ・パパは多いのではないでしょうか。
実は、0〜3歳は言語発達の黄金期と呼ばれ、この時期に触れる言葉の量と質が、その後の語彙力に大きく影響することがわかっています。そして、絵本の読み聞かせは、楽しみながら自然に語彙力を伸ばせる最も効果的な方法のひとつです。
この記事では、言語発達の観点から厳選した「語彙力を伸ばす絵本10選」を年齢別にご紹介します。単なるおすすめリストではなく、なぜその絵本が語彙力アップに効果的なのか、どのように読み聞かせれば効果が高まるのかまで詳しく解説していきます。
読み終わる頃には、今日から実践できる具体的な方法がわかり、お子さんとの絵本タイムがもっと楽しくなるはずです。
語彙力と絵本の深い関係とは
なぜ絵本が語彙力アップに効果的なのか
絵本が語彙力を伸ばすのに効果的な理由は、「絵」と「言葉」が同時に脳に入ってくるからです。
日常会話では、「りんご」という言葉を聞いても、必ずしも目の前にりんごがあるとは限りません。
しかし絵本では、「りんご」という言葉と同時に、赤くて丸いりんごの絵が視覚的に入ってきます。
この「言葉」と「イメージ」の同時入力が、子どもの脳に言葉を定着させやすくするのです。
また、絵本には日常会話ではあまり使わない表現や、豊かな形容詞・擬音語が登場します。「ふわふわ」「きらきら」「どんぶらこ」など、絵本特有の言葉に触れることで、子どもの語彙の幅が自然と広がっていきます。
読み聞かせの頻度と語彙力の関係
アメリカの研究では、毎日読み聞かせをしている家庭の子どもは、そうでない子どもと比べて、5歳時点で約140万語多く言葉に触れているという結果が出ています。
1日たった10分の読み聞かせでも、1年間続ければ約60時間になります。
この積み重ねが、語彙力の大きな差となって現れるのです。
ただし、大切なのは「量」だけではありません。
子どもが楽しいと感じながら聞いているかどうか、親子のコミュニケーションが生まれているかどうかも重要です。
義務感で読むのではなく、一緒に楽しむ気持ちで読み聞かせをすることが、語彙力アップの近道です。
年齢別に見る言語発達の特徴
絵本選びをする前に、年齢ごとの言語発達の特徴を知っておくと、より効果的な絵本選びができます。
0歳(0〜11ヶ月):言葉の意味はまだわかりませんが、音やリズムを楽しむ時期です。
ママ・パパの声を聞くことで、言葉の土台が作られていきます。
1歳(12〜23ヶ月):「ママ」「ワンワン」など、意味のある言葉が出始めます。
指さしをしながら「これなに?」と興味を示すようになります。
2歳(24〜35ヶ月):「語彙爆発」と呼ばれる時期で、急激に言葉が増えます。
2語文(「ママ、きて」など)も話せるようになります。
3歳(36ヶ月〜):3語文以上の複雑な文章を話せるようになり、過去や未来のことも表現できるようになってきます。
0歳児におすすめの語彙力絵本3選
1.『じゃあじゃあびりびり』まついのりこ作
0歳児の語彙力絵本の定番といえば、この一冊です。
1983年の発売以来、累計700万部を超えるロングセラーで、多くの赤ちゃんに愛されています。
「じどうしゃ ぶーぶーぶーぶー」「いぬ わんわんわんわん」など、身近なものの名前と擬音語がセットで登場するのが特徴です。
カラフルではっきりとした絵と、リズミカルな言葉の繰り返しが、赤ちゃんの興味を引きつけます。
読み聞かせのコツ:擬音語の部分は大げさに、楽しそうに読みましょう。「ぶーぶーぶーぶー」と言いながら車のおもちゃを動かすなど、実物と結びつけるとより効果的です。
2.『だるまさんが』かがくいひろし作
「だ・る・ま・さ・ん・が・・・」のあとに続く「どてっ」「ぷしゅー」「びろーん」などのユニークな展開に、赤ちゃんも大人も思わず笑顔になる絵本です。
この絵本が語彙力アップに効果的な理由は、「予測」と「裏切り」の繰り返しにあります。「次はどうなるかな?」と期待しながら聞くことで、言葉への集中力が高まります。
また、体の動きを表す言葉(どてっ、びろーん)を実際に体験することで、言葉の意味を体感的に理解できます。
読み聞かせのコツ:「だ・る・ま・さ・ん・が」の部分はゆっくり、ページをめくった後は勢いよく読みましょう。
一緒に体を動かしながら読むと、より楽しめます。
3.『もこもこもこ』谷川俊太郎作・元永定正絵
詩人・谷川俊太郎と抽象画家・元永定正がタッグを組んだ、不思議な魅力を持つ絵本です。「もこ」「にょき」「ぱちん」など、オノマトペ(擬音語・擬態語)だけで構成されています。
日本語は世界でも特にオノマトペが豊富な言語であり、オノマトペを多く知っていることは、表現力の豊かさにつながります。
この絵本は、そんなオノマトペの世界への入り口となる一冊です。
読み聞かせのコツ:言葉の響きを大切に、抑揚をつけて読みましょう。「もこ」は小さく、「もこもこ」は少し大きく、と声の大きさを変えると、言葉の意味が伝わりやすくなります。
1歳児におすすめの語彙力絵本3選
1.『きんぎょがにげた』五味太郎作
金魚鉢から逃げ出した金魚を探す、シンプルながら奥深い絵本です。「きんぎょがにげた」「どこににげた」という繰り返しのフレーズと、ページごとに変わる背景が、子どもの興味を引きつけます。
この絵本が1歳児の語彙力アップに効果的な理由は、「指さし」を促す構成になっている点です。「どこ?」と問いかけることで、子どもは金魚を探し、見つけたら指をさします。
この「探す→見つける→指さす」という行動が、言葉の発達を促進します。
読み聞かせのコツ:「どこににげた?」と聞いたら、子どもが見つけるまで待ってあげましょう。
見つけたら「すごい!みつけたね!」と大げさに褒めてください。
成功体験が、次への意欲につながります。
2.『くだもの』平山和子作
すいか、もも、ぶどう、なし・・・おいしそうな果物が、まるで本物のようにリアルに描かれた絵本です。「さあ どうぞ」というフレーズとともに、切り分けられた果物が差し出されます。
この絵本の魅力は、「丸ごとの果物」と「食べやすく切られた果物」が両方描かれている点です。
子どもは、見たことのある「丸ごとのすいか」と、実際に食べる「切ったすいか」が同じものだと学びます。
これは、物の名前と実体験を結びつける重要な学びです。
読み聞かせのコツ:読んだ後に、実際の果物を見せたり食べたりすると効果的です。「絵本と同じだね」と声をかけることで、言葉と実物のつながりが強化されます。
3.『がたんごとんがたんごとん』安西水丸作
汽車が「がたんごとん」と走りながら、哺乳瓶、コップ、スプーン、りんご、バナナ、猫、ねずみを乗せていく絵本です。「のせてくださーい」という繰り返しのフレーズが、子どもの心をつかみます。
この絵本では、身近な物の名前がたくさん登場します。
しかも、それらが「乗客」として擬人化されているため、子どもは親しみを持って言葉を覚えられます。
繰り返しの構造も、言葉の定着を助けます。
読み聞かせのコツ:「のせてくださーい」の部分は、子どもと一緒に言ってみましょう。
同じフレーズを繰り返すことで、自然と言葉が口から出てくるようになります。
2歳児におすすめの語彙力絵本2選
1.『ぐりとぐら』中川李枝子作・大村百合子絵
野ねずみのぐりとぐらが、森で見つけた大きな卵でカステラを作るお話です。
1963年の発売以来、世代を超えて愛され続けているロングセラーです。
2歳児にこの絵本をおすすめする理由は、ストーリーの中で自然に語彙が広がるからです。「ぼうし」「ながぐつ」「おなべ」「フライパン」など、日常で使う道具の名前が物語の中で登場します。
また、「かき混ぜる」「焼く」などの動詞も学べます。
注意:2歳前半のお子さんには少し長いかもしれません。
最初は途中まで読んで、慣れてきたら最後まで読むようにしましょう。
読み聞かせのコツ:カステラを焼くシーンでは、「いいにおいがしてきそうだね」と声をかけてみましょう。
五感を刺激する声かけが、言葉のイメージを豊かにします。
2.『おおきなかぶ』A・トルストイ再話・内田莉莎子訳
「うんとこしょ、どっこいしょ」のフレーズでおなじみの、ロシア民話を元にした絵本です。
おじいさんが植えたかぶが大きくなりすぎて抜けない、そこでおばあさん、孫、犬、猫、ねずみと次々に助っ人が登場します。
この絵本が語彙力アップに効果的な理由は、「累積型」と呼ばれる構造にあります。「おじいさんがかぶをひっぱって、おばあさんがおじいさんをひっぱって・・・」と、同じ文型が繰り返されながら、少しずつ長くなっていきます。
この繰り返しが、文章の構造を自然に身につけさせてくれます。
読み聞かせのコツ:「うんとこしょ、どっこいしょ」は、一緒に声を出して読みましょう。
最後にかぶが抜けたときの達成感を、親子で共有してください。
3歳児におすすめの語彙力絵本2選
1.『はらぺこあおむし』エリック・カール作
世界中で愛されているエリック・カールの代表作です。
卵からかえった小さなあおむしが、月曜日から日曜日まで様々な食べ物を食べて成長し、美しい蝶になるお話です。
この絵本には、曜日、数字、食べ物の名前、形容詞など、多様な語彙が詰まっています。
「りんご」「なし」「すもも」「いちご」「オレンジ」と果物の名前、「1つ」「2つ」と数の概念、「ちっぽけな」「おなかがぺっこぺこ」「ふとっちょ」などの形容表現・・・一冊で驚くほど多くの言葉に触れられます。
読み聞かせのコツ:「月曜日、りんごを1つ食べました」と読んだ後、「りんごは何色?」「1つってこれくらいだね」と対話を挟むと、語彙がより定着します。
2.『そらまめくんのベッド』なかやみわ作
そらまめくんの宝物である「ふわふわのベッド」をめぐる、心温まるお話です。
えだまめくん、グリーンピースの兄弟、さやえんどうさん、ピーナッツくんなど、個性豊かな豆の仲間たちが登場します。
この絵本では、様々な豆の名前を楽しく覚えられます。
また、「ふわふわ」「ほそながい」「ちいさい」「かたい」など、形状や感触を表す形容詞も豊富に登場します。
3歳児は形容詞の語彙が急速に増える時期なので、この絵本はぴったりです。
読み聞かせのコツ:スーパーや八百屋さんで実際の豆を見せて、「そらまめくんだね!」と絵本と結びつけてあげましょう。
実体験との連携が、語彙の定着を助けます。
語彙力を最大限に伸ばす読み聞かせのコツ
対話型読み聞かせの実践方法
「対話型読み聞かせ」とは、一方的に読むのではなく、子どもとやりとりしながら読む方法です。
この方法は、単に聞かせるだけの読み聞かせと比べて、語彙力アップの効果が2倍以上高いという研究結果もあります。
具体的には、以下のような声かけを取り入れてみましょう。
「なに?」の質問:「これはなに?」と絵を指して聞く
「どこ?」の質問:「りんごはどこ?」と探させる
「どんな?」の質問:「このかぶ、どんな大きさ?」と聞く
感情を聞く:「ぐりとぐら、嬉しそうだね。なんでだと思う?」
予測させる:「次はどうなるかな?」
最初からすべてを取り入れる必要はありません。
まずは1回の読み聞かせで1〜2回、質問を挟むところから始めてみてください。
繰り返し読むことの重要性
子どもが「もう1回読んで!」と言ったら、それは大きなチャンスです。
同じ絵本を繰り返し読むことは、語彙の定着に非常に効果的です。
むしろ、次々と新しい絵本を読むよりも効果が高いことがわかっています。
1回目の読み聞かせでは、子どもはストーリーの流れを追うのに精一杯です。
2回目、3回目と繰り返すうちに、細かい言葉やニュアンスに注意が向くようになります。
そして、何度も聞いた言葉は、自然と子どもの口から出てくるようになるのです。
「また同じ本?」と思わずに、子どものリクエストに応えてあげましょう。
日常生活との結びつけ方
絵本で出会った言葉を日常生活で使うことで、語彙の定着率が大幅にアップします。
例えば、『きんぎょがにげた』を読んだ後に金魚を見かけたら、「あ、きんぎょさんだ!にげないでね」と声をかけてみましょう。
『がたんごとんがたんごとん』を読んだ後に電車に乗ったら、「がたんごとん、だね」と言ってみましょう。
こうした絵本と実体験の橋渡しが、言葉を「聞いたことがある言葉」から「使える言葉」へと変えてくれます。
年齢別・語彙力を伸ばす絵本選びのポイント
0歳児の絵本選びで重視すべきこと
0歳児の絵本選びでは、以下の3つのポイントを重視しましょう。
1. 音やリズムが楽しい
「もこもこ」「ぴよぴよ」など、オノマトペが多く使われている絵本を選びましょう。
意味がわからなくても、音の響きを楽しむことが言葉への興味を育てます。
2. 絵がはっきりしている
0歳児の視力はまだ発達途中です。
輪郭がはっきりしていて、コントラストの強い絵の方が見やすく、注目しやすいです。
3. 短くてシンプル
集中力が続かない0歳児には、ページ数が少なく、1ページの文字数も少ない絵本が適しています。
1歳児の絵本選びで重視すべきこと
1歳児は「指さし」が盛んになる時期です。
絵本選びでは以下のポイントを意識しましょう。
1. 探す・見つける要素がある
『きんぎょがにげた』のように、絵の中から何かを探す絵本は、指さしを促し、言葉の発達を助けます。
2. 身近な物が登場する
食べ物、動物、乗り物など、日常生活で目にするものが登場する絵本を選びましょう。
絵本と実物を結びつけやすくなります。
3. 繰り返しのフレーズがある
「のせてくださーい」「さあどうぞ」など、同じフレーズが繰り返される絵本は、子どもが一緒に言いやすく、発話を促します。
2〜3歳児の絵本選びで重視すべきこと
2〜3歳児は「語彙爆発」の時期を経て、文章で話せるようになっていきます。
絵本選びでは以下のポイントを重視しましょう。
1. ストーリー性がある
起承転結のある物語を楽しめるようになります。
登場人物の気持ちを想像したり、次の展開を予測したりすることで、言葉の理解力が深まります。
2. 多様な語彙が登場する
名詞だけでなく、動詞、形容詞、副詞など、多様な品詞が登場する絵本を選びましょう。「おおきい」「ちいさい」「ふわふわ」「きらきら」などの形容詞は、この時期に急速に増えます。
3. 少し難しい言葉が含まれている
すべてがわかる絵本よりも、少し難しい言葉が含まれている絵本の方が、語彙を伸ばす効果があります。
わからない言葉に出会ったら、やさしく説明してあげましょう。
読み聞かせで避けたいNGパターン
子どものペースを無視した読み聞かせ
「早く読み終わりたい」という気持ちから、さっさとページをめくってしまうのはNGです。
子どもは絵をじっくり見たり、同じページで立ち止まったりしたいことがあります。
また、「まだこのページ見てるの?」「早く次に行こうよ」などの声かけも避けましょう。
子どもが自分のペースで絵本を楽しめることが、言葉への興味を育てる土台になります。
質問攻めの読み聞かせ
対話型読み聞かせは効果的ですが、質問が多すぎると、子どもは読み聞かせを「テスト」のように感じてしまいます。
楽しさが失われてしまうので、質問は1回の読み聞かせで2〜3回程度に留めましょう。
また、「これなに?言ってみて」と強制したり、言えなかったときに「違うでしょ」と否定したりするのもNGです。
あくまでも楽しい雰囲気の中で、自然なやりとりとして行うことが大切です。
年齢に合わない絵本を無理に読ませる
「早く長い物語を読めるようになってほしい」という気持ちから、年齢に合わない難しい絵本を選んでしまうことがあります。
しかし、これは逆効果です。
子どもが内容についていけないと、絵本への興味自体を失ってしまう可能性があります。
その子の発達段階に合った絵本を選び、「絵本は楽しい」という経験を積み重ねることが、長い目で見ると語彙力アップにつながります。
まとめ
この記事では、0〜3歳の語彙力を伸ばす絵本10選を、年齢別にご紹介しました。
最後に、ポイントを振り返っておきましょう。
【0歳児向け】
・『じゃあじゃあびりびり』・・・擬音語と物の名前をセットで学べる
・『だるまさんが』・・・体の動きを表す言葉を体感できる
・『もこもこもこ』・・・オノマトペの世界への入り口
【1歳児向け】
・『きんぎょがにげた』・・・指さしを促し、言葉の発達を助ける
・『くだもの』・・・実物と結びつけやすい
・『がたんごとんがたんごとん』・・・繰り返しフレーズで発話を促す
【2歳児向け】
・『ぐりとぐら』・・・ストーリーの中で自然に語彙が広がる
・『おおきなかぶ』・・・累積型の構造で文章の組み立てを学べる
【3歳児向け】
・『はらぺこあおむし』・・・曜日、数字、食べ物など多様な語彙に触れられる
・『そらまめくんのベッド』・・・形容詞の語彙を増やせる
絵本の読み聞かせは、語彙力を伸ばすだけでなく、親子の絆を深める大切な時間でもあります。「語彙力アップのため」と堅く考えすぎず、お子さんと一緒に絵本の世界を楽しんでください。
今日ご紹介した10冊の中から、まずは1冊、お子さんと一緒に読んでみてはいかがでしょうか。
きっと、新しい発見と楽しい時間が待っているはずです。
