「絵本を読んであげたいけれど、どれを選べばいいのかわからない」「せっかく買ったのに、すぐにページをめくって終わってしまう」・・・1歳のお子さんを育てる中で、そんな悩みを抱えている親御さんは少なくありません。書店やネット通販には無数の絵本が並んでいて、どれが我が子に合うのか判断に迷ってしまうのは当然のことです。
この記事では、1歳児の発達特性を踏まえた絵本選びの具体的なポイントを、月齢別の視点や安全性の観点も交えながら詳しく解説します。読み終える頃には、お子さんの反応がぐっとよくなる一冊を見つけるヒントがきっと見つかるはずです。絵本の時間が、親子にとってかけがえのないコミュニケーションのひとときになるよう、一緒に見ていきましょう。
1歳児の発達と絵本の関係を知ろう
絵本選びの前に、まずは1歳という時期の子どもがどのような発達段階にあるのかを理解しておくことが大切です。
発達に合った絵本を選ぶことで、子どもの興味を引き出しやすくなります。
1歳前半と後半で興味の対象が変わる
同じ1歳といっても、1歳の前半なのか後半なのかで、まるで別人のように成長の様子が変わります。
その子の成長や興味に合った内容のものを、良いタイミングで読んであげるのがおすすめです。
0歳の頃は絵や音を楽しむだけだった赤ちゃんも、1歳半以降になると少しずつストーリーがわかるようになってきます。
そのため、月齢によって適した絵本のタイプが変わってくる点を意識しておきましょう。
注目ポイントとして、1歳前半は感覚的な刺激を楽しむ段階、1歳後半は簡単なストーリーを追える段階へと移行する過渡期にあたります。
この違いを踏まえて絵本を選ぶことが、反応の良さにつながる第一歩です。
読み聞かせが発達全体に与える好影響
絵本の読み聞かせが子どもの発達に良い影響を与えることは、近年の大規模な調査でも裏付けられています。
東北大学の研究グループが環境省のエコチル調査データ(約3万6,866組の母子ペア)を解析した結果、絵本の読み聞かせ頻度が高いほど、3歳時点での発達スコア(ASQ-32)が5つの発達領域すべてにおいて高いことが明らかになりました。
この研究では1歳時点で発達の遅れが見られた子どもにおいても、継続的な読み聞かせが良い影響をもたらす可能性が示されています。
さらにこの関連は、親の学歴や収入、子どもとの遊びの頻度、メディアへの接触時間などの影響を考慮して調整しても独立していたことも報告されており、絵本の読み聞かせそのものが持つ力の大きさがうかがえます。
この研究成果は、小児科学分野の学術誌「Pediatric Research」に掲載されました。

1歳児向け絵本の選び方5つの基本
ここからは、実際に絵本を選ぶ際に押さえておきたい具体的なポイントを紹介します。
書店やオンラインストアで絵本を手に取るときの判断基準として活用してください。
オノマトペやリズムのある言葉を選ぶ
1歳頃に読むなら、リズム感のある言葉遊びをはじめとして、耳に心地よい音の響きが楽しめるものがおすすめです。
印象に残りやすい単語や、短いフレーズが使われている絵本なら、子どももマネしやすく言葉の発達を促すのに好適です。「ワンワン」「ぐるぐる」といった擬音語や擬態語を意味するオノマトペで、短い言葉をくり返すリズム感のある音なら、さらに楽しく覚えられます。
繰り返しの展開があるものを選ぶ
興味を持ったことを何度も何度もくり返すことが大好きなのが、1歳くらいの子どもの特徴です。
同じ展開がくり返されているものなら、ストーリーを把握しやすく関心を引くため集中力も高まります。
同じフレーズが何度も出てくる絵本は、1歳児にとって「次に何が来るか」を予測する楽しさにもつながります。
感情表現や変化がわかりやすいものを選ぶ
1歳になると、感情表現がより豊かになります。
ページをめくると顔が変わるような「いないいないばあ」など、変化が分かりやすくてワクワクする瞬間がある絵本がおすすめです。
表情の変化がはっきりしている絵本は、子ども自身の感情表現の発達を後押ししてくれる可能性があります。
絵と文章の内容が一致しているものを選ぶ
絵だけでストーリーがわかる絵本や、絵と文章の内容が一致している絵本を選びましょう。
まだ言葉を十分に理解していない1歳児にとって、絵を見るだけで内容が伝わる構成は非常に重要です。
文章が複雑すぎると、せっかくの興味が途切れてしまうこともあるため注意しましょう。
子どもの「好き」を尊重して選ぶ
1歳の赤ちゃんにも好みがあります。
じーっと集中して見ている絵本や、繰り返し「読んで」と持ってくる絵本はたくさん読んであげましょう。
また0歳向けや3歳向けでも年齢関係なく好みの絵本を読むことで、1歳の赤ちゃんの興味や好み、得意なものなどが見えてきたりします。
対象年齢はあくまで目安として捉え、注目テキストとしてお子さん自身の反応を最優先に考えることが、絵本選びで最も大切な視点だといえるでしょう。
安全性で押さえておきたいチェックポイント
1歳児はまだ何でも口に入れてしまう時期です。
楽しさだけでなく、安全性の面からも絵本を選ぶ必要があります。
ボードブックなど丈夫な素材を選ぶ
0~1歳の赤ちゃんへの読み聞かせでは、絵本をかじったり破ったりされてしまう場合もあります。
何でも口に入れておもちゃにしてしまう年齢なので、めくりやすく破れにくい厚紙で作られたボードブックもおすすめです。
また手や口が傷つきにくくより読みやすい、角が丸くカットされた鋭利さのない装丁であることも大切です。
警告:絵本のページや付属パーツが小さすぎると誤飲事故につながる恐れがあります。
特に音の出る絵本や仕掛け絵本を選ぶ際は、パーツの大きさや外れやすさを必ず確認しましょう。
玩具の安全マークを参考にする
音の出る絵本や仕掛け絵本の中にはおもちゃとしての機能を持つものもあり、その場合は安全基準の有無も選ぶ際の参考になります。
日本玩具協会が定めるSTマークは、検査機関の検査で、一般社団法人日本玩具協会の玩具安全(ST)基準に合格した玩具に表示できるもので、「安全面について注意深く作られたおもちゃ」として玩具業界が推奨するものです。
対象年齢が低いSTマーク付きの玩具は、喉に詰まらない大きさである、部品が外れにくい、尖った部分がないなど、安全性をより配慮した設計になっています。
さらに2025年12月からは、法令に基づく強制規格として子供PSCマーク制度も始まっています。
規制開始以前に製造・輸入された製品は、子供PSCマークが無くても販売できることとなっており、その場合は、STマークの付いた製品がおすすめとされています。
絵本と一体型のおもちゃを選ぶ際は、こうしたマークの有無も一つの目安にすると安心です。
おもちゃによる事故を防ぐためには、マークの付いた安全な製品を選ぶだけではなく、対象年齢と使用上の注意を正しく守ることが大切です。
絵本であっても、パッケージに記載された対象年齢は必ず確認するようにしましょう。

ジャンル別に見る1歳児向け絵本の種類
絵本にはさまざまなジャンルがあり、それぞれ異なる魅力があります。
子どもの気分や成長段階に合わせて使い分けるのがおすすめです。
しかけ絵本で好奇心を刺激する
1歳になると自分で絵本を操作したいという意欲が芽生えてきます。
1歳になると、赤ちゃんの頃とは違って、自分で絵本をめくったり、しかけを動かしたりすることに興味を示すようになります。
しかけ絵本は、ただ読むだけじゃなくて、「触って」「動かして」「発見する」楽しさがあるので、1歳児の発達にぴったりだといえるでしょう。
ただし選ぶ際には注意点もあります。
複雑すぎるしかけは、1歳児には難しくて楽しめないことがあります。「めくる」「押す」「スライドさせる」といった直感的に操作できるしかけが適しています。
まためくる、引っぱる、スライドさせるといった動作は、指先の細かい動きを必要とするため、遊びながら学ぶ瞬間になっていると考えられています。
ロングセラー絵本から選ぶ安心感
初めての絵本選びで迷ったときは、長年多くの家庭で読まれ続けているロングセラー作品から探してみるのも一つの方法です。
世代を超えて支持されている絵本は、それだけ多くの子どもたちの反応が良かった証といえます。
重要なポイントとして、ロングセラー作品は言葉のリズムや展開の繰り返しなど、1歳児の発達特性に合わせた工夫が随所に施されていることが多く、安心して選びやすい選択肢です。
絵本を選ぶシーン別のポイント
絵本を選ぶ場面は、日常使いだけでなくプレゼントとして贈る場合もあります。
シーンに応じた選び方のコツを押さえておきましょう。
プレゼントとして贈るなら
お祝いやプレゼントに選ぶなら、シリーズなどのセット商品を選びましょう。
たとえば出産祝いの場合、好みが分かれる洋服などに比べて、絵本は誰にでも喜んでもらいやすくプレゼントにもぴったりです。
その場合、シリーズもののセット商品なら見栄えもよく特別感もあるためおすすめです。
日常の読み聞かせで長く使うなら
毎日の読み聞かせで使う絵本は、丈夫さと繰り返しの読みやすさを重視して選ぶとよいでしょう。
1歳児は気に入った絵本を何度も何度も繰り返し読みたがるものです。
繰り返しの使用に耐えられる丈夫な作りの絵本を選ぶことで、長く愛用できる一冊になります。

絵本を破ってしまったときの向き合い方
1歳児は絵本をかじったり破いたりしてしまうことがよくありますが、これは発達段階として自然な行動です。
無理にやめさせようとするのではなく、優しく教えていく姿勢が大切です。
もし絵本を破ってしまったら、「絵本が痛がってるよ。大事に使おうね」などと声かけしながら、絵本は読むものだということを気長に教えてあげるとよいでしょう。
焦らず繰り返し伝えることで、子どもは少しずつ絵本の扱い方を学んでいきます。
注目してほしいポイントとして、絵本を破ってしまうこと自体を過度に心配する必要はありません。
むしろ、それだけ絵本に興味を持って積極的に関わろうとしている証拠だと捉え、親子のコミュニケーションの一環として楽しむ姿勢を持ちましょう。
読み聞かせをより豊かにするコツ
絵本選びと同じくらい大切なのが、実際の読み聞かせの仕方です。
ちょっとした工夫で、子どもの反応や絵本への興味は大きく変わってきます。
声の抑揚や間を意識する
読み聞かせでは、読む人の声のトーンや間の取り方が重要な役割を果たします。
同じ文章でも、声で聞くと場面が浮かびやすくなったり、登場人物の気持ちが伝わりやすくなったりします。
また、隣にいる人と同じページを見ていること自体が、子どもにとって安心感になります。
大げさなくらいの抑揚をつけて読んであげると、1歳児の興味を引きやすくなります。
心の安定にもつながる時間として捉える
読み聞かせは単なる知育活動ではなく、親子の情緒的なつながりを深める時間でもあります。
読み聞かせの時間は、子どもの心をやさしく整える時間でもあります。
親の声を聞きながら物語の世界に入ることで、安心感が生まれ、気持ちが落ち着きやすくなります。
1歳児にとって、絵本の時間が「安心できるひととき」になるよう、リラックスした雰囲気で読んであげることを心がけましょう。
完璧に読み切ろうとしなくてよい
1歳児はまだ長い時間集中して座っていることが難しい年齢です。
途中でページをめくって終わってしまったり、飽きて他の遊びに移ってしまったりすることも珍しくありません。
重要な心構えとして、絵本を最後まで読み切ることにこだわらず、子どものペースに合わせて楽しむことを優先しましょう。
無理強いをすると、絵本自体に苦手意識を持ってしまう可能性もあるため注意が必要です。
よくある質問
絵本はどれくらいの頻度で読めばいいですか
回数や時間に明確な決まりはありません。
大切なのは頻度そのものよりも、親子で楽しむ時間として継続することです。
前述の東北大学の研究でも、読み聞かせの頻度が高い家庭ほど発達スコアが良好であるという結果が示されていますが、注目すべき点として、これは「毎日必ず何冊読まなければならない」という意味ではなく、無理のない範囲で継続することの大切さを示していると捉えるとよいでしょう。
同じ絵本ばかり読みたがるのは問題ないですか
まったく問題ありません。
興味を持ったことを何度も何度もくり返すことが大好きなのが、1歳くらいの子どもの特徴であり、同じ絵本を繰り返し読むことは、内容への理解を深めたり、次の展開を予測する楽しさを味わったりする大切なプロセスです。
まとめ
1歳児の絵本選びでは、月齢による発達の違いを踏まえながら、オノマトペや繰り返しの多い言葉、感情表現がわかりやすい絵柄など、子どもの興味を引き出しやすい要素を意識することが大切です。
あわせて、ボードブックのような丈夫な素材や、STマーク・子供PSCマークといった安全基準にも目を向けることで、安心して読み聞かせを楽しめる環境を整えられます。
そして何より大切なのは、対象年齢や周囲の評判にとらわれすぎず、お子さん自身が「好き」と感じる絵本を見つけてあげることです。
絵本を破ってしまっても、読み切れなくても、それは成長の過程における自然な姿。
焦らず気長に、親子で絵本の世界を楽しんでいってください。
この記事が、お子さんの反応がぐっとよくなる一冊との出会いのきっかけになれば幸いです。
