つかまり立ちが安定してくると、いよいよ次のステップ「伝い歩き」が始まります。家具に手をついて一歩、また一歩と進む姿は、なんとも愛おしくて感動的な瞬間ですよね。一方で、「うちの子はまだ伝い歩きしないけど大丈夫?」「転んでケガをしないか心配」「何か練習させたほうがいいのかな?」と不安を抱えるママ・パパも少なくありません。
この記事では、伝い歩きが始まる平均的な時期や、始まる前に現れるサイン、おうちで今すぐできる安全対策、そして赤ちゃんの「歩きたい!」を引き出す関わり方まで、知っておきたい情報をまるっと網羅してお届けします。読み終わるころには、赤ちゃんの成長を楽しく見守れる気持ちになっているはずです。

伝い歩きとは?成長過程での位置づけ
まずは「伝い歩き」がどんな動きで、赤ちゃんの発達の中でどの段階にあるのかを整理しておきましょう。
言葉の意味を正しく理解しておくと、わが子の今の状態が見えやすくなります。
伝い歩きの定義とつかまり立ちとの違い
伝い歩きとは、机や壁などに手をかけながら歩く赤ちゃんの動き方を指します。
伝い歩きするようになった赤ちゃんは、初めのうちはカニのように横向き移動を行うのが一般的です。
つまり、最初は前ではなく横に進むのが自然な姿なのです。
似た動きに「つかまり立ち」がありますが、こちらは家具などにつかまって立つことを指し、最初は前のめりでつま先立ちをすることもあります。
徐々に立つ姿勢が安定し、支えていた手を動かし、脚を横に移動させるのが伝い歩きです。
つまり、つかまり立ちは「立つ」、伝い歩きは「立った状態で移動する」という違いがあります。
歩行までの4つのステップ
赤ちゃんは、ある日突然歩き出すわけではありません。
歩行に至るまでの発達過程は、主に4つのステップに分けられます。
ずりばいやはいはい、つかまり立ち、伝い歩き、そして独り立ちというステップを経て、最終的に歩行が可能になります。
ただし、すべての赤ちゃんがこの順序通りに発達するわけではなく、中には一部のステップを飛ばして発達する子もいます。
伝い歩きは「あんよ(ひとり歩き)」への大切な架け橋であり、足腰の筋力やバランス感覚を養う重要なステップです。
家具から家具へと移動する経験を重ねることで、重心移動のコツを少しずつ体得していきます。
伝い歩きはいつから始まる?平均時期
「うちの子、いつ伝い歩きするのかな?」というのは多くのご家庭で気になるポイント。
ここでは目安となる時期と、個人差の幅を見ていきましょう。
一般的な開始時期の目安
伝い歩きが始まる時期には個人差がありますが、一般的には生後9ヶ月から12ヶ月頃が平均的で、この時期に赤ちゃんの筋力やバランス感覚が発達し始め、伝い歩きを試みるようになります。
1歳ごろまでには多くの赤ちゃんが伝い歩きを始め、なかには立っちができる子もいます。
つかまり立ちからの流れで見ると、生後7か月で約25%、生後10か月で約90%の赤ちゃんがつかまり立ちをできるようになるという調査結果もあり、6〜7か月頃から始める子もいれば、1歳頃から始まる子もいます。
つかまり立ちが安定してから少しずつ伝い歩きへと移行するイメージです。
早い子・ゆっくりな子の幅
赤ちゃんが伝い歩きを始めるのは、早ければ生後7か月頃で、一般的には生後10か月頃にはできると言われていますが、1歳過ぎから始める子どももいます。
さらに早ければ生後7ヶ月ごろから、遅ければ1歳6ヶ月ごろからなど開始時期にばらつきがあります。
伝い歩きの開始時期は、約半年から1年近くの幅があると覚えておきましょう。
SNSや育児アプリで「同じ月齢の子がもう歩いている!」と焦ってしまう気持ちはとてもよくわかりますが、その子なりのペースを大切にすることが何より大事です。
始まる前に見られるサイン
伝い歩きが近づくと、赤ちゃんはいくつかのサインを見せてくれます。
たとえばつかまり立ちが安定して長時間できるようになる、家具につかまった状態でお尻をふりふり揺らす、片手を離してみる、横にスライドするように足を動かす・・・などです。
さらに進むと伝い歩きがスムーズになり、家具から家具へと移動する際に一瞬手を離すことができるようになります。
立っている状態で片足を上げる動作や、その場で足踏みをするような動きも見られ、これらは歩行に必要な重心移動の練習をしている証拠です。
こうしたサインが見えたら、ひとり歩きはもうすぐそこまで来ています。
伝い歩き期に潜む危険と注意点
行動範囲が一気に広がる伝い歩き期は、ご家庭の中にも思わぬ危険が潜んでいます。
あらかじめリスクを知っておくことで、慌てず対処できるようになります。

転倒・転落によるケガ
つたい歩きをはじめたばかりの赤ちゃんはまだ筋力もバランス感覚も十分ではありません。
たとえ何かにつかまっていたとしても、ちょっとしたことで転倒してしまうことがあります。
とくに気をつけたいのが、家具の角に頭をぶつける事故と、ソファや階段からの転落です。
赤ちゃんは頭が重く重心が高いため、大人が想像する以上にバランスを崩しやすく、後方や横方向への転倒が頻発します。
少しの段差でも油断は禁物です。
誤飲・誤食のリスク
視点が高くなることで、これまで届かなかった棚やテーブルの上のものにも手が伸びるようになります。
つたい歩きが始まる時期は好奇心も旺盛になるため、口にものを入れたりすることも増えます。
それにともない誤飲や窒息のリスクも上がるため、口に入れそうなものは手の届く場所に置かないようにしなければなりません。
床の上だけではなくテーブルや棚の上のものにも注意しましょう。
一般的に、赤ちゃんは直径約39mm(トイレットペーパーの芯を通る大きさ)以下のものは飲み込んでしまう可能性があると言われています。
硬貨、ボタン電池、薬、タバコ、小さなおもちゃのパーツは、特に重大事故につながりやすい要注意アイテムです。
家具の転倒・コードのからみ
赤ちゃんはあらゆる家具につかまろうとします。
転倒しやすい引き出しや本棚などは、壁に固定したり、重いものを中に収納したりして安定させましょう。
引き出しを階段のように使って登ろうとすることもあるため、ストッパーの設置も欠かせません。
また、電化製品のコードなど、足にひっかかるようなものを取り除いておくことも大切です。
テレビ、加湿器、扇風機などのコードは、結束バンドでまとめて床に這わせないようにしましょう。
おうちでできる安全対策チェックリスト
「具体的に何から始めればいいの?」という方のために、すぐに取り組める対策を場所別にまとめました。
一度に全部やろうとせず、できるところから順に整えていきましょう。
床まわりの安全対策
- クッション性のあるプレイマットやジョイントマットを敷く
- 滑りやすいフローリングには滑り止めシートを活用する
- 赤ちゃんが歩くスペースに物を置かない動線を作る
- 電気コードはまとめてカバーをかけるか家具の裏に隠す
床にクッション性のあるプレイマットを敷いて、転倒時の衝撃をやわらげます。
家具は赤ちゃんがつかまることが多いため、テレビ台や棚は壁にしっかり固定し、テーブルや家具の角にはコーナーガードをつけてケガを防ぎましょう。
家具・コーナーの安全対策
- テーブルや棚の角にコーナーガードを貼る
- テーブルの縁全体にはエッジガードを取り付ける
- 本棚・タンスは転倒防止器具で壁に固定する
- 引き出しや扉にはチャイルドロックを取り付ける
クッションガードは、赤ちゃんが安全に動き回るために欠かせないアイテムで、家具の角や縁に取り付けて、転倒やぶつかりによる怪我を防ぎます。
両面テープや紐で簡単に設置できるので、気になる場所に設置して活用しましょう。
キッチン・階段・水回りの対策
キッチン、階段、お風呂場、玄関は伝い歩き期の赤ちゃんにとって最も危険なエリアです。
必ずベビーゲートで物理的に立ち入りを制限しましょう。
ベビーサークルは環境によっては設置が難しい場合もあるため、ベビーゲートの設置がおすすめです。
台所や階段など危険な場所に赤ちゃんが入れないようにゲートを設置しておくと安心です。
また、棚や扉にストッパーを設置しておくこともおすすめします。
誤飲防止のための片付け
- 床から高さ1メートル以下に小さな物を置かない
- ボタン電池・薬・洗剤類はロック付き収納へ
- 観葉植物は赤ちゃんの手が届かない位置に移動
- ゴミ箱にはフタ付きを使い、定期的に中身を捨てる
ボタン電池やリチウムコイン電池の誤飲は短時間で食道に重大な損傷を与えるため、最優先で対策すべき項目です。
リモコンや体重計など、身近な機器の電池ぶたがしっかり閉まっているかも定期的にチェックしましょう。
伝い歩きを楽しくサポートする関わり方
「練習させなきゃ」と気負う必要はありません。
赤ちゃんが自分から「動きたい!」と思える環境づくりと、温かい声かけが何よりの後押しになります。

環境づくりで「歩きたい」を引き出す
練習よりも大切なのは、赤ちゃんが自分の意志で動きたくなるような環境を整えることです。
安全に伝い歩きができる家具の配置、裸足で過ごせる清潔な床環境、興味を引くおもちゃの配置など、自然と体を動かしたくなる工夫が効果的です。
具体的には、ローテーブルやソファを少し間隔をあけて配置し、つかまりながら移動できるルートを作ってあげるのがおすすめです。
ソファやローテーブルの間隔を少しずつ広げていくことで、自然と一人で立つ時間が増えていきます。
声かけと呼びかけのコツ
赤ちゃんの「もう一歩!」を引き出すのは、大好きなママ・パパの声です。
赤ちゃんが立とうとしている時、歩こうとしている時には、温かい声かけで励ましてあげてください。
ただし手を差し伸べるのではなく、少し離れた場所から「こっちにおいで」と呼びかけることで、赤ちゃんは自分の力で歩こうとする意欲が高まります。
うまくいったときは「ここまで来れたね!」「すごいね!」などと褒めてあげましょう。
ポジティブな声かけにより、子供の挑戦意欲が高まり、次のステップへとつながります。
転んでしまったときも「大丈夫だよ、もう一回やってみよう」と落ち着いた声で励ますことで、赤ちゃんは安心して再挑戦できます。
裸足の時間を大切に
室内では基本的に裸足で過ごさせるのが、足の発達にとって理想的です。
裸足で過ごすことで足裏の感覚が育ち、バランス感覚や踏ん張る力が自然と養われます。
靴下は滑りやすく、赤ちゃんの足の発達を妨げることもあるため、安全が確保できる室内では裸足が理想的です。
冷え対策が気になる場合は、滑り止め付きのベビーソックスや、足裏が出るタイプのレッグウォーマーを活用すると安心です。
避けたい関わり方
よかれと思ってしている関わりが、実は発達のじゃまになっていることもあります。
両手を持って長時間歩かせる手引き歩きは、赤ちゃん自身のバランス感覚を育てることができません。
どうしても手を繋ぐ場合は、短時間にとどめ、赤ちゃんが自分でバランスを取れるよう軽く支える程度にしてください。
また、歩行器は一見便利に見えますが、長時間の使用は推奨されません。
歩行器に頼ることで、赤ちゃんが自分でバランスを取る機会が失われ、足の筋力発達が遅れる可能性があります。
日本小児科学会でも歩行器の使用については慎重な意見が示されています。
使う場合も短時間に留め、メインの遊びは床で楽しむのが望ましいでしょう。
伝い歩きをサポートするおすすめおもちゃ
赤ちゃんの好奇心を引き出すおもちゃは、伝い歩きを楽しいものに変えてくれる強い味方。
ここでは月齢に合ったおすすめアイテムを紹介します。
手押し車(押し車・ウォーカー)
手押し車は、赤ちゃんが自分で押しながら歩く感覚を体験できる人気のアイテム。
バランスを取りながら前進する動きが、ひとり歩きへの自信につながります。
選ぶときは、スピード調節機能や重さがあって倒れにくいタイプを選ぶのがポイントです。
軽すぎると勢いがついて転倒しやすくなるので注意しましょう。
テーブル型の知育トイ
立った状態で遊べるテーブル型のおもちゃは、伝い歩き期の強い味方です。
テーブル型やベビーゲートなら伝い歩きしてもまたその場に戻ってくるので、子ども自身がつかまり立ち遊びを満足するまで続けやすいというメリットもあります。
重さがあって動きにくく、ボタンや回転パーツで指先の発達も同時に促せます。
プルトイ・ボール遊び
ひもを引っ張ると動くプルトイや、転がるボールは、「追いかけたい!」という気持ちを刺激してくれる優秀アイテム。
プルトイは引っ張ると動くおもちゃで、これを引っ張りながらあるくことでバランス感覚を養うことができます。
また、このおもちゃは2~3歳まで遊ぶことができるため、長期間使える点も魅力です。
伝い歩きをしないときの考え方
「同じ月齢の子はもう歩いているのに、うちはまだ・・・」と心配になることもあるでしょう。
ここでは、焦らないための考え方と、相談を検討する目安をお伝えします。
個人差は当たり前と知る
赤ちゃんの伝い歩きは発達の順番や性格、環境によって大きく個人差があるものです。
例えばハイハイをたくさんする子もいれば、つかまり立ちからすぐに伝い歩きを始める子もいます。
また活発な子は早く動き始めることが多い一方で、慎重な子は自分のペースで少しずつ進むこともあります。
生活環境や育児方法によっても成長のスピードは異なるため、周りの子どもと比べて焦る必要はありません。
慎重派の赤ちゃんは、頭の中で何度もシミュレーションをしてから動き出すタイプ。
一見「遅い」ように見えても、いったん始めるとぐんぐん上達することもよくあります。
環境を見直してみる
赤ちゃんが伝い歩きをしない理由として、伝い歩きができる十分なスペースがない場合や周りに興味を引く物が少ないことが考えられます。
広めのスペースを確保し、赤ちゃんが安全に移動できる環境を整えてみましょう。
また、赤ちゃんが興味を持ちそうなおもちゃや家具を使って動き回る楽しさを感じてもらうことも有効です。
つかまれる高さの家具がない、床におもちゃが散乱して移動しにくい、抱っこの時間が長すぎる・・・などの環境要因もチェックしてみましょう。
専門家への相談を検討する目安
以下のサインが見られる場合は、かかりつけの小児科や乳幼児健診で気軽に相談してみましょう。
早めの相談は安心につながります。
- 1歳半を過ぎても伝い歩きの兆候が見られない場合
- 立つ、ハイハイなど他の発達段階にも遅れがある場合
- 筋肉の張りが極端に弱い、または硬いと感じる場合
- 左右の手足の動きに大きな差がある場合
一般的に、生後18ヶ月を過ぎても歩行を開始しない場合は、小児科医への相談が推奨されます。
ただし、これは絶対的な基準ではなく、その他の発達状況も総合的に判断する必要があります。
1歳半健診はちょうど良い相談のタイミングなので、気になることはメモして持参すると安心です。
伝い歩き期の暮らしを楽しむヒント
伝い歩きは、ほんの数ヶ月で過ぎ去ってしまう貴重な時期。
安全対策をしながらも、この時期ならではの可愛さをしっかり味わいたいですね。
記録に残して成長を楽しむ
初めて手を離して立った日、初めて二歩進んだ日・・・育児日記やアプリに記録しておくと、後から見返したときに大きな宝物になります。
動画は、表情と動きの両方が残せるのでとくにおすすめです。
「カニ歩き」のような最初の横移動は、伝い歩き期だけの限定シーン。
ぜひ動画に残してあげてください。
外遊びデビューも視野に
伝い歩きが安定してきたら、公園の芝生やプレイマットの上などで外の世界に触れる時間を作ってあげましょう。
フローリング、畳、カーペット、芝生など、異なる質感の地面を経験させることで、足裏の感覚が豊かに育ちます。
公園の芝生で裸足で遊ぶ時間を作るのも効果的です。
ただし安全には十分配慮し、危険物がないか確認してから遊ばせてください。
ファーストシューズの準備
ひとり歩きが10歩ほど続くようになったら、いよいよファーストシューズの出番です。
試着のうえ、足の指がしっかり動かせる柔らかいソール、かかとがホールドされるデザインを選びましょう。
サイズは「つま先に5〜10mm程度のゆとり」があるものが目安で、成長に合わせて3ヶ月ごとに見直すのがおすすめです。
まとめ:その子のペースを信じて見守ろう
赤ちゃんの伝い歩きは、生後9〜12ヶ月頃を中心に、早い子で7ヶ月、ゆっくりな子で1歳半ごろまでと、半年以上の幅がある成長のステップです。
家具に手をついてカニのように横歩きする姿、家具から家具へ手を伸ばすドキドキの瞬間、そしてついに手を離して立つ日・・・どれもが一度きりの大切なシーンです。
安全対策のポイントをもう一度整理すると、①床にマットを敷く ②家具の角にガードを付ける ③家具を壁に固定する ④誤飲しそうな物を片付ける ⑤危険エリアにベビーゲートを設置するの5つが基本です。
これらを押さえておくだけで、赤ちゃんが安心して挑戦できる環境がぐっと整います。
そして何より大切なのは、「練習させる」より「動きたくなる環境を整える」という発想に切り替えること。
手を引っ張って歩かせるのではなく、少し離れたところから「おいで」と笑顔で呼びかける。
それだけで、赤ちゃんは自分の力で一歩を踏み出します。
他の子と比べて焦る気持ちは、わが子を想うからこそ。
でも、赤ちゃんはみんな自分のタイミングで、ちゃんと歩き始めます。
今日も「カニ歩き」している小さな後ろ姿を、たくさんカメラに収めて、思いきり楽しんでくださいね。
育児はあっという間。
伝い歩きの愛おしい時期を、ご家族みんなで味わい尽くしましょう。
