「高い高い」をすると赤ちゃんが満面の笑みを見せてくれる・・・そんな瞬間は、育児の中でも特に幸せを感じる時間ではないでしょうか。1歳になると首もしっかりしてきて、体重も増えてくるため「そろそろ激しく遊んでも大丈夫かな?」「揺さぶられっ子症候群って聞くけど、うちの子は平気?」と不安に感じる保護者の方も多いはずです。
注目ポイント:1歳児は首がすわり、全身の筋肉も発達してくる時期のため、正しい方法で行えば「高い高い」は親子のスキンシップとしてとても効果的な遊びです。ただし、やり方を誤ると事故につながる可能性もあるため、安全な範囲を知っておくことが大切です。
この記事では、小児科医や育児専門家の情報、消費者庁の事故防止データなどをもとに、1歳児と安全に「高い高い」を楽しむための具体的な方法、注意すべきポイント、月齢別の遊び方の工夫までを網羅的に解説します。読み終える頃には、不安なく笑顔で我が子との時間を楽しめるようになるはずです。
1歳児の「高い高い」は危険なのか
結論から言うと、通常の優しい「高い高い」であれば、1歳児に危険はほとんどありません。
多くの保護者が心配する「揺さぶられっ子症候群(SBS)」は、日常的なあやし方の延長線上では発症しないことが専門家によって示されています。
ある育児メディアの取材に対し専門家は、普通のあやし方や遊び方で加わる力と、揺さぶられ症候群を発症するほどの揺さぶりの力では、強さがまったく違うと説明しています。
つまり、日常的な範囲での「高い高い」で神経質になりすぎる必要はないということです。
揺さぶられっ子症候群との違いを正しく理解する
揺さぶられっ子症候群は、赤ちゃんの体を激しく前後にガクガクと揺さぶることで脳や眼底に出血が起こる状態を指します。
小児科の専門情報では、1秒間に3~4回以上連続して揺らす、頭が前後にガクンガクンと揺れる、高い高いの遊びで空中にお子さんを投げる、といった行為が揺さぶられっ子症候群を引き起こす可能性があるため注意が必要だと解説されています。
一方で、ゆっくりと持ち上げて下ろすだけの「高い高い」であれば、脳に加わる衝撃は揺さぶられっ子症候群の発症条件とは全く異なります。
警告:赤ちゃんの両脇だけを持って体をぶら下げた状態から前後に激しく揺さぶる行為は、たとえ遊びのつもりでも絶対にやめましょう。
1歳になれば「首がすわっていない時期」とは違う
新生児期は首の筋肉が未発達なため、あらゆる揺さぶりに注意が必要ですが、首がすわって身体が安定していれば、高い高い遊びや膝の上にのせて揺らすリズム遊びなど、通常のあやし方で揺さぶられっ子症候群になることは考えにくいとされています。
1歳を迎える頃には首すわり・寝返り・お座り・つかまり立ちといった発達段階を経ており、体幹もしっかりしてきています。
ただし、首の筋肉や脳が発達する1歳以降までは、激しい高い高いもやめたほうがよいという意見もあり、月齢や個人差に応じた配慮は引き続き必要です。

安全に高い高いを楽しむ具体的な方法
ここでは、実際に1歳児と「高い高い」をする際に押さえておきたい具体的なポイントを紹介します。
最も大切なのは「ゆっくり・低め・短時間」を意識することです。
持ち上げる高さと速度の目安
複数の専門家情報を総合すると、安全な「高い高い」の目安は以下の通りです。
- 持ち上げる高さは大人の顔の高さ程度までにとどめる
- 持ち上げ・下ろしの動作はゆっくりと一定のリズムで行う
- 急激な加速や減速を避け、放り投げるような動作は絶対にしない
- 1回の遊びは数回程度にとどめ、赤ちゃんの反応を見ながら続ける
ある医師監修のコラムでは、基本的に、ゆっくりとした上下の動きであれば問題なく、空中に投げたり早いスピードで上下に動かしたりするのは危険なのでやめるべきだと解説されています。
この「ゆっくり・低め」の原則さえ守れば、1歳児との高い高いは安心して楽しめる遊びです。
正しい持ち方と体の支え方
1歳児は体重が増え、活発に動くようになっているため、持ち方にもコツが必要です。
両脇だけを掴んで持ち上げるのではなく、脇の下から手のひら全体で胸部をしっかり支え、赤ちゃんの体重を分散させて支えることが大切です。
注目テキスト:持ち上げている最中は常に赤ちゃんの表情を確認しましょう。
笑っているように見えても、実は怖がっている場合があります。
目が合わない、体がこわばっている、泣きそうな顔をしているといったサインが見られたら、すぐに遊びを中断してください。
横に揺らす動きは避ける
「高い高い」をしながら体を左右に振る、頭上でぐるぐる回すといった動きは、赤ちゃんの視界が不安定になり、恐怖心を与えるだけでなく、落下のリスクも高まります。
高い高いをしながら頭上で横に揺するのはいけません。
顔が見えず、頭が重くて揺れすぎてしまう可能性があるためです。
高い高いは基本的に「まっすぐ上下」の動きにとどめましょう。
絶対に避けるべき危険な行為
ここからは、「高い高い」に関連して絶対にしてはいけない行為を具体的に紹介します。
楽しい遊びのつもりでも、以下のような動作は重大な事故につながる恐れがあります。
空中に放り投げてキャッチする遊び
SNSなどで見かけることもある「赤ちゃんを空中に放り投げてキャッチする」動作は、非常に危険です。
長崎市の子育て情報でも、高い高いは良いが、空中に向かって高く投げてキャッチするなどの遊びはやめるよう呼びかけられています。
キャッチに失敗すれば落下事故につながりますし、成功しても急激な加減速が脳に負担をかける可能性があります。
疲れている時・寝起き・満腹時の激しい高い高い
赤ちゃんが眠い時や食後すぐは、体の反応が鈍くなっていたり、嘔吐しやすくなっていたりします。
こうしたタイミングでの激しい高い高いは避け、機嫌が良く覚醒しているタイミングを選びましょう。

大人がイライラ・興奮している状態での実施
揺さぶられっ子症候群の多くは、育児ストレスによる虐待事件が背景にあることが指摘されています。
楽しい遊びの延長であっても、疲れていたりストレスを感じていたりする時は、無理に激しい遊びをせず、一呼吸置くことも大切です。
警告:眠れない日々が続き精神的に追い詰められていると感じたら、一人で抱え込まず、自治体の子育て相談窓口や家族に助けを求めましょう。
揺さぶられっ子症候群のサインを知っておく
万が一に備え、揺さぶられっ子症候群が疑われる症状を知っておくことも重要です。
小児科の情報では、以下のような症状が挙げられています。
- ぼーっとしている、目線が合わない、ぐったりしている
- 起こしてもすぐにウトウト眠ってしまう(傾眠)
- 母乳やミルク、食事がいつも通り摂れない
- 繰り返し嘔吐する
- 手足を動かさない、または突っ張って力が入っている
- けいれんを起こす
これらの症状が見られた場合は、出血しているサインの可能性があるため、早めに医療機関を受診することが推奨されています。
1歳児で通常の高い高いをしている範囲であればこうした症状が出ることはまずありませんが、万が一の際に迅速に対応できるよう、知識として持っておくと安心です。
1歳児の発達と高い高いの相乗効果
「高い高い」は単なる遊びではなく、1歳児の発達にとってもプラスの刺激になります。
ここでは発達面から見た効果を紹介します。
平衡感覚・体幹の発達を促す
1歳児は足腰の力が発達し、つかまり立ちや伝い歩きなどができるようになる時期で、支えなしに一人で立ったり歩き出したりする子どもが増えてくる段階です。
高い高いによって体が持ち上がったり下がったりする感覚を経験することは、平衡感覚を養う一助になると考えられています。
ゆっくりとした上下運動なら、赤ちゃんにとって心地よい前庭感覚(バランス感覚)の刺激になります。
親子の信頼関係とアタッチメントの形成
スキンシップを伴う遊びは、赤ちゃんの安心感や自己肯定感の土台となる愛着形成に役立ちます。
注目テキスト:目を合わせながら笑いかけ、名前を呼びながら遊ぶことで、赤ちゃんは「自分は愛されている」という安心感を積み重ねていきます。
高い高いのあとにぎゅっと抱きしめてあげるのもおすすめです。
感情表現・言葉の発達へのつながり
1歳児は喜怒哀楽の表現が豊かになる時期です。
高い高いで「きゃー」「もっと!」といった声を出すことは、言葉の発達にもつながる大切なコミュニケーションの機会になります。
遊びの中で「たかいたかーい」「おりるよー」といった言葉かけを添えると、言語理解の促進にも役立ちます。

月齢・体格に応じた高い高いの工夫
同じ1歳児でも、月齢によって体格や筋力には大きな差があります。
ここでは月齢別の工夫を紹介します。
1歳0~6か月頃:低めの高さでゆっくりと
歩き始めたばかりの時期は、まだ首や体幹が発達途中の子も多いため、大人の胸の高さ程度までの低めの持ち上げにとどめましょう。
回数も2~3回程度にし、赤ちゃんの反応を見ながら加減します。
1歳半~2歳頃:体力に応じて少しずつ高さを調整
歩行が安定し、体幹もしっかりしてくる頃には、赤ちゃんが「もっと!」とせがむこともあるでしょう。
その場合でも、大人の顔の高さを超えるような高さは避け、あくまで安全な範囲でリクエストに応えてあげましょう。
高い高い以外の安全なスキンシップ遊び
高い高いが苦手な赤ちゃんや、より穏やかな遊びを取り入れたい場合には、以下のような遊びもおすすめです。
- 膝の上に乗せてゆっくり揺らす「木馬遊び」
- 横抱きにしてゆらゆらと揺らすリズム遊び
- 手をつないでジャンプする「ぴょんぴょん遊び」
- 絵本を使ったふれあい遊び
いこーよの取材でも、揺さぶられ症候群は速く強い揺さぶりをわざと与えなければ心配はいらないとされており、優しいスキンシップ全般は赤ちゃんの成長にとってプラスに働くと考えられています。
家庭内の事故防止対策も忘れずに
高い高い以外にも、1歳児の家庭内には転倒・転落のリスクが潜んでいます。
消費者庁の調査では、医療機関を通じて寄せられた事故情報のうち、入院を必要とする事故で最も多いのが転落事故であり、その約6割が頭部を受傷していると報告されています。
また、高い所に限らず比較的低い所からの転落であっても、頭部の骨折や頭蓋内損傷につながる恐れがあると指摘されています。
高い高いを安全に行うのと同様に、日常生活の中でも以下のような対策を心がけましょう。
- ソファやベッドの上で高い高いをしない(転落・転倒のリスクが増すため)
- 床は硬いフローリングよりマットやラグを敷いた場所で行う
- 周囲に家具の角や物がないか確認してから遊ぶ
高い高いそのものよりも、遊んだ後にバランスを崩して転倒するケースも報告されているため、遊ぶ場所選びも重要なポイントです。
家族みんなで安全知識を共有しよう
祖父母や兄弟にも伝えておきたいこと
「高い高い」は両親だけでなく、祖父母や上の兄弟が赤ちゃんをあやす際にも行われることが多い遊びです。
揺さぶられっ子症候群の危険性は保護者だけが知っていればよいものではなく、良かれと思って行ったあやし方が原因となるケースもあるため、家族全員が正しい知識を共有し、事故を防ぐために協力し合うことが大切だとされています。
里帰りの際や、預ける機会がある場合は、安全な高さや回数についてあらかじめ共有しておくと安心です。
不安な時は専門家に相談する
「うちの子は高い高いを怖がっているのかも」「体格的に大丈夫か心配」といった疑問がある場合は、自己判断せず、乳幼児健診の際に小児科医や保健師に相談してみましょう。
地域の子育て支援センターでも、遊び方に関する相談を受け付けているところが多くあります。
より詳しい医学的な情報を確認したい場合は、以下のような公的機関の情報も参考になります。
まとめ
1歳児との「高い高い」は、正しい方法で行えば危険な遊びではなく、むしろ親子のスキンシップや発達にとって良い刺激になる遊びです。
「ゆっくり・低め・短時間」を守り、赤ちゃんの表情を見ながら楽しむことが何よりのポイントです。
一方で、空中に放り投げる、頭上で横に振り回す、疲れている時に激しく行うといった行為は事故や揺さぶられっ子症候群のリスクを高めるため、絶対に避けましょう。
万が一のサインを知っておき、家族みんなで正しい知識を共有することで、より安心して育児を楽しむことができます。
赤ちゃんの「きゃっきゃ」という笑い声は、育児の疲れを吹き飛ばしてくれる何よりのご褒美です。
安全な方法を守りながら、我が子との大切なふれあいの時間を存分に楽しんでくださいね。