育児の情報過多に疲れたら | SNSとの上手な距離の取り方

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「また誰かが完璧な離乳食を作っている」「うちの子だけ発達が遅いのかも」 スマートフォンを開くたびに、そんな気持ちになっていませんか。育児中はわからないことだらけで、つい検索したりSNSを開いたりしてしまうものです。しかし便利なはずの情報収集が、いつの間にか心をすり減らす原因になっているケースは少なくありません。この記事では、育児中の情報過多やSNS疲れがなぜ起こるのかを最新の調査データとともに整理し、心地よい距離感を保ちながら育児を楽しむための具体的な方法をお伝えします。読み終える頃には、スマホとの付き合い方が少し軽やかになっているはずです。

育児中にSNS疲れを感じる人は多数派

まず知ってほしいのは、SNSに疲れを感じているのはあなただけではないということです。
NTTドコモ モバイル社会研究所が2025年2月にSNS利用者を対象に行った調査では、SNSの「情報の多さ」により、利用頻度にかかわらず6~7割が疲れを実感していることが報告されています。
つまり、SNSを頻繁に使っている人はもちろん、そうでない人でも半数以上が情報の多さに疲れを感じているのです。

さらに子育て世帯に限定した調査を見ると、状況はより顕著です。
ベビーカレンダーが子育て中の保護者907名を対象に実施した意識調査では、情報収集にSNSを利用していてよくないと感じる点として「情報量が多く、正確な情報がわからない」との回答が68.3%で最多となったことが分かっています。
加えて「長時間SNSに没頭してしまう」が44.7%、「他人と比べてしまい、不安になってしまった」が43.6%、「多くの情報を目にすることで不安が増大してしまった」が26.3%という結果も出ています。
育児という不安になりやすい時期だからこそ、情報の波に飲み込まれやすい構造があると言えるでしょう。

なぜ育児中は特に疲れやすいのか

育児中は睡眠不足やホルモンバランスの変化により、心身ともに余裕がなくなりがちです。
そこに大量の情報が流れ込んでくると、脳が処理しきれずに疲労感として表れます。
特に0~3歳児の子育ては初めてのことばかりで、正解が一つではない場面も多いため、情報を集めれば集めるほど「結局どれが正しいの」と迷子になりやすいのです。

「情報疲労」という言葉が生まれた背景

モバイル社会研究所の調査では、「SNSには情報があふれていて、ついていくのに疲れる」と感じる状態を情報疲労と定義しています。
この言葉が生まれるほど、SNSの情報量の多さは社会全体の課題になっているのです。
育児中の親御さんにとっては、子どもの健康や発達に関わる情報だからこそ、見逃せないというプレッシャーも重なり、より疲労が強く出やすい傾向にあります。

リビングのソファでスマートフォンを見ながら少し疲れた表情を浮かべる20代後半の母親、隣で眠る赤ちゃん


子育て世帯のSNS利用実態を数字で見る

実際に、どれほど多くの親がSNSを育児情報の入口にしているのでしょうか。
コズレ子育てマーケティング研究所が2025年4月に実施した調査(末子妊娠中〜1歳の子を持つ会員544名対象)によると、Instagramの利用率が非常に高く、妊婦・乳幼児ママの約9割が利用していると回答しており、これはYouTube(69.48%)やX(56.43%)を大きく上回る数値です。
また同調査では「妊娠・出産・育児の情報収集のため」という利用目的が約66%を占めています。

別の調査でも同様の傾向が見られます。
子育て世帯向けSNS調査(2024年12月)では、回答者の98%がSNSを使用しており、うち89%が複数のSNS媒体を使用していることが分かりました。
さらに「子育てに関して最も利用している情報源」という質問に対し、44%がSNSと回答しており、SNSが子育て世代の主要な情報源として浸透していることがうかがえます。

9割以上の親がSNSを利用し、その多くが育児の情報収集を目的としているという事実は、SNSがもはや育児の「当たり前のインフラ」になっていることを示しています。
だからこそ、上手な付き合い方を知っておくことが今の時代の子育てには欠かせません。

信頼されているのは実は「専門家」の情報

興味深いのは、利用率の高さと信頼度が必ずしも一致していない点です。
ベビーカレンダーの調査では、「妊娠・出産・0歳児の子育てに関する情報の収集先としてどれを一番信頼していますか」との問いに対し、「医師、助産師、看護師などの専門家」が31.5%で1位となりました。
一方で妊娠・出産・子育て関連のサイトやアプリ、SNSを挙げた人は合計で2割少々にとどまっています。
つまり多くの親は「SNSは便利だけど、最終的に信じるのは専門家」という使い分けを無意識に行っているのです。

Instagramが選ばれる理由

数あるSNSの中でもInstagramが育児情報収集の中心になっている背景には理由があります。
子育て支援サイトの調査コラムでは、Instagramの人気の背景として、画像や動画を活用した分かりやすい情報提供、インフルエンサーや専門家による発信、ストーリーズやリールを活用したリアルタイムな情報共有が挙げられています。
視覚的に理解しやすく、隙間時間でもサッと確認できる手軽さが、忙しい子育て中の親に支持されている理由と言えるでしょう。


情報過多が引き起こす心の変化とは

情報が多いこと自体は悪ではありません。
問題は「多すぎる情報」が心にどのような影響を与えるかです。
心療内科の視点からSNSとメンタルヘルスの関係を解説するコラムでは、「SNS疲れ」の兆候として、他人と比較して落ち込む、いいね数やフォロワー数が気になりすぎる、SNSチェックが気になって物事に集中できない、夜遅くまで見続けて寝不足になるといった状態が挙げられています。
育児中にこれらのサインが出ている場合は、一度立ち止まるタイミングかもしれません。

また、SNS上のキラキラした投稿と自分の日常を比べて自己肯定感が下がってしまうことは、多くの専門家が指摘する典型的なリスクです。
国分寺イーストクリニックのコラムでも、他人の「キラキラした部分」ばかり目にすることで自己肯定感が低下する過剰な比較のリスクが指摘されています。
育児は本来、正解のない手探りの連続です。
誰かの「うまくいっている瞬間」だけを切り取った投稿と、自分の等身大の毎日を比べても意味がないと知っておくだけでも、心はぐっと軽くなります。

公園のベンチで子どもと一緒に絵本を読みながら穏やかに笑う父親、スマートフォンは鞄にしまわれている様子

孤独感とSNSの意外な関係

京都大学の研究グループが乳幼児を育児中の母親を対象に行った調査では、孤独感には、SNSでのつながりや、家族・友人との社会的つながり、経済的状況、対人関係のパターン、気分不安障害の可能性の有無が関連していることが明らかになっています。
SNSは孤独を癒す手段にもなり得る一方、使い方次第では孤独感を強めてしまう可能性もある、という両面性を持っていることが分かります。

両面性を理解することが第一歩

モバイル社会研究所の調査結果も同様に、SNSは情報量の多さが負担になる一方で、利用者に幸福感をもたらす側面もあると結論づけています。
つまりSNSは「悪者」ではなく、使い方次第で味方にも負担にもなる道具だということです。
SNSそのものを否定するのではなく、自分にとって心地よい距離感を見つけることが本質的な解決策になります。


情報との賢い距離の取り方6つの実践法

ここからは、実際に日常で取り入れやすい具体的な方法を紹介します。
すべてを一度に実践する必要はありません。
自分の生活リズムに合うものから少しずつ試してみてください。

  • 閲覧時間を決める:起床後や就寝前など「見る時間」をあらかじめ決めておくことで、ダラダラと情報を浴び続ける状態を防げます。
  • フォローの棚卸しをする:見ていて心がざわつくアカウントは思い切ってミュートやフォロー解除をしましょう。
  • 情報源を絞る:すべてのSNSを追いかけるのではなく、信頼できる専門家や自治体の公式アカウントなど、数を絞って深く参考にする方が安心感を得やすくなります。
  • 「保存」を活用する:気になった投稿はその場で読み込まず保存しておき、あとでまとめて確認する習慣にすると、隙間時間の情報の波に流されにくくなります。
  • 通知をオフにする:常に通知が来る状態は脳を休ませる暇を奪います。
    子どもと過ごす時間だけでも通知を切ってみましょう。
  • 迷ったら専門家に相談する:健康や発達に関する不安は、SNSの投稿ではなく自治体の保健師や小児科医など専門家に直接確認する方が確実です。

親子で楽しむデジタルデトックスのすすめ

東京ガスの生活情報サイトで専門家が解説しているように、デジタルデトックスを行う際は、デジタル機器から離れることで不安にならないような過ごし方を考え、デトックス中だからこその楽しみを見い出すことが成功の決め手になるとされています。
例えば「土曜の午前中はスマホを触らずに公園で過ごす」といったように、我慢するのではなく「その時間だからこそできる楽しみ」を用意することがポイントです。

また子どものスマホやSNSとの付き合い方を扱う教育系サイトでも、デジタル機器から意識的に離れる時間を作ることが心身のリセットにつながり、家族で外出したり体を動かしたり、オフラインの楽しみを増やしたりすることが親子でリラックスできる大切な時間になると紹介されています。
0~3歳の時期はまだ子ども自身がSNSを使うことはありませんが、親がスマホを見ている時間が長いと、子どもとの触れ合いの時間が自然と減ってしまう点にも注意が必要です。

芝生の公園で親子3人がシャボン玉を吹いて遊んでいる、明るい昼下がりの光が差し込む温かい雰囲気

「知らないと不安」から「知っていると安心」への転換

情報収集をやめる必要はありません。
大切なのは目的意識を持つことです。「なんとなく不安だから見る」のではなく「この点だけを確認したいから見る」というように、目的を絞って情報にアクセスする習慣をつけると、必要以上に情報の波にのまれることが減っていきます。
子どもの発達や健康について気になることがあれば、まずは自治体の乳幼児健診や地域の子育て支援センターなど、直接専門家に相談できる場を活用するのも一つの方法です。


SNSとの付き合い方で気をつけたい注意点

SNSを活用する上で、育児中だからこそ意識しておきたい注意点が2つあります。

1つ目は、SNS上の情報を鵜呑みにせず、必ず一次情報や専門家の見解と照らし合わせることです。
個人の体験談は貴重な参考情報である一方、すべての子どもに当てはまるとは限りません。
特に健康や発達に関わる内容は、必ず医師や助産師などの専門家に確認する姿勢を持ちましょう。

2つ目は、子どもの写真や個人情報の取り扱いに配慮することです。
子育てSNS活用術を紹介するコラムでも、SNSを使う上での注意点として、個人情報の保護や相手への思いやりを忘れずに活用することの大切さが呼びかけられています。
かわいい我が子の成長を共有したい気持ちは自然なことですが、公開範囲の設定や位置情報の扱いには一定の慎重さを持っておくと安心です。

比較グセに気づいたときの対処法

「隣の芝は青く見える」という言葉があるように、SNSで見える他の家庭の様子は、あくまで「見せたい瞬間」の切り取りです。
比較して落ち込みそうになったら、一度アプリを閉じて深呼吸をし、「うちの子は今日もご飯を食べて元気に過ごせた」というシンプルな事実に目を向けてみましょう。
小さな「できている」を積み重ねる視点が、比較グセを和らげてくれます。

パパも一緒に考えるSNSとの付き合い方

SNS疲れはママだけの問題ではありません。
パパも育児情報を集める中で同じように情報疲労を感じることがあります。
夫婦で「どのアカウントが参考になったか」「見ていて疲れる情報は何か」を話し合う時間を持つことで、家庭全体として心地よい情報との距離感を作りやすくなります。


信頼できる情報源の見分け方

情報過多の時代だからこそ、「誰が発信しているか」を見極める視点が重要になります。
判断のポイントとして、次のような基準を意識してみてください。

  • 発信者が医師・助産師・保健師など専門資格を持っているか、または自治体・公的機関の公式アカウントかどうか
  • 科学的根拠や出典が明記されているか、断定的な表現ばかりでないか
  • 不安をあおるような表現や、特定の商品購入を強く誘導する内容になっていないか

健康や発達に直結する情報については、SNSの投稿はあくまで「きっかけ」として受け止め、最終的な判断は自治体の乳幼児健診や小児科医など専門家との相談で確認する習慣を持つことが、安心して子育てを続けるための土台になります。

公的機関の情報を活用するメリット

厚生労働省や自治体が発信する子育て支援情報は、専門家の監修のもとで作成されているため、個人の体験談に比べて偏りが少ないという利点があります。
気になるテーマについては、まず公的機関の情報を確認してから、SNSで他の家庭の工夫を参考にするという順番にすると、情報の取捨選択がしやすくなります。

コミュニティとしてのSNSの良さも忘れずに

もちろんSNSには「同じ月齢の子を持つ親とつながれる」「一人じゃないと感じられる」という大きな価値もあります。
情報疲れを恐れるあまりSNSを完全に断つ必要はありません。
「情報収集の道具」と「心の支えになるコミュニティ」を意識的に使い分けることで、SNSの良い面だけを上手に取り入れることができます。


育児を楽しむための心の持ち方

最後に、情報との付き合い方以上に大切な視点をお伝えします。
それは「完璧な育児など存在しない」ということです。
SNS上に並ぶ整った投稿の裏には、写っていない失敗や試行錯誤が必ずあります。
目の前の our子どもの笑顔や成長を、他の誰かの投稿と比べる必要はまったくありません

0~3歳という時期は、あっという間に過ぎていきます。
スマホの画面越しの情報よりも、今この瞬間の子どもの表情や仕草に目を向ける時間を意識的に増やしてみてください。
情報は「参考にするもの」であって「従うべき正解」ではない、と心に留めておくだけで、日々の育児がぐっと軽やかになるはずです。

小さな成功体験を大切にする

今日、子どもと笑い合えた瞬間、ぐっすり眠ってくれた夜、初めて言葉を発した瞬間・・・そうした小さな出来事こそが、育児における何よりの財産です。
SNSのいいねの数よりも、目の前の小さな喜びに気づく感度を育てていきましょう。

周囲に頼ることも立派な選択肢

SNSで情報を集めるだけでなく、リアルな人とのつながりも大切にしてください。
地域の子育て支援センターや児童館、自治体の相談窓口など、直接顔を合わせて相談できる場所は、SNSでは得られない安心感を与えてくれます。
一人で抱え込まず、周囲や専門家に頼ることは決して恥ずかしいことではありません


まとめ

育児中の情報過多やSNS疲れは、多くの親が経験している共通の悩みです。
調査データが示すように、9割以上の親がSNSを利用し、その多くが情報収集を目的としている一方で、7割近くが情報量の多さに疲れや不安を感じています。
だからこそ、SNSを完全に避けるのではなく、閲覧時間を決める、フォローを整理する、専門家の情報を軸にするといった工夫で、心地よい距離感を作ることが大切です。

SNSは使い方次第で、育児の心強い味方にも、心を疲れさせる要因にもなり得る道具です。
情報に振り回されるのではなく、自分と子どものペースを大切にしながら、必要なときに必要な分だけ活用する姿勢を持ちましょう。
今日から少しずつ、スマホを置いて子どもと過ごす時間を増やしてみてください。
きっと、育児がこれまで以上に楽しく、愛おしいものに感じられるはずです。

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