「うちの子、ちゃんと音が聞こえているのかな・・・」赤ちゃんが生まれると、そんな小さな疑問がふと頭をよぎることはありませんか。泣き声には敏感に反応するのに、名前を呼んでも振り向かない時期があったり、逆にある日突然テレビの音に驚いたように顔を向けたりと、赤ちゃんの聴力の発達は目に見えにくいからこそ気になるものです。この記事では、赤ちゃんの聴力がどのように育っていくのかを、胎児期から3歳頃までの月齢別に詳しく解説します。音への反応の目安を知っておくことで、日々の育児がもっと安心で楽しいものになるはずです。
赤ちゃんの聴力はいつから発達する?
赤ちゃんの聴覚は、実はお腹の中にいる時期からすでに発達を始めています。
妊娠28週頃からお腹の外の音がぼんやりと聞こえるようになるとされており、これは視覚の発達スピードと比べると驚くほど早いことがわかっています。
胎児期からすでに音を聞いている
妊娠28週頃からは、お腹の外の世界の音が何となく聞こえるようになります。
産まれたての赤ちゃんの目がほとんど見えないことを考えると、聴覚の発達がいかに早いかがわかりますね。
お腹の中にいる胎児は、ママの声や心臓の音、消化器官の動く音などに包まれて過ごしており、決して静かな環境ではないのです。
この胎内での音の経験が、生まれてからの聴覚発達の土台になっていると考えられています。
新生児はすでに聴力を備えて生まれてくる
赤ちゃんは音に明らかな反応を示すことはないものの、聴力が備わった状態で産まれてきます。
一見聞こえていないように見えても、突然の音にびっくりして目を覚ましたり、ママの声で安心して泣き止んだりすることができます。
ただし、生後3ヶ月くらいまでは、新生児期の聴力と変わりないとされており、小さな音まで聞こえているものの、聞こえたものの処理がまだ発達していない状態です。
つまり「聞こえてはいるけれど、何の音か理解するのはこれから」という段階といえます。

月齢別に見る音への反応の目安
ここからは、生後の月齢ごとに赤ちゃんの聴覚がどのように発達していくのか、具体的な反応の目安を見ていきましょう。
あくまで平均的な目安であり、個人差があることを前提に読み進めてください。
生後0〜1ヶ月頃:反射的な反応が中心
生まれたばかりの赤ちゃんは、音に対して原始反射で応えます。
赤ちゃんは音に対し、全身でビクッとする(モロー反射)、まばたき、眼を大きく見開くなどの反応を示します。
これらは自分の意思で反応しているのではなく、体に備わった無意識の反射であることがポイントです。
生後1ヶ月頃は、突然の音に手足を伸ばしてビクッと反応したり、近くで声をかけられると目を閉じたり、顔を向けたりします。
生後2〜3ヶ月頃:音の方向を意識し始める
生後2ヶ月頃には、掃除機の音や子どもの騒ぐ声などが聞こえると目を覚ますようになり、話しかけられると「アー」「ウー」と声を出したり、ニコニコしたりすることもあります。
さらに生後2〜3か月頃には、ガラガラの音や人の声の方に目を向けたり、視覚と聴覚を関連づけて音の方向がわかるようになります。
この時期は原始反射が徐々に薄れ、より意識的な反応へと切り替わっていく大切な転換期です。
生後3〜5ヶ月頃:音の意味を認識し始める
生後3ヶ月を過ぎると、テレビの音に反応して顔を向ける、怒った声・やさしい声や音楽に対して感情を示すといった様子がみられ、聞こえてくる音が何なのかを認識し始めます。
そしてママやパパ、そのほかの人の声を聞き分けられるようになるのは、生後5ヶ月頃からです。
この頃から「ママの声だ」と気づいて笑顔を見せる赤ちゃんも増えてきます。
生後6ヶ月〜9ヶ月頃:言葉への理解が深まる
生後6ヶ月くらいになると、言葉が人の口から発せられることを理解し始め、話しかけてくる人や歌っている人の顔をじっと見つめます。
さらに生後8ヶ月頃には、ママやパパが動物の声を真似すると喜んだり、「こらっ」「だめっ」など言われると泣いたりするようになり、生後9ヶ月を過ぎると「おいで」や「バイバイ」といった簡単な言葉かけに反応できるようになっていきます。
この時期は言葉の理解と感情表現が急速に結びついていく、とても興味深い成長段階です。

1歳〜3歳の聴力と言葉の発達の関係
1歳を過ぎると、赤ちゃんは単に音に反応するだけでなく、言葉の意味を理解し、自分でも発するようになっていきます。
この時期の聴覚発達は、その後の言語習得や社会性の発達に直結する重要な土台です。
1歳〜1歳半:簡単な指示が理解できる
1歳を過ぎると、「ちょうだい」「どうぞ」といった簡単な指示に応じたり、名前を呼ばれると振り向いたりする様子が増えてきます。
日常の中で繰り返し使われる言葉の音とその意味を、少しずつ結びつけている時期です。
1歳半〜2歳:語彙が急速に増える時期
この時期になると、聞いた言葉を真似して発する「模倣発語」が活発になり、単語の数が一気に増えていきます。
周囲の会話をよく聞き、耳から情報を吸収する力が育っている証拠でもあります。
この語彙の爆発期をしっかり支えるためにも、聴覚が正常に機能していることはとても大切な要素です。
2歳〜3歳:会話のキャッチボールが始まる
2歳を過ぎる頃には、二語文・三語文を話し、簡単な会話のやり取りができるようになる子が増えてきます。
もしこの時期になっても言葉の理解や発語の遅れが目立つ場合は、聴力に何らかの課題がある可能性も考えられるため、次章で紹介するチェックポイントを参考にしてみてください。
新生児聴覚スクリーニング検査とは
赤ちゃんの聴力について語る上で欠かせないのが、出産後まもなく行われる「新生児聴覚スクリーニング検査」です。
この検査は、先天性の聴覚障害をできるだけ早く発見し、早期の支援につなげるための非常に重要な検査です。
検査の内容とタイミング
厚生労働省の資料によると、新生児聴覚検査には、おおむね生後3日以内に実施する「初回検査」、初回検査においてリファー(要再検)であった児を対象として、おおむね生後1週間以内に実施する「確認検査」があります。
検査は赤ちゃんが眠っている間に、耳に小さな機器を当てるだけで行える負担の少ないものです。
日本産婦人科医会の資料でも、新生児聴覚スクリーニング検査は生後1か月までに終了し、生後3か月までに精密検査を終え、難聴が判明した場合には生後6カ月までに療育訓練開始が望ましいとされています。
なぜ早期発見がこれほど重要なのか
先天性の難聴は決して珍しいものではありません。
出生した時点で両耳に難聴のある子どもは一千人あたり約1人、片耳に難聴のある子どもも同じかそれ以上いるとされています。
早期に気づかれないまま時間が経過すると、言葉の発達や学習面に影響が及ぶ可能性があるため、検査を受けていない場合はできるだけ早く産院や自治体に相談することをおすすめします。
実際、聴覚の障害は程度が重度であれば1歳前後で気づかれますが、中等度の場合には「言葉のおくれ」により、2歳以降に発見され、支援の開始が3歳あるいはそれ以降になってしまうケースもあります。
だからこそ、生まれてすぐのタイミングで検査を受けておくことに大きな意味があるのです。

おうちでできる聴力チェックのポイント
新生児期の検査で問題がなかった場合でも、その後の成長過程で中耳炎などをきっかけに聞こえに変化が生じることもあります。
日々の生活の中で、次のようなポイントをさりげなく観察してみましょう。
月齢別チェックリスト
- 生後2〜3ヶ月頃:大きな音に体をビクッとさせる、声をかけると目を向ける
- 生後5〜6ヶ月頃:家族の声を聞き分けて笑顔を見せる
- 生後9ヶ月〜1歳頃:名前を呼ばれると振り向く、「バイバイ」に反応する
- 1歳半〜2歳頃:簡単な指示に応じる、単語を真似して発する
気になるサインが見られたら
耳鼻咽喉科医院の情報によると、お子様に声をかけても反応しないという場合、難聴の可能性がありますが、保護者の方も、何となく異変に気づいているものの「おもちゃに夢中になっているから」と良い風に考えがちな傾向があるといわれています。
少しでも「あれ、おかしいな」と感じたら、様子見をしすぎずにかかりつけの小児科や耳鼻科に相談することが大切です。
早期の受診について、早期に適切な治療を開始することで、改善させられる可能性もあるとされています。
難聴のサインを見逃さないために
聴力の課題は、赤ちゃんの表情や行動からは非常にわかりにくいことが多く、専門家でも見逃してしまうことがあります。
だからこそ、保護者が日常の中で気づける「小さな違和感」を大切にすることが重要です。
年齢によって気づかれ方が異なる
難聴の程度によって発見される時期は大きく異なります。
以前は重度難聴(ほぼ全く聞こえない)で1〜2歳、中等度難聴では3〜4歳、軽度難聴や片側難聴では小学校就学時までわからないケースも多かったとされています。
軽度の難聴ほど気づかれにくいという点は、多くの保護者が見落としがちな注意点です。
心配なときの相談先
もし気になる様子があれば、まずはかかりつけの小児科や耳鼻咽喉科に相談しましょう。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会など専門機関のウェブサイトでも、乳幼児の聞こえに関する情報が公開されています。
詳しい情報は下記の公式サイトも参考にしてください。
聴力の発達を促す日常での関わり方
赤ちゃんの聴覚は、生まれ持った能力に加えて、周囲からの音の刺激によっても育まれていきます。
難しいことをする必要はなく、日々のちょっとした関わりが大切です。
たくさん話しかけることの効果
赤ちゃんに向けた高く柔らかいトーンの話し方は「マザリーズ」と呼ばれ、赤ちゃんが特に好んで反応する声のトーンとされています。
おむつ替えや授乳のときなど、日常のあらゆる場面で優しく声をかけることが、赤ちゃんの聴覚と言葉の発達を自然に後押ししてくれます。
音楽や絵本を活用する
童謡や絵本の読み聞かせは、赤ちゃんが様々な音の高さやリズムに触れる絶好の機会になります。
無理に「聞かせよう」と意気込む必要はなく、親自身が楽しみながら声を出すことが、赤ちゃんにとって心地よい音の体験になります。
まとめ
赤ちゃんの聴力は、お腹の中にいる妊娠28週頃からすでに芽生え始め、生まれてからも月齢を追うごとに少しずつ「音を聞く」段階から「音を理解する」段階へと成長していきます。
生後1ヶ月頃の反射的な反応から始まり、2〜3ヶ月で音の方向を意識し、半年を過ぎる頃には言葉の意味を少しずつ理解し始めるという発達の流れを知っておくことで、日々の赤ちゃんの様子をより楽しく観察できるようになるはずです。
新生児聴覚スクリーニング検査は、先天性の難聴を早期に発見するための大切な機会です。
もしまだ検査を受けていない場合や、成長の過程で気になる様子がある場合は、決して一人で抱え込まず、かかりつけの小児科や耳鼻科に相談してください。
月齢ごとの目安はあくまで参考であり、赤ちゃんの成長スピードには個人差があります。
焦らず、その子だけのペースを大切に見守りながら、日々の育児を楽しんでいただければと思います。
