話しかけたとたん、赤ちゃんがこくんと頭を動かした。そんな瞬間は、思わず顔がほころびますよね。その一方で「これは本当に返事なの?」「首をかしげるのは何を伝えたいの?」と気になる方も多いはずです。
先に結論をお伝えします。意味を持ってうなずくようになるのは、1歳前後から1歳半ごろが目安で、2歳にかけて少しずつ増えていきます。ただし、首をこくこく動かす仕草や、不思議そうに首をかしげる仕草は、それよりずっと早い時期から見られます。
この記事では、赤ちゃんがうなずく時期と、首をかしげる仕草の意味を月齢別に整理します。うなずきを引き出す遊びや声かけ、気になる首の動きがあるときの見分け方と相談先まで、1本でわかるようにまとめました。発達の流れを知っておくと、毎日の小さな変化がぐっと楽しく見えてきます。
赤ちゃんがうなずく時期の目安
意味のあるうなずきは1歳前後から
「はい」「そうだね」という気持ちでうなずけるようになるのは、1歳前後から1歳半ごろ、そして2歳にかけてが一つの目安です。
うなずきは、言葉が出る前後に現れる「からだの返事」と考えるとわかりやすいでしょう。
言葉の面でも、赤ちゃんが話し始めるのは1歳前後が目安ですが、個人差は広く、国の調査では1歳0か月台に言葉が出ていた子は約3人に1人とされています。
うなずきや首を横に振る動きも同じで、早い子もいれば、ゆっくりな子もいます。
首をこくこくさせる動きとは別もの
赤ちゃんの首の動きには、大きく分けて2種類あります。
一つは、首や体の発達にともなって出てくる「動かせることを楽しむ動き」です。
もう一つが、相手の言葉に反応して意味を込める「身振りとしてのうなずき」です。
首すわりの目安は生後3〜4か月ごろで、厚生労働省の調査では、4か月になる前に首がすわった子が全体の63%、5か月を迎えるころには90%以上になります。
首が自由に動かせるようになると、赤ちゃんは新しく覚えた動きを繰り返し試すようになり、「首が動かせる」という発見そのものが遊びになります。
この時期のこくこくは、まだ返事ではなく発見の喜びと考えて大丈夫です。

個人差を前提に、昨日との違いを見る
赤ちゃんの成長や発達には個人差があり、月齢の目安どおりでなくても、すぐに心配しすぎる必要はありません。
大切なのは、他の子との比べっこではなく、「先月より反応が増えたかな」と、わが子の変化を見つけることです。
うなずきも、ある日突然始まる子もいれば、首を横に振る動きのほうが先に出る子もいます。
まずは「いつか出てくるおたのしみ」と気楽に構えて、毎日の観察を楽しんでみてください。
月齢別に見る首の動きと発達の流れ
首の動きが、月齢とともにどう変わっていくのかを一覧にしました。
あくまで目安なので、前後しても気にしすぎなくて大丈夫です。
| 月齢の目安 | よく見られる首の動き | 背景にある発達 | おすすめの関わり |
|---|---|---|---|
| 0〜4か月 | 反射的な動き、顔を声のほうへ向ける | 首すわりの準備、音や顔への興味 | 目を合わせて、ゆっくり話しかける |
| 5〜8か月 | 首を左右に振る、傾ける | 首を動かす楽しさ、視界が変わる面白さ | 安全な場所で自由に動かせる時間をつくる |
| 9か月〜1歳半 | まねっこ、首を横に振る、うなずきの芽生え | 身振りの模倣、言葉の理解 | バイバイや「ちょうだい」など身振り遊びを楽しむ |
| 1歳半〜3歳 | 返事としてのうなずき、「いや」の首振り | 言葉の理解の広がり、自己主張 | 気持ちを言葉にして返し、選ぶ場面をつくる |
0〜4か月ごろ:反射と首すわりの準備
生まれて間もない時期は、意図して首を動かすことはまだ少なく、音のするほうへ顔が向くなど反射に近い動きが中心です。
2か月ごろからは、うつぶせで頭を持ち上げる時間が少しずつ増え、3〜4か月ごろに首がすわっていきます。
この時期は、うなずきというより、ママやパパの顔をじっと見つめて声に耳をすませる姿が主役です。
たくさん話しかけた分だけ、のちの身振りやうなずきの土台が育っていきます。
5〜8か月ごろ:首を動かす遊びが増える
生後5〜8か月は、意図的な首振りが増える時期とされています。
ご機嫌なときに左右に首を振ったり、眠いときにゆらゆら動かしたりして、見ている大人は「大丈夫かな」と思うこともあります。
理由の一つは、動かすこと自体が楽しいからです。
首を動かすと目の前の景色が変わるため、筋肉の感覚と視覚の変化が重なって面白く感じるのだと、専門家は説明しています。
また、歯が生え始める時期には、歯ぐきのむずむず感を和らげようとして首を振ることもあります。
9か月〜1歳半ごろ:まねっこと身振りの芽生え
このころから、大人の動きをまねる遊びが一気に増えます。
バイバイ、拍手、いないいないばあ、指さしなど、身振りで気持ちを伝える場面が出てきます。
乳幼児健診の標準的な項目にも、身振りや手振りをまねするか、指さしで伝えようとするか、といった問いが含まれています。
うなずきは、こうした身振りの仲間として育っていきます。
一方で、首を左右に振る行動は生後数か月から1歳半ごろまでに見られ、1歳から1歳半までには自然に減っていくことが多いとされています。
代わりに、意味のある身振りや言葉が増えていく時期です。
1歳半〜3歳ごろ:返事としてのうなずき
言葉の理解が進むと、「ごはん食べる?」と聞かれて、にっこりうなずく姿が見られるようになります。
1歳半から2歳半ごろには「ママ きた」のような二語文が出てくるのが一般的です。
言葉がまだ少なくても、うなずきや首振りで会話が成り立つ時期でもあります。
2〜3歳になると、自分の気持ちがはっきりしてきて、「いや」の首振りが力強くなる子も多くなります。
うなずきと首振りの両方がそろうと、親子のやりとりはいっそう楽しくなります。
赤ちゃんが首をかしげる理由と気持ち
「なんだろう?」という興味のサイン
首をかしげる仕草は、見慣れないものや不思議な音に出会ったときに出やすい動きです。
顔の向きを少し変えると、見え方や聞こえ方が変わります。
赤ちゃんなりに情報を集めて、「これは何かな」と確かめているのかもしれません。
初めて見る動物の絵本、鳴り始めた掃除機の音、見知らぬ人の顔などで首をかしげたら、「なんだろうね」「不思議だね」と気持ちを代わりに言葉にしてあげましょう。
気持ちと言葉が結びつく、よい機会になります。
音や人の動きを探しているとき
声のするほうを探すとき、頭を少し傾けて耳を向ける赤ちゃんもいます。
名前を呼ぶと振り向く、見えない方向から声をかけるとそちらを見ようとする、といった反応は、乳幼児健診の問診でも確認される項目です。
首をかしげる動きが「聞こうとしている」サインに見えるときは、ゆっくり、はっきりと話しかけてあげてください。
うまく伝わったときの表情の変化を観察すると、赤ちゃんの世界の広がりを実感できます。
まねっこと甘えのコミュニケーション
大人が首をかしげてにっこりすると、赤ちゃんもまねをして首を傾けることがあります。
周りの人が喜ぶ様子を見ると、子どもはますます楽しくなって繰り返すともいわれます。
かわいい仕草を見て笑顔になったあなたの反応が、赤ちゃんにとってはごほうびなのです。
首をかしげて上目づかいでこちらを見る、いわゆる甘え顔も、この延長線上にあります。
親子の気持ちが通い合っている証拠なので、存分に楽しんでください。
うなずきが育つ3つのステップ
ここでは、首の動きの発達を、うなずきに向かう流れとして3段階に整理してみます。
決まった順番ではありませんが、わが子が今どのあたりにいるかを知る手がかりになります。
ステップ1:動かせることを楽しむ
首が自由に動くようになり、左右や上下に動かすこと自体を楽しむ段階です。
意味は込められていませんが、ここで「自分の体を思いどおりに動かせる」という感覚が育ちます。
こくんと動いた瞬間に、「そうだね」と笑顔で返してあげると、のちの身振りへの下地になります。
ステップ2:大人の動きと意味が結びつく
バイバイやおじぎをまねしながら、動きと意味が結びついていく段階です。
大人がうなずきながら「はいどうぞ」と渡す、うなずきながら「そうだね」と言う、といった場面を繰り返し見ることで、「この動きは同意の合図」と学んでいきます。
大人が見せる身振りの量が、そのままお手本の量になると考えると、日々の声かけに張り合いが出ます。
ステップ3:気持ちを選んで返す
質問の内容を理解して、「はい」ならうなずき、「いや」なら首を振って返す段階です。
ここまでくると、赤ちゃんから幼児へ、会話の相手へと変わっていきます。
なお、うなずきの意味は地域によって異なる場合もありますが、日本の暮らしの中では、家族のやりとりを見ながら自然に身につけていきます。
「いや」と首を横に振る動きとの関係
首振りが先に出る子もいる
「うなずきより先に、首を横に振るようになった」という子も少なくありません。
首を左右に振る動きは、「いや」という意思を伝える、言葉の初期段階のコミュニケーションの一つでもあります。
食べ物を口に近づけたときや、抱っこをやめたいときに首を振るのは、赤ちゃんなりの上手な意思表示です。
遊びとしての首振りも多い
ただし、首を振っているからといって、いつも「いや」とは限りません。
赤ちゃんの首振りはほとんどが発達の自然な過程で、リラックスや興味の表れであることが多いとされています。
ご機嫌なときに楽しそうに振っているなら、遊びや気持ちの表現と受け止めて大丈夫です。
前後の様子を見るのがコツです。
表情が笑顔か、食事や着替えの最中か、眠いときかなど、場面を合わせて見ると、首振りの意味が読み取りやすくなります。

2〜3歳のイヤイヤ期へのつながり
首を横に振る動きは、やがて2〜3歳のイヤイヤ期につながっていきます。
この時期の首振りは、「自分で決めたい」という気持ちの表れです。
頭ごなしに止めるのではなく、「いやなんだね」と一度受け止めてから、「こっちはどう?」と選択肢を示すと、気持ちが切り替わりやすくなります。
うなずきで答えられる質問にしてあげると、親子のやりとりがスムーズになります。
うなずきを引き出す遊びと声かけ
「はい」「いいえ」ごっこで楽しむ
難しいことをしなくても、遊びの中で身振りを見せるだけで十分です。
たとえば、次のような遊びがあります。
- おもちゃを渡すとき、「どうぞ」と言いながらうなずいて見せる
- 「おやつ食べる?」と聞いて、ママやパパが先にうなずき、「はーい」と答える
- ぬいぐるみに質問して、大人がぬいぐるみの代わりにうなずいたり首を振ったりする
赤ちゃんがうなずいたら、「そうなんだ、うれしいね」と言葉を添えましょう。
反応が返ってこなくても、がっかりする必要はありません。
見せる経験が積み重なって、ある日ふっと出てくるものです。
絵本やぬいぐるみで質問してみる
絵本は、うなずきを引き出す絶好の道具です。「くまさん、いたね」「りんごだね」と指さしながら声をかけ、ときどき「おいしそうだね」と同意を求めます。
ぬいぐるみに話しかけて、うなずく動きを見せるのもおすすめです。
赤ちゃんの頭を大人の手で上下に動かして、うなずきを教えるのはやめましょう。
首や頭は繊細で、強い揺れは危険です。
お手本は、大人が自分の体で見せるだけにとどめてください。
うなずき観察メモをつけてみる
首の動きは日によって違うため、記憶だけに頼ると変化がつかみにくくなります。
そこでおすすめなのが、短い観察メモです。
次の4つを書き留めるだけで、わが子のパターンが見えてきます。
- いつ:朝、食事中、遊びの最中、眠いときなど
- きっかけ:声かけ、物音、初めて見るもの、まねしたい相手など
- 動き方:縦か横か、傾ける向き、回数、続いた長さ
- そのときの表情:笑顔、真剣、ぼんやり、いやそうなど
スマートフォンのメモ欄に一言書くだけでも、後から読み返すと立派な成長記録になります。
のちに健診や受診で相談するときにも、役に立ちます。
受診を考えたい首の動きのサイン
首の動きのほとんどは、成長の過程で見られるものです。
ただ、ごくまれに、医療機関での相談が望ましい動きもあります。
不安をあおるつもりはありませんが、知っておくと安心につながるので、落ち着いて読んでください。
頭をカクンと繰り返す動きが続くとき
うなずくように頭をこくんこくんと何度も繰り返す、体をびくっとさせて両腕を広げる、といった動きが続く場合は、乳児のてんかんの一種(点頭てんかん)の可能性が指摘されることがあります。
患者家族会の情報では、頭を何度もこくんこくんとうなずかせる、目を繰り返し上に向ける、といった動きが例として挙げられています。
また、患者の多くは生後すぐから1歳ごろまでに発症し、首のすわりが悪くなった、笑わなくなったといった発達の退行がみられることもあります。
同じ動きが短い間隔で何度も続く、動きのあとに笑わなくなったり、できていたことができなくなったりしたときは、早めに小児科へ相談してください。
その際、動きの様子をスマートフォンで動画に撮っておくと、診察で状況を正確に伝えられます。
この説明は診断のためのものではなく、あくまで受診の目安です。
首がいつも同じ方向に傾いているとき
首をかしげる向きがいつも同じで、反対側を向きにくい、寝ているときも同じ向きばかりを好む、といった様子が長く続く場合は、首の筋肉のこわばりや向き癖のほか、見え方の影響が隠れていることもあります。
たまに傾ける程度であれば心配はいりませんが、常に同じ向きで、顔を反対に向けにくい様子があれば、健診や小児科で相談しておくと安心です。
反応や言葉が気になるとき
生後6か月を過ぎても声を出さない、7か月になっても喃語や音のまねをしない場合は、医師に相談してみるとよいとされています。
身振りについても、1歳を過ぎてもまねっこや指さしがほとんど見られない、呼びかけにほとんど反応しないといったことが続くなら、気軽に相談してみましょう。
相談したからといって、何かが見つかるわけではありません。「大丈夫ですよ」と言ってもらえるだけでも、親の心は軽くなります。
健診で伝えたいことと相談先
1歳6か月児健診と3歳児健診を活用する
母子保健法により、市町村は1歳6か月児と3歳児に対して健康診査を行うことが義務づけられています。
このほか、3〜4か月児健診など、自治体ごとに健診が設けられています。
健診は、身振りや言葉の理解、遊び方などを専門職に見てもらえる貴重な場です。
うなずきや首をかしげる仕草が気になるときも、遠慮せずに伝えましょう。「家ではこうなんです」と日ごろの様子を伝えるほど、的確な助言を受けられます。
動画とメモで日ごろの様子を伝える
赤ちゃんは、診察室では緊張して、普段の動きを見せてくれないことがよくあります。
気になる動きがあれば、短い動画を残しておきましょう。
前述の観察メモと合わせて見せれば、時期、回数、前後の様子が伝わります。

相談できる窓口を知っておく
日ごろの小さな疑問は、かかりつけの小児科や、お住まいの市区町村の保健センター、子育て支援の窓口で相談できます。
園に通っているなら、保育士さんに園での様子を聞くのも一つの方法です。
意識がもうろうとしている、けいれんが止まらない、呼びかけに反応しないといったときは、迷わず救急車を呼ぶか、救急の医療機関を受診してください。
よくある質問
1歳を過ぎてもうなずかないのは遅い?
うなずきは、言葉や身振りの発達の中で現れる動きの一つで、時期には幅があります。
うなずきの代わりに、指さしや手渡し、笑顔、声などで返事をしている子もたくさんいます。
うなずき単体で判断せず、名前を呼ぶと振り向くか、指さしやまねっこが増えているかといった全体の様子で見るのが基本です。
気がかりが続くときは、健診などで相談してみましょう。
眠いときに首を振るのは大丈夫?
眠いときやリラックスしたいときに、首をゆらゆらと振って自分を落ち着かせる赤ちゃんもいます。
寝る前や疲れたときに、自分を心地よく落ち着かせるために首を振る子もいるとされており、機嫌がよく、ほかの発達も順調なら、ほとんどは心配ありません。
ただし、頭を壁やベッドの柵にぶつけるほど激しい場合は、環境を整えたうえで、小児科で相談しましょう。
首をかしげるのは癖になる?
興味があるときや甘えたいときに首をかしげるのは、成長にともなう自然な表情の一つです。
向きが毎回同じ、反対側を向きにくい、見え方が気になるといった場合を除けば、癖を心配する必要はありません。
たまに首をかしげるくらいなら、かわいい仕草として楽しんでください。
抱っこ中に頭がカクンとなるのは?
眠くなって首の力が抜け、頭がかくんと下がるのは、ごく自然な動きです。
特に首がすわる前は、頭がぐらつきやすいため、首の後ろをしっかり支えてあげてください。
首がすわったと思っても、1か月くらいは様子を見ながら支えるのが安心です。
うなずくような動きが連続して起こるわけではなく、眠気によるものであれば心配はいりません。
まとめ
赤ちゃんがうなずく時期は、意味のあるうなずきが1歳前後から1歳半ごろ、2歳にかけて増えていくのが目安です。
それより前に見られる首のこくこくや首かしげは、首が動かせる喜びや、周りへの興味の表れであることがほとんどです。
うなずきの発達は、動かすことを楽しむ、動きと意味が結びつく、気持ちを選んで返す、という流れで進みます。
日々の声かけや身振り遊び、短い観察メモが、その成長をあと押ししてくれます。
一方で、頭をこくんと繰り返す動きが続く、首がいつも同じ向きに傾く、反応が気になるといった場合は、動画を撮って、健診や小児科で相談しましょう。
発達は一人ひとりのペースで進むので、比べるより「昨日との違い」を見つけて楽しむのがいちばんです。
わが子のかわいい首の動きを、ぜひたっぷり味わってください。