「1歳になったうちの子、これってできて当たり前なのかな?」「周りの子はもう歩いているのに・・・」そんな風に、お子さんの成長をふと気にしてしまうこと、ありませんか。1歳は、赤ちゃんから幼児へと駆け抜けるように成長する、人生で最もダイナミックな1年と言っても過言ではありません。歩く、話す、自分で食べる、感情を表現する・・・できることがどんどん増えていく時期です。
この記事では、1歳0か月から1歳11か月までを3か月ごとに区切り、運動面・言葉・生活習慣・心の発達という4つの視点から、お子さんが「できるようになること」をまるっと解説します。さらに、発達を楽しく後押しする遊び方や、親御さんが安心して見守るためのヒントも盛り込みました。発達には大きな個人差がありますので、目安としてリラックスしながら読み進めてくださいね。
1歳児の発達を知る前に押さえたい基本
1歳という時期は、わずか12か月の間に劇的な変化が起きる特別な期間です。
まずは大きな枠組みとして、1歳児の発達の特徴を理解しておきましょう。
同じ「1歳」でも月齢で大きく異なる
保育園の1歳児クラスの中には、1歳になったばかりの子どもと、もうすぐ2歳になる子もいて、まだ赤ちゃんのような子から、お話ができるような子どもまで、同じ1歳でも月齢によって発達の度合いには大きな差があります。
1歳0か月と1歳11か月では、まるで違う発達段階にあると考えてよいでしょう。
1歳児~2歳児になるまでは、赤ちゃんを脱していく時期にあたり「体の動き・遊び」「生活習慣」「言葉の習得」など、変化や発達がめざましい時期です。
だからこそ、3か月ごとの区切りで成長を見ていくのがおすすめです。
身長・体重の目安と1年間の変化
厚生労働省の乳幼児身体発育調査によると、1歳2か月~3か月の平均は男の子が身長76.8cm・体重9.65kg、女の子が身長75.3cm・体重9.06kg、1歳6か月~7か月の平均は男の子が身長80.6cm・体重10.41kg、女の子が身長79.2cm・体重9.79kgとなっています。
同調査では、1歳に入ってから2歳になるまでの1年間で身長は約10cm伸びるという結果も出ています。
一方、1歳になって歩き始めると運動量が一気に増えるため、0歳児の頃と比べて体重の伸びは緩やかなのも特徴です。
シュッと身長が伸びて、ちょっぴり子どもらしい体型に変わっていく1年です。

個人差は「当たり前」と心得る
1歳頃の子どもの発達には大きな個人差があり、子どもがもともと持っているものはもちろん、それまでの経験によっても違いが出てきます。
歩行が早い子もいれば、なかなか歩き始めない子もいます。
言葉に関しても同様で、おしゃべりが得意な子もいれば、なかなか言葉が出ない子もいます。
「目安」はあくまで目安。
お子さんのペースを尊重することが、何より大切な基本姿勢です。
【1歳0か月~3か月】最初の大きな一歩
1歳のスタート地点。
歩き始めや初めての言葉など、感動的な「初めて」がたくさん訪れる時期です。
運動面:歩行のスタート
厚生労働省の調査では、1歳4~5か月までにほぼ100%の子が物につかまらずに2~3歩歩く、いわゆるひとり歩きができるようになっています。
最初はよちよちと数歩、転んでは立ち上がりを繰り返しながら、徐々に歩行が安定していきます。
指先も発達して器用になり、これまで5本の指でものをつかんでいた子どもも、親指と人差し指で小さなものを上手に「つまむ」ことができるようになります。
この「つまむ」動作の発達によって、誤飲事故のリスクが急上昇します。
床に落ちている小さなものは特に要注意です。
言葉:意味のある最初の単語
厚生労働省の「乳幼児身体発達調査(平成22年)」では、1歳0か月~1か月で約6割の子どもが単語を口にするようになると報告されています。「ママ」「まんま」「わんわん」「ばぁ」など、初めての意味ある言葉=「初語」が登場します。
1歳から1歳2か月ごろは、まだ明確な意味のある言葉は話さなくても、声を出して喃語をしゃべり、信頼できる大人に自分の意思を伝えようとする行動も見られます。
話しかけたときに大人が応えてあげると、お子さんはとても喜びます。
心と社会性:感情表現が豊かに
1歳0か月~1歳3か月になると、声を出して大人の気を引くなど、コミュニケーションの基礎を獲得し、ママやパパと言葉でのやり取りを楽しむようになります。
できることが増えて感情表現も豊かになりますが、まだ自分の気持ちを言葉にすることは難しいため、かんしゃくを起こすようにもなります。
喜怒哀楽がはっきりしてくる時期です。
【1歳3か月~6か月】真似っこ名人デビュー
歩くことが安定し始め、周りの大人の真似がぐんと増える時期。「自分でやりたい」気持ちもムクムク育ちます。
運動面:歩く・しゃがむ・つまむ
支えなしに一人で立ったりしゃがんだりできるほか、走ったり階段の昇り降りをしたりするなど、段階を経て全身を使った運動が活発になってきます。
物を手に握ったまま上手に動かせるようにもなるため、クレヨンなどでのお絵描きや、積み木、ブロックなども少しずつ扱えるようになり、遊びの幅も広がります。
行動範囲が一気に広がるので、家庭内の安全対策をアップデートするタイミングです。
言葉:一語文と物の名前
1歳3か月頃からは、「ママ」「まんま」など、意味をわかって発する言葉が少しずつ出てきます。
自分から周りの大人や物と関わろうとして、自分の名前を呼ばれると返事をしたり、物の名前も覚え始めたり、歌に合わせて踊ったりします。
人の真似をするようになり、人形を抱っこしてトントンと寝かせたりなどままごと遊びをします。
大人が「ちょうだい」といえば持っている物を差し出したり、「どうぞ」と言われれば受け取ったりもします。
物を介したコミュニケーションができるようになる、感動的な時期です。
生活面:自分で食べたい!
東京都教育委員会の参考資料によると、1歳3か月~1歳6か月頃にはスプーンを持って自分で食べようとし、好きな食べ物・嫌いな食べ物が出てきて、両手でコップを持ち、ほとんどこぼさずに飲めるようになります。
食事の自立への第一歩です。
【1歳6か月~9か月】言葉が爆発的に増える
1歳半健診を迎えるこの時期は、発達の大きな節目。
言葉も運動も、ぐんと階段を上ります。
運動面:走る・登る・投げる
1歳後半には走ったり、両足でジャンプしたりもできるようになります。
つまむ・めくるなど、指先や手首の動きもスムーズになります。
公園の低い段差を登ったり、ボールを投げてみたり、全身を使った遊びを存分に楽しめる時期です。
言葉:1語以上を話す子が9割超え
厚生労働省の乳幼児身体発育調査では、1歳0~1か月未満の場合57.6%しか話さないのに対し、1歳6~7か月には1語以上の単語を話す乳幼児は94.1%を占めています。
これは行政の一次データに基づく信頼性の高い数値です。
1歳半健診の精神の発達状況チェックの中には「積み木の積み重ね」「指差し」「発語の数」の確認があり、発語は意味がある単語5~6語出ているかがチェックされます。
数が少なくても言葉を理解していたり、ジェスチャーで意思表示できていれば過度に心配する必要はありません。
気になるときは健診で相談してみましょう。

心:自我の芽生えとイヤイヤ
1歳児は自我が芽生え「自分でやりたい」という意欲が出始める時期で、周りの人・友達・自然・動物などへの興味と関心も高まり始めます。
同時に拒否する意思も生まれるため、言うことを聞かない「イヤイヤ期」も始まってきます。
無理にさせようとせず、気持ちを言葉で代弁してあげるのがコツです。
【1歳9か月~11か月】二語文と社会性の芽
もうすぐ2歳。
言葉も行動も、ぐっと「子どもらしく」なっていく時期です。
言葉:二語文の登場
1歳半から2歳になるころには「マンマ ほしい」「わんわん いる」などの二語文を使いはじめる子どもも出てきます。
単語だけでなく「ママ きた」「ワンワン いた」などの二語文を話し始めるようになり、これは言葉の発達が次のステップへ進んでいるサインです。
大人が話す言葉を理解し、それに合わせた行動もできるようになり、「食べて」や「待ってね」など簡単な指示を理解できるようになります。
会話のキャッチボールが少しずつ成立し始めます。
運動面:階段・三輪車・ボール
東京都の参考資料によれば、1歳後半には、手すりや横の壁につかまりながら一段ずつ、時には足を交互に出して階段を上るようになります。
ボールを使い、投げる、蹴る、追うなどの遊びができるようになり、走る・跳ぶなどの運動機能が伸びていきます。
生活面:着替え・排泄への興味
スプーンやフォークを使って食べようとする、衣服の着脱に協力的になる、靴を履くことも自分でしようとする、おしっこが出ると伝えるようになる、おまるや便器にも慣れてくる、といった姿が見られます。
トイレトレーニングのスタートを意識する家庭も増える時期です。
1歳児の発達を促すおすすめの遊び
遊びは1歳児にとって最高の学び。
発達段階に合った遊びで、楽しみながら能力を伸ばしましょう。
手指を育てる遊び
1歳になると、巧緻性(指先や手先を使う能力)が高まってきます。
鉛筆で字を書く、ハサミを使う、ボタンを留めるなど、巧緻性は子どもの発達において重要な役割を果たし、学習能力や生活能力の向上にも大きな影響を与えるため、積極的に取り入れましょう。
- 積み木・ブロック
- 型はめパズル
- シール貼り
- クレヨンでのお絵かき
- 紐通し
紐通しやボタンの掛け外しなどの遊びは、巧緻性を高める効果とともに、集中力や問題解決能力を高める効果も期待できます。
体を動かす遊び
ボール遊びはサッカーやドッジボールなどルールの決まった遊びもありますが、1歳児ではボールを投げる、蹴るような単純な遊びが楽しめます。
体を使う遊びであることから体力の向上や反射神経を鍛えられ、ボールを扱うことは空間認知能力も身につきます。
公園の芝生やマットの上で、思いきり体を動かしましょう。
言葉とイメージを広げる遊び
ごっこ遊びはイメージをしながら遊ぶので、お子さんの想像力を育てます。
誰かとごっこ遊びをすることでコミュニケーション能力が発達し、協調性も身につけられるようになります。
1歳児のごっこ遊びはママやパパ、周りの大人を真似する遊びが中心で、お子さんが望むごっこ遊びを一緒にしてあげることで、特に想像力や思考力を伸ばしてあげられます。
絵本の読み聞かせは、語彙力・想像力・親子の絆、すべてを一気に育てる魔法のツールです。

1歳児との接し方・関わり方のコツ
「どう接したらいいの?」と迷うパパママも多い時期。
ポイントを押さえれば、毎日の関わりがぐっと楽になります。
「自分でやりたい」を尊重する
1歳を過ぎると自我が芽生え始め、「自分でやりたい」と主張するようになります。
見ていると危なく感じて、つい手や口を出しがちですが、最低限のサポートをするに留めることが大切です。
体も思うように動かず慣れないことをするので時間がかかりますが、できる限り見守ってあげるようにしてください。「1人でできた」という達成感は、自信につながります。
時間に余裕がある朝や休日に、たっぷり「自分でやる」時間を確保するのがおすすめです。
たくさん話しかける
過去に公表されたシカゴ大学の研究では、2歳6か月時の「子どもに向けて発せられた言葉」が、3歳6か月時の子どもの語彙数に影響しているという結果が示されました。「子どもの周囲で話された言葉の数」に有意性は見られず、子どもに向かって語りかけることの重要性が強調されています。
テレビをつけっぱなしにするのではなく、目を見て、お子さんに向かって話しかけることがポイントです。
赤ちゃん向けにゆっくり、はっきり、抑揚をつけて、高めの声で話す「マザリーズ」と呼ばれる話し方が良い刺激になるといわれています。
褒めて、共感する
自分でできることの楽しさを積み重ねさせることで、どんどん身の回りのことができるようになります。
うまくいったときには褒めることを繰り返し、一緒に喜んであげることが大切です。
自分の思いはあってもまだうまく言葉で言い表すことができないので、泣いたり叫んだり時には物を投げたりと全身で感情を表現しようとします。
大人は子どもの様子からどんな思いを抱いているのか感情を汲み取り、共感することが大切です。「悲しかったね」「嫌だったね」と気持ちを言葉にしてあげましょう。
1歳児の安全対策で気をつけること
動きが活発になる1歳児。
ヒヤッとする場面も増えるので、家庭内の安全対策はしっかりと。
誤飲・誤食への備え
指先が発達して物をつかむのがうまくなるため、小さいものを拾ったりつまんだりする動作ができるようになります。
そのため、誤食・誤飲が起きやすく、家の中や遊び場では注意が必要です。
トイレットペーパーの芯を通り抜ける大きさのものは、誤飲リスクがあると覚えておきましょう。
ボタン電池、医薬品、タバコ、磁石は特に危険です。
転倒・転落への対策
いろんなことにチャレンジしながら身体の動きや手の動きを学んでいきますが、まだ体のバランス感覚が不十分なため、転倒や落下などの危険もあることは念頭に置いておきましょう。
階段にはゲートを、ソファやベッドの周りにはマットを敷くなどの対策を。
遊具・遊び場の確認
1歳児の遊びでは、常に安全面に関する配慮が大切です。
まだ危険察知能力がしっかり身についていないため、遊ぶ環境を整え、誤飲や怪我の恐れがあるものを置かないようにしましょう。
公園の遊具でも遊べるようになる時期ですが、対象年齢や危険がないかをあらかじめ大人が確認しておきましょう。
遊具で遊ぶときは必ず大人が手の届く距離で見守り、対象年齢を確認してから利用しましょう。
発達が気になるときの相談先
「うちの子、ちょっと気になるな」と思ったとき、抱え込まずに相談できる場所を知っておくと安心です。
1歳半健診を活用する
1歳半健診は、お住まいの市町村で無料で受けられる定期健診です。
発達の様子を専門家がチェックし、不安なことを直接相談できる貴重な機会です。
気になることはメモして持参しましょう。
保健センターへの相談
保健センターは地域の住民の保険や衛生を支える行政機関で、1歳半健診・3歳児健診などもおこなっています。
決まった育児相談日に窓口での相談をおこなうほか、電話相談、家庭訪問をして相談を受けることもあります。「医療機関に相談するか悩んでいる」といった相談も受け付けていて、子どもの状態にあわせてアドバイスや医療機関・支援機関の紹介もしてくれます。
言葉の発達がゆっくりなとき
お子さまのエネルギーが主に「動くこと」に向けられている場合、言葉の発達が少しゆっくりに見えることがあります。
これは脳が運動能力の発達を優先しているためで、決して言葉の発達が遅れているわけではありません。
身体能力が安定してくると、自然と言葉の方にも興味やエネルギーが向かうようになります。
焦らずに、お子さんのペースを信じて見守ることも、立派な「関わり」です。
まとめ:1歳の1年は「奇跡の連続」
1歳の1年間は、歩く・話す・自我が芽生える・自分で食べる・気持ちを伝えるといった、人としての土台がぎっしり詰まった奇跡のような時期です。
今回ご紹介した月齢別の目安は、あくまで「だいたいの地図」であって、お子さんが進む道そのものはお子さん自身が決めていきます。
大切なのは、目安と比べて一喜一憂することではなく、お子さんの「今日できたこと」を一緒に喜ぶこと。
昨日できなかったことが今日できる、その小さな奇跡の積み重ねが1歳の1年です。
イヤイヤに振り回される日も、寝かしつけがうまくいかない日も、ご飯をひっくり返される日もあるでしょう。
でも、その一つひとつがお子さんの「自分でやりたい」「伝えたい」という成長の証です。
完璧な親である必要はありません。
お子さんと一緒に笑い、一緒に困り、一緒に成長していく姿勢こそが、最高の育児です。
この記事が、1歳児を育てるパパママにとって、少しでも気持ちが軽くなり、毎日の育児がもっと楽しくなるヒントになれば嬉しいです。
お子さんとの今しかない宝物のような時間を、たっぷり味わってくださいね。
