「生後2か月で6本も注射するの・・・?」「同時接種って本当に大丈夫?」「うっかり打ち忘れたらどうしよう・・・」。赤ちゃんを迎えたばかりの親御さんなら、誰もが一度はそんな不安を抱えるはずです。赤ちゃんの予防接種は種類が多く、しかもスケジュールが複雑で、初めての育児ではパニックになりがちですよね。
でも、安心してください。この記事では、0歳から3歳までの予防接種スケジュールを月齢別に整理し、いつ・どのワクチンを・どんな間隔で受ければいいのかを、わかりやすくまとめました。最新の制度変更や、忙しいパパママのためのスケジュール管理のコツ、同時接種への向き合い方まで、これ1本で全部わかる内容になっています。
読み終わるころには「予防接種、なんとかなりそう!」と前向きな気持ちになれるはず。赤ちゃんと一緒に過ごす毎日が、もっと楽しく、もっと安心できるものになりますように。

予防接種スケジュールの基本を知ろう
赤ちゃんの予防接種は、生まれた瞬間からカウントダウンが始まっています。
なぜ早めに接種が必要なのか、その理由を知ることで、スケジュール管理のモチベーションが大きく変わります。
なぜ生後2か月から始めるの?
赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる間、胎盤を通じてさまざまな病気への免疫(移行抗体)を受け取ります。
しかし百日せきの抗体は生まれて早い時期に、麻しん(はしか)の抗体は乳児期後半には失われてしまいます。
つまり、お母さんからもらった「お守り」は時間とともに減ってしまうのです。
赤ちゃんは生まれてしばらくのうちは母親からもらった免疫で守られていますが、その免疫は次第に減っていくため、感染症にかかりやすくなります。
赤ちゃんの予防接種を遅らせると、免疫がつくのが遅れ、重い感染症になる危険性が高まります。
だからこそ、生後2か月の誕生日が「ワクチンデビューの日」と覚えておきましょう。
定期接種と任意接種の違い
予防接種には、国が強く推奨し公費で受けられる「定期接種」と、希望者が自費(自治体助成あり)で受ける「任意接種」があります。
任意接種だから重要度が低いということではなく、どちらもVPD(ワクチンで防げる病気)から赤ちゃんを守る大切な手段です。
ワクチンの目的はVPDの予防です。
とくに乳児は感染症に対する免疫が未発達のため、ひとたびかかってしまうと重症化しやすく入院が必要になったり、命にかかわったりする場合があります。
任意接種でも、おたふくかぜや一部の追加ワクチンなど、かかりつけ医と相談して積極的に受けたいものがあります。
生ワクチンと不活化ワクチンの違い
ワクチンは大きく2種類に分けられます。
生ワクチンは病原体を弱毒化したもの、不活化ワクチンは病原体の感染力をなくしたものです。
ワクチンには「不活化ワクチン」と「生ワクチン」があります。
注射の生ワクチン同士の接種間隔は、4週間あける必要があります。
この接種間隔のルールは、スケジュール作りでつまずきやすいポイントなので、しっかり覚えておきましょう。
0歳前半に受けるワクチン一覧
0歳の前半(生後2〜6か月)は、まさに「予防接種ラッシュ」の時期。
半年間で15回以上の接種が必要になることもあり、ここをどう乗り切るかが鍵になります。
生後2か月:ワクチンデビューの日
生後2か月の誕生日になったら、いよいよワクチンデビュー。
標準的には以下を同時接種します。
- 五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ)
- 小児用肺炎球菌ワクチン(15価または20価)
- B型肝炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン(経口)
5種混合ワクチンは令和6年4月から定期接種となりました。
4種混合ワクチンとヒブワクチンの接種を受けたことがない場合は、令和6年4月以降は原則、5種混合ワクチンで接種を開始してください。
注射の本数が減るのは、赤ちゃんにも親御さんにも嬉しいニュースですね。
ロタウイルスワクチンは生後14週6日までに1回目を接種する必要があります。
スタートが遅れると接種できなくなるため、生後2か月になったら早めに予約しましょう。
生後3〜4か月:2回目の接種
生後2か月で打ったワクチンの2回目を、4週間以上の間隔をあけて接種します。
同じ顔ぶれを同時接種するのが一般的です。
生後2か月から7か月に至るまでに接種を開始して、4回接種します。
第1期初回(3回):生後12か月になるまでに20日以上(標準では3週から8週)の間隔で接種というルールがあります。
生後5〜6か月:BCGと3回目
生後5か月を過ぎたら、結核を予防するBCGワクチン(はんこ注射)の出番です。
予防接種は、自治体が指定した日時・場所で受ける「集団接種」と小児科などの医療機関で個人で受ける「個別接種」があります。
BCGは地域によって集団接種と個別接種がありますので、お住まいの自治体に確認しておきましょう。
お住まいの自治体の案内を必ずチェックしましょう。
この時期に、五種混合・肺炎球菌・B型肝炎の3回目を接種し、初回シリーズが完了します。
ヒブ、肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎、百日せきは生後6か月までに必要回数を済ませることが、赤ちゃんを重い感染症から守るカギになります。

1歳から3歳のスケジュール
1歳の誕生日は、赤ちゃんの成長を祝う特別な日であると同時に、新しいワクチンデビューの日でもあります。
0歳のラッシュを乗り越えた親御さんも、ここで気を抜かないでくださいね。
1歳の誕生日に受けるワクチン
1歳になったら最初に受けたいのは、MR(麻しん風しん混合)ワクチン。
麻しんは重大なVPDであり、ここ数年国内でも感染例が報告されています。
そのほかに受けたいのが、水痘(みずぼうそう)ワクチンとおたふくかぜワクチンです。
これらのワクチンは同時接種もできますので、かかりつけ医と相談してください。
さらに、1歳代では小児用肺炎球菌、五種混合ワクチンの追加接種も忘れずに。
1歳の誕生日に、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)1回目を接種します。
同時に定期接種の小児用肺炎球菌ワクチン4回目、五種混合ワクチン4回目、水痘ワクチンも接種します。
同時接種を活用すれば、通院回数を大幅に減らせます。
水痘とおたふくかぜは2回接種
水痘ワクチンは定期接種で2回、おたふくかぜワクチンは任意接種ですが2回接種が推奨されています。
1回目を生後12か月から15か月までに接種し、3か月以上(標準では6から12か月)空けて2回目を接種します。
1回目で得た免疫を確実なものにするため、2回目を忘れずに受けましょう。
3歳からの日本脳炎ワクチン
日本脳炎ワクチンは標準的には3歳から接種が始まります。
ただし、標準的な接種年齢は3歳からですが、6か月からの接種をお勧めしますという小児科医も増えています。
現在、地球温暖化で平均気温が上がり、日本脳炎の北限の緯度が高くなっています。
もともと生後6ヶ月から接種できるワクチンなので、多発している地域では3歳を待たずに接種をお勧めするところもあります。
お住まいの地域の流行状況や、かかりつけ医の方針を確認してみてください。
同時接種は本当に安全?
「一度に何本も注射するなんてかわいそう・・・」「副反応が強く出たりしないの?」同時接種への不安は、ほとんどの親御さんが感じることです。
でも、ちゃんとした理由と安全性があるからこそ、世界中で推奨されているのです。
同時接種が推奨される理由
近年、予防接種で予防できる病気(VPD)の種類が増え、特に赤ちゃんの時期は何種類ものワクチンで体を守っておく必要があります。
次のページでご説明する「ワクチンの接種間隔」という決まりを守りながら、病気に罹ってしまう前に、効率よく病気を予防するためにワクチンの同時接種が必要になります。
同時接種の最大のメリットは、必要な免疫を最短ルートで獲得できることです。
1本ずつ打っていたら、すべて完了するのに何か月もかかってしまい、その間に病気にかかるリスクが高まります。
世界での実績
海外では使用しているワクチンが国によって異なるので、接種スケジュールも国ごとに異なります。
どの国でも同時接種を前提にスケジュールが組まれています。
アメリカでもヨーロッパでも、同時接種は標準的な方法として何十年も実施されています。
不安なときの相談方法
それでも不安な場合は、同時接種がご心配の方は、1種類ずつ接種する事もできますので、ご相談下さいと多くの小児科で対応してもらえます。
ただし、1種類ずつだと通院回数が増え、接種完了が遅れるデメリットがあることは知っておきましょう。
同時接種の副反応は、単独接種と比べて頻度や程度が増えるという科学的根拠はありません。
心配なときはかかりつけ医に納得いくまで質問することが大切です。

スケジュール管理を楽にするコツ
「打ち忘れが怖い」「次はいつだっけ?」毎日の育児で頭がいっぱいの中、予防接種スケジュールまで完璧に管理するのは大変です。
ここでは、忙しい親御さんでも続けられる管理術を紹介します。
母子手帳をフル活用
すべての基本はやっぱり母子手帳。
接種日、ワクチン名、ロット番号がきちんと記録されていれば、引っ越しや転院があってもスムーズに引き継げます。
受診時には必ず持参する習慣をつけましょう。
無料アプリで自動リマインド
最近は便利なスケジューラーアプリがたくさん登場しています。
生年月日を入力するだけで、次の接種日を自動計算してくれるものや、接種予定日が近づくと通知してくれるものもあります。
紙の母子手帳とアプリの両方で管理する「ダブルチェック方式」がおすすめです。
かかりつけ医と相談しよう
妊娠中から小児科をさがしはじめて、1か月健診がおわったら実際に小児科に問い合わせや予約をしてみると、2か月からスムーズにはじめられますよ。
信頼できるかかりつけ医を早めに決めておくと、スケジュール相談はもちろん、急な発熱や体調不良の時にも安心です。
パパとも情報共有を
予防接種はママだけが頑張るものではありません。
次の接種日や持ち物を家族カレンダーに共有したり、付き添いを分担したりすることで、ぐっと負担が減ります。
赤ちゃんの泣き声に動じないパパの存在は、予防接種当日の心強い味方です。
打ち忘れたときの対処法
体調を崩したり、うっかり予定を見逃したり・・・スケジュール通りに進まないことは珍しくありません。
大切なのは、慌てず正しく対処することです。
遅れても大丈夫、まずは小児科へ
もし接種が遅れてしまっても、ほとんどのワクチンは後から接種可能です。
最終的には、ワクチンで予防する病気にかかる前に、接種が終わわればいいのです。
予防接種はお子さんを病気から守るためのものです。
まずは1本からでも始めてみて下さい。
気づいた時点で、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。
接種間隔のルールを確認
接種間隔は2020年10月から大幅に緩和され、以前より柔軟になりました。
令和2年10月1日からワクチン接種間隔の規則が大幅に改正されました。
注射の生ワクチン同士のみ27日以上の間隔が必要で、不活化ワクチンや経口生ワクチンとの間隔の制限は基本的になくなっています。
キャッチアップスケジュールという選択肢
0歳のワクチンを受けていない場合のキャッチアップスケジュールも用意されています。
もし、五種混合と小児用肺炎球菌ワクチンを1回も接種していない場合には、かかりつけ医と相談して、ぜひ急いで接種してください。
遅れたからといって諦める必要は一切ありません。
定期接種には年齢の上限があります。
期限を過ぎると自己負担になることがあるので、母子手帳で接種状況を定期的にチェックする習慣をつけましょう。
制度変更のポイント
予防接種制度は毎年のように更新されています。
最新の動向を知っておくことで、より良い判断ができるようになります。
RSウイルス母子免疫ワクチンの定期接種化
大きな変化として、RSウイルス感染症に対する母子免疫ワクチンが定期接種に加わりました。
妊娠中のお母さんが接種することで、生まれた赤ちゃんがRSウイルスから守られる仕組みです。
RSウイルスの母子免疫ワクチンが、妊娠28週0日~36週6日の妊婦への定期接種となりました。
妊娠中の方は産婦人科で相談してみましょう。
肺炎球菌ワクチンの進化
小児用肺炎球菌ワクチンも進化しています。
20価肺炎球菌ワクチン 3回 または 15価肺炎球菌ワクチン 3回 または 13価+15価 肺炎球菌ワクチン 合わせて3回と、より多くの型をカバーできるワクチンが使われるようになっています。
どのワクチンを選ぶかは、医療機関や自治体の供給状況によって変わるので、かかりつけ医に確認しましょう。
五種混合ワクチンの登場で注射が減った
5種混合ワクチンは令和6年4月から定期接種となりました。
これにより、これまで別々に接種していたヒブと四種混合が1本にまとまり、赤ちゃんへの負担が減りました。
新しく予防接種を始めるお子さんは、原則として五種混合ワクチンが選択されます。
当日の準備と過ごし方
予防接種当日は、赤ちゃんも親御さんも緊張するもの。
スムーズに乗り切るための準備とコツをまとめました。
持ち物チェックリスト
- 母子手帳(絶対に忘れない!)
- 予診票(自宅で記入を済ませておく)
- 健康保険証・乳幼児医療証
- 替えのオムツ・着替え
- 授乳ケープやミルク
- お気に入りのおもちゃやおしゃぶり
体温チェックと体調確認
当日は朝、家で体温を測っておきましょう。
受付窓口で体温計を受け取って下さい。
院内で体温を計る決まりになっておりますと、医療機関でも再度計測することが多いです。
37.5度以上の発熱や、いつもと様子が違うと感じたら、接種を見送る判断も必要です。
接種後の過ごし方
接種後はすぐに帰らず、医療機関で少し様子を見ます。
接種後30分程、何か気になる事がないか、確認していただき、終了です。
帰宅後は、いつも通りに、入浴や授乳をしていただけます。
重大なアレルギー反応のほとんどは接種後30分以内に起こるため、この待機時間はとても重要です。
帰宅後は激しい運動は避け、普段より少しゆったり過ごさせてあげましょう。
接種部位が赤く腫れたり、軽い発熱が出たりするのは一般的な反応です。
ただし、ぐったりしている、けいれんがある、機嫌が極端に悪いなど、いつもと違う様子があればすぐに医療機関に連絡してください。
育児を楽しむためのヒント
予防接種は、ただの「やらなきゃいけないこと」ではありません。
赤ちゃんの成長を実感できる、大切なマイルストーンでもあります。
成長記録としての予防接種
母子手帳に増えていくスタンプは、赤ちゃんが頑張った証であり、家族の愛情の記録でもあります。
接種後の赤ちゃんの様子を写真に残したり、簡単な日記をつけたりすると、後から見返したときに「こんなに小さかったんだ」と感動できる宝物になります。
不安は一人で抱え込まない
初めての育児では、わからないことだらけで当たり前。
SNSの育児コミュニティや、自治体の子育て支援センター、産後ケア施設など、頼れる場所はたくさんあります。
「これって普通?」と感じたら、迷わず専門家やかかりつけ医に相談しましょう。
頑張った後のご褒美タイム
予防接種をやり遂げた日は、赤ちゃんもパパママもみんな頑張った日。
お気に入りのカフェでテイクアウトしたり、家族でゆっくり過ごしたりして、自分たちにも小さなご褒美をあげましょう。
育児は長距離マラソン。
自分を労わる時間を持つことが、笑顔の育児を続ける秘訣です。
まとめ:余裕を持って計画的に
赤ちゃんの予防接種スケジュールは複雑で、最初は誰でも戸惑います。
でも、ポイントを押さえれば決して難しくありません。
大切なことを振り返ってみましょう。
生後2か月の誕生日がワクチンデビューの日。
同時接種を活用して効率よく免疫をつける。
生後6か月までにヒブ・肺炎球菌・ロタ・B型肝炎・百日せきの初回シリーズを完了させる。
1歳の誕生日にはMR・水痘・おたふくかぜ・追加接種を計画する。
打ち忘れても慌てず、すぐかかりつけ医に相談する・・・このリズムさえつかめば大丈夫です。
予防接種は、目に見えない病気から愛する赤ちゃんを守る、何よりのプレゼント。
完璧を目指しすぎず、家族のペースで進めていきましょう。
最新の制度や個別の状況については、必ず厚生労働省や日本小児科学会の公式情報、そしてかかりつけの小児科医にご確認ください。
赤ちゃんと過ごす毎日が、安心と笑顔に満ちたものでありますように。
スケジュール管理がうまくいけば、その分、抱っこやお散歩、絵本タイムをもっと楽しめます。
ママもパパも、肩の力を抜いて、赤ちゃんとの時間を満喫してくださいね。
【参考情報】
・厚生労働省「予防接種・ワクチン情報」
・日本小児科学会「予防接種スケジュール」
・Know VPD!「予防接種スケジュールを立ててみよう」
