「さっきまでニコニコだったのに、急に泣いて反り返る」「着替えもごはんも『イヤ!』ばかり」「手伝おうとすると怒る」・・・1歳のお子さんと過ごす毎日で、こんな場面に戸惑っていませんか。実はその一つひとつが、お子さんがぐんと成長している大切なサインなのです。
1歳ごろは、歩いたり手先を使ったりとできることが一気に増え、「自分」という意識が芽生え始める時期。言葉でうまく伝えられないぶん、全身を使って気持ちを表現します。この記事では、1歳児の自己主張の「あるある」と、なぜそうなるのかという発達の背景、そして親子の毎日がぐっとラクで楽しくなる受け止め方のコツを、保育の現場や公的な調査データも交えながらわかりやすくお伝えします。

1歳の自己主張はいつから始まる?
「自己主張」と聞くと2歳のイヤイヤ期を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、自分の気持ちを表すこと自体は赤ちゃんの頃から始まっています。
空腹や不快を泣いて伝えるのも、立派な自己主張のひとつです。
それが1歳前後になると、もっとはっきりした「意思」として現れるようになります。
「自分でやりたい」が芽生える時期
1歳を過ぎると、自分の足で歩いたり、おもちゃで遊んだり、スプーンを使って食べたりと、できることがどんどん増えていきます。
「自分でやりたい」という気持ちが強くなるのは、まさにこの「できること」が増える過程と重なっています。
専門家の解説によると、1歳以上になると、パパ・ママ以外の大人や同じ年齢くらいの子どもと接する機会も増えるため、「自分」と「他人」への意識がますます強くなっていくとされています。
イヤイヤ期との関係と個人差
自己主張がぐんと強くなる時期は、いわゆる「第一次反抗期」や「イヤイヤ期」と呼ばれる2歳頃にピークを迎えます。
ただし、その始まりや程度には大きな個人差があります。
育児情報メディアの解説では、イヤイヤ期は一般的に2歳ごろから始まり3歳半くらいで落ち着くことが多いものの、始まりや終わりの時期は十人十色で、早い子だと1歳台のうちから始まることもあると紹介されています。
つまり、1歳のうちから「イヤ!」が出てくるお子さんもいれば、ゆっくりめのお子さんもいます。
他の子と比べて「うちの子は始まりが早い/遅い」と一喜一憂する必要はありません。
その子なりのペースで成長している証拠だと受け止めましょう。
なぜ1歳で自己主張が強くなるの?
自己主張が増えるのには、ちゃんとした発達上の理由があります。
背景を知っておくと、目の前の「イヤ!」も少し違って見えてくるはずです。
「自我」が芽生える心の成長
この時期の核となるのが「自我の芽生え」です。
自我とは、自分という存在を意識することを指します。
1歳前後から人との関わり合いを通して徐々に自我が芽生え始め、多くの場合は2歳頃までに自我意識が育ち、自己主張が強くなって自分の意に反することは拒絶し始めます。
自分の意思に反することを拒む姿は、「自分」という芯が育ってきた何よりの証なのです。
保育の現場からの解説でも、自我意識の芽生えは、人として社会とかかわって生きていくために大事な成長プロセスであり、子どもは自我とともに好き嫌いややりたいこと・やりたくないことがはっきりしてくるとされています。
手を焼くように見える行動こそ、心が育っている証拠だと考えてみてください。
気持ちと言葉のギャップ
1歳児が泣いたり叫んだりしやすいのは、頭の中の「やりたい」「イヤ」という気持ちに、言葉がまだ追いついていないからです。
おもちゃのサブスク事業者の発達解説によると、この時期は欲求がどんどん湧いてくる一方で言葉が追いつかず、思いをうまく言い表せない代わりに、泣いたり叫んだり、時には物を投げたりと全身で感情を表現しようとするとされています。

言葉が増えてくると、こうした全身での表現は少しずつ落ち着いていくことが多いものです。
だからこそ、今の時期は「うまく言えないんだね」という前提で関わってあげることが大切になります。
1歳児の自己主張あるある10選
ここからは、多くのご家庭で「うちもうちも!」と共感が集まる、1歳児の自己主張あるあるをご紹介します。
当てはまるものがあれば、それはお子さんが順調に育っているサインです。
「自分でやりたい!」系のあるある
- 靴や靴下を「自分で履く!」と主張するが、時間がかかって最後は大泣き
- スプーンやフォークを自分で持ちたがり、手伝うと払いのける
- ボタンやファスナーに挑戦したがり、できないと怒る
- エレベーターのボタンや電気のスイッチを「自分が押す」と譲らない
「自分でやりたい」という気持ちは、これから自立していくうえでとても大切な力です。
たとえ大人がやった方が早くても、「ひとりでできた」という経験はお子さんの大きな自信につながります。
育児メディアの解説でも、ひとりで挑戦してできずに激しく泣いたりかんしゃくを起こしたりすると親は大変だが、「ひとりでできた」という経験は子どもにとって大きな自信に繋がると強調されています。
「イヤ!」「ちがう!」系のあるある
- 着替えやオムツ替えを全力で拒否し、反り返って逃げる
- 食べていたのに突然「いらない」と皿を押しやる
- 抱っこを求めたのに、抱っこすると「おろして」とぐずる
- 選んだ服や食器が気に入らず、特定の色・キャラクターにこだわる
- 外出先で「帰りたくない」と床に寝転がる
- 気に入った遊びを中断されると激しく抗議する
一見すると「わがまま」に見えるこれらの行動も、本質は「自分はこうしたい」という意思表示です。
気持ちがあるのに伝える手段が限られているからこそ、態度が大きく出てしまうだけなのです。
自己主張は「わがまま」とは違う
「これって、わがままを許していることにならない?」と心配になる方もいるでしょう。
ここで大切なのが、自己主張とわがままの違いを理解することです。
成長に必要な「自己主張」
自己主張とは、自分の意思や気持ちを何らかの形で表現することです。
1歳児の「自分でやりたい」「これがイヤ」は、自分の感情を表に出す練習でもあります。
保育のコラムでは、この時期の反抗はなくてはならない成長であり、わがままや悪意ではなく、子どもは自我を持ち始めたばかりで好奇心を止められず、自分をコントロールできないだけだと説明されています。
叱るより「受け止める」が基本
では大人はどう関わればよいのでしょうか。
心の相談に携わる専門家の解説では、子どものイヤイヤに「〇〇しないとダメだよ」と正論をぶつけても子どもは理解できないため、まずはイヤだという気持ちを受け止めて共感することが大切で、「でも」「だけど」と気持ちを押さえ付ける言葉はできるだけ減らし、「そうなんだね、イヤなんだね」と認めてあげるとよいとされています。
ただし、危険なことや人を傷つける行為は別です。「自己主張だから」とすべてを通すのではなく、危ない場面ではしっかり止めることも親の大切な役割です。
自己主張を受け止める5つのコツ
気持ちを受け止める大切さはわかっていても、忙しい毎日では難しいものです。
ここでは今日からすぐ試せる、具体的な関わり方をご紹介します。
気持ちを言葉にして代弁する
うまく話せないお子さんの気持ちを、大人が言葉にして返してあげましょう。
うまく要求を言葉にできずにかんしゃくを起こしている子どもにとって、「こうしたかったんだね」という声掛けは「自分の気持ちが伝わった」という満足につながると、育児メディアでも紹介されています。「青いコップがよかったんだね」と気持ちを言葉に変換してあげるだけで、お子さんはほっとできます。
選ばせて「自分で決めた」をつくる
「自分でやりたい」気持ちには、小さな選択肢を用意して「自分で決めた」という満足感を持たせるのが効果的です。「赤い服と青い服、どっちにする?」のように、どちらを選んでも大丈夫な二択を出すと、主導権を持てたお子さんはすんなり動いてくれることが増えます。

危険なときは止めて、落ち着いてから伝える
医師監修の育児記事では、物を投げたり道路に寝転がるなど危ない行動をしそうになったらすぐに止め、子どもが落ち着いたころを見計らって「危ないから○○しないでね」と言い聞かせるとよいとされています。
興奮の最中に長々と説明しても伝わりにくいので、落ち着いてから短い言葉で伝えるのがポイントです。
気をそらす「切り替え」上手になる
こだわりが強いときは、無理に正面突破せず上手に気をそらすのも有効です。
子育ての専門家は、なかなか気持ちが落ち着かないときは気を逸らすのもよい手であり、物事に固執せず上手に気を逸らすのは子育ての上級テクニックでもあると述べています。「あ、ワンワンがいるよ」など、お子さんの興味にすっと届く声かけを試してみましょう。
生活リズムを整えて「ぐずりにくい土台」をつくる
そもそもの機嫌は、空腹や眠気に大きく左右されます。
ことばの教室の解説では、定期的な食事や睡眠のスケジュールを作ることで子どもが安定した状態を保ちやすくなり、騒がしい環境などの過度な刺激は子どものストレスとなり癇癪を引き起こすことがあると指摘されています。
お腹と睡眠を満たし、刺激の多すぎる環境を避けるだけで、ぐずりはかなり減らせます。
かんしゃくを起こしたときの対応
受け止め方を工夫しても、激しいかんしゃくは起こるものです。
そんなとき、親が知っておくと心に余裕が持てるポイントをまとめます。
安全を確保して見守る
かんしゃくの最中は、まず安全の確保が最優先です。
発達支援の専門サイトでは、癇癪が起きた際にはまず安全を確保し、感情が落ち着くのを待ったうえで、適切なタイミングで褒めるとよいとされています。
落ち着いたら「ひとりで落ち着けたね」と声をかけてあげると、お子さんは「こうすればいいんだ」と少しずつ学んでいきます。
やってはいけない対応
かんしゃくを止めたい一心で要求をその場で全部かなえたり、感情的に強く叱ったりするのは逆効果になりがちです。
専門家の解説でも、癇癪を起こしたときに子どもの欲求をかなえるような対応をしたり、感情的に叱ったりすると、癇癪がエスカレートすることにもなりかねないと注意が促されています。
そして何より大切なのが、対応する大人自身が落ち着くことです。
自分自身が落ち着いていなければ子どもを落ち着かせることは難しいため、まずは深呼吸をするなどして自分の感情をコントロールすることが大切だとされています。
一度大きく深呼吸してから向き合ってみましょう。
言葉の発達と公的データから見る今
1歳の自己主張は、言葉や運動の発達と深く結びついています。
最後に、公的な調査データから今の1歳児像を確認しておきましょう。
言葉が増えると気持ちが伝わる
1歳半ごろになると言葉の理解と発語がぐんと進みます。
育児情報メディアの解説によると、1歳半頃は言葉の発達が大きく進む時期で話せる単語が少しずつ増え、発語だけでなく理解力も伸び、「ゴミをポイしてきて」などの簡単な指示を聞いて行動できるようになるとされています。
言葉で気持ちを伝えられるようになると、全身での激しい表現は自然と落ち着いていく傾向があります。
ある保護者の体験談では、声かけや抱っこで寄り添う関わりを続けるうち、半年くらいして段々と癇癪がおさまり、本人が少しおしゃべりできるようになったことも影響したのか、今はほとんどなくなったといった声も寄せられています。
言葉の発達を促すために、絵本の読み聞かせを習慣にするのもおすすめです。
こども家庭庁の最新調査が示すこと
発達の目安については、国の公的データが参考になります。
こども家庭庁は2024年12月に「令和5年乳幼児身体発育調査」の結果を公表しており、この調査は乳幼児の身体発育値や発育曲線を明らかにすることを目的に、昭和25年から10年ごとに実施されているものです。
この調査では発達に関する興味深い結果も示されています。
前回の平成22年調査と比べて乳幼児の体重・身長・頭囲の平均値に大きな変化は見られなかった一方で、言語機能の発達については、生後1歳前後で1語以上の言葉を話すと回答した割合が低くなっていたとされています。
なお、この調査結果は令和7年度版の母子健康手帳の発育曲線などにも反映されているとのことです。
ここで覚えておきたいのは、これらの数値はあくまで平均であり、発達には大きな個人差があるということです。
言葉や運動の伸び方はお子さんによってさまざまなので、目安として参考にしつつ、その子のペースを大切に見守りましょう。
詳しいデータはこども家庭庁の公式ページで確認できます。
まとめ:自己主張は成長のごほうび
1歳児の「自分でやりたい」「イヤ!」という自己主張は、お子さんの心に「自分」という芯がしっかり育ってきた証です。
言葉がまだ追いつかないぶん、全身を使って一生懸命に気持ちを伝えてくれている
そう思うと、毎日のぐずりも少し愛おしく見えてきませんか。
大切なのは、まず気持ちを受け止めて代弁すること、危ない場面はきちんと止めること、そして何より親自身が完璧を目指さず、深呼吸して肩の力を抜くことです。
今日ご紹介したコツを「全部やらなきゃ」と気負う必要はありません。
できそうなものをひとつ試してみるだけで十分です。
激しい自己主張の時期は、必ず通り過ぎていきます。
言葉が増えるにつれて、お子さんは自分の気持ちを上手に伝えられるようになり、関わりはどんどんラクになっていきます。
今この瞬間の「自分でやりたい!」も、後から振り返れば愛おしい成長の一コマ。
自己主張は、お子さんが順調に育っているという何よりのごほうびです。
あたたかく見守りながら、親子の毎日を一緒に楽しんでいきましょう。
