1歳の食事量が少ない時の目安と向き合い方

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「せっかく作ったのに、今日もほとんど食べてくれない・・・」「逆にこんなに食べて大丈夫?」 1歳前後のお子さんを育てていると、毎日の食事量に一喜一憂してしまいますよね。離乳食が完了期に入り、母乳やミルクから食事へと栄養の中心が移っていくこの時期は、食べる量の悩みがぐっと増えるタイミングです。

でも、安心してください。1歳児が食べない・食べムラがあるのは、ごく自然で「成長の証」でもあります。この記事では、厚生労働省の公式な目安量から、食べない原因、最新の研究データに基づいた向き合い方、そして毎日の食卓がちょっと楽しくなる具体的な工夫まで、まるごとお伝えします。読み終わるころには、肩の力がふっと抜けているはずです。

ベビーチェアに座り手づかみで食事をする1歳くらいの赤ちゃんと、笑顔で見守る母親

1歳の食事量の目安はどれくらい?

まず気になるのが「うちの子、ちゃんと量を食べられているの?」という点ですよね。
厚生労働省の公式ガイドをもとに、具体的な目安を見ていきましょう。

厚生労働省が示す1食あたりの目安量

1歳ごろは離乳食の「完了期(1歳~1歳6か月)」にあたります。
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、完了期の主食の目安を軟飯90〜110g、またはごはん80g程度としています。
おかずについては、魚または肉15〜20g、豆腐50〜55g、全卵2分の1〜3分の2個、乳製品100gのいずれか、そして野菜・果物が40〜50g程度が1食あたりの目安です。

1日の食事回数は3回が基本で、それとは別に1日1〜2回の補食(おやつ)を必要に応じて与えるのがこの時期の食べ方です。
補食は食事と食事の間に与え、ごはんの代わりになるような食材を選ぶとよいとされています。

食事量は「大人の3分の1〜2分の1」が目安

もっとざっくりイメージしたい方には、こんな考え方も役立ちます。
1〜2歳の1日のエネルギー目安は、おおよそ男児で950kcal、女児で900kcal程度。
食事の全体量としては、大人の食事の3分の1〜2分の1程度をイメージすると分かりやすいでしょう。

食事バランスガイドの視点では、主食・副菜・主菜をそれぞれ大人の2分の1弱、果物を2分の1程度の割合が1日の目安とされています。
なお、まだ十分に噛む力が育っていないため、繊維質の固い葉ものや弾力のある肉類は控えめにし、やわらかく調理してあげましょう。

「何g食べたか」より大切なこと

ここで一番お伝えしたいのは、目安量はあくまで目安であり、すべての子がその通りに食べる必要はないということです。
大人だって毎食きっちり同じ量を食べるわけではありませんよね。

子どもの食事量を判断するうえで本当に大切なのは、グラム数ではなく「体重が増えているか」「元気でいるか」という2点です。
目安量を完食できなくても、成長曲線に沿って体重・身長が伸びていれば、過度に心配する必要はありません。
数字に振り回されず、目の前のお子さんの様子を見てあげることが何よりの判断材料になります。


食事量が少ない・食べない6つの原因

「どうしてこんなに食べないの?」と悩む前に、まずは理由を知ることが解決への近道です。
1歳児が食べない背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。

食卓で食べ物に興味を示さず、おもちゃのほうを見ている1歳児の様子

遊びに夢中・お腹が空いていない

1歳児はまだ「食事の時間に集中して食べる」という習慣が身についていない子が多い時期です。
遊ぶことのほうに興味が向いてしまったり、そもそもお腹が空いていなかったりすることはよくあります。
雨の日で外遊びができず体力を持て余していたり、食事の前にお菓子を食べていたりすると、当然食欲も湧きません。

イヤイヤ期・自我の芽生え

1歳ごろから少しずつ自己主張が始まります。「好きなものを食べたい」「自分の手で食べたい」といった気持ちから、大人の思うようには食べてくれなくなることがあるのです。
「イヤ!」と言えるのは、それだけ自我が育って自分の好みを主張できるようになった成長のサインでもあります。

食材の固さ・形態が合っていない

同じ月齢でも、固いから食べない子もいれば、逆にやわらかすぎて食べないという子もいます。
離乳食から幼児食への移行期は、食材の大きさ・固さ・形状が大きく変わる時期。
パサつきがちな鶏肉や魚にあんかけやとろみをつける、大きさを変えてみるなど、ちょっとした工夫で食べやすくなることがあります。

味や見た目が苦手・体調不良

1歳ごろになると味覚が発達し、味を敏感に感じ取るようになります。
初めて見るメニューは口に入れることなく嫌がるなど、見た目で判断することも。
また、急に食べなくなったときは、口内炎や発熱など体調不良のサインの可能性もあるため、機嫌や体温もあわせて確認してあげましょう。
なお、満腹中枢は1歳ごろに完成するといわれ、「お腹いっぱい」を感じて食べなくなることも自然なことです。


「食べない」は本当に珍しいこと?研究データで見る実態

「うちの子だけ食べないのでは・・・」と孤独な気持ちになっていませんか。
実は、海外の研究データを見ると、その景色は大きく変わります。

2人に1人の親が「食べない」と感じている

ある米国の全国調査(乳幼児3,022人を対象)では、保護者が「偏食がある」と感じる割合は生後4か月で19%だったのに対し、24か月では50%まで上昇したと報告されています。
つまり1〜2歳のころには、およそ2人に1人の親が「うちの子は食べない」と感じている計算になります。
台湾の調査でも偏食の割合は54%とされており、これは決して「うちの子だけ」の悩みではないのです。

偏食の多くは自然に通り過ぎる

心強いデータもあります。
スタンフォード大学の縦断研究では、偏食のある子どもの58%が2年以内に自然に改善したと報告されています。
半数以上は「通り過ぎる時期」だということです。
見慣れない食べ物を警戒するのは「新奇性恐怖(food neophobia)」と呼ばれる本能的な反応で、18か月ごろから強まり2〜6歳がピークとされています。
これは生存のための防衛本能であり、決して「わがまま」でも「料理の腕のせい」でもありません。

成長曲線のグラフと母子手帳を広げて確認する保護者の手元

成長曲線に沿っていれば大きな心配は不要

英国の大規模追跡研究では、3歳で偏食と判定された子どもを17歳まで追いかけたところ、体重・身長ともに正常範囲内で推移していたと報告されています。
食べる量が少なく見えても、成長曲線に沿って体重・身長が伸びていれば、今のところ大きな心配はいりません。
乳児健診や定期受診のたびに成長曲線を確認していくことで、安心して見守ることができます。


少食な子への向き合い方と工夫

原因が分かったら、次は具体的な対応です。
ポイントは「無理強いしない」こと。
焦らずできることから試していきましょう。

子どものペースを尊重する「役割分担」

近年の育児の考え方で注目されているのが、親と子の「役割分担」です。
「何を・いつ・どこで出すか」は親が決め、「食べるか・どれだけ食べるか」は子どもに任せるという考え方です。
子どもの食べる量に親が過度に介入しない場合、体重が適正に保たれやすいという報告もあります。

WHOの補完食ガイドライン(2023年)でも、6〜23か月の子どもには「子どもが自分のペースで、おなかのサインに応じて食べることを促す関わり」が強く推奨されています。
口を閉じる、顔をそむける、手で払いのける これらは「もういらない」のサインです。
そのサインを尊重してあげましょう。

食べやすくする調理の工夫

固さや味が原因のときは、調理をひと工夫してみましょう。
好きな味の中に新しい食材をそっと混ぜるのも有効です。
たとえば好きなパンケーキにすりおろした野菜を加えたり、カレーに新しい具材を入れたり。
食べ慣れた味は子どもに安心感を与えるので、好きな食べ方があれば無理にいろいろな調理法を試さなくても大丈夫です。
手づかみ食べしやすい大きさにカットしてあげるのもポイントです。

食事を「楽しい時間」にする雰囲気づくり

意外と見落としがちなのが、食卓の雰囲気です。
とにかく食べさせることに固執して親が難しい顔になると、そのイライラは子どもにも伝わってしまいます。
まずはひと呼吸。
理想やマナーは二の次にして、「食事=楽しい時間」と子どもが感じられる雰囲気づくりを最優先にしましょう。
家族みんなで食卓を囲み、おいしそうに食べてみせることも、子どもが食に興味を持つ大きなきっかけになります。


食べ過ぎが心配なときの考え方

少食とは逆に、「食べてもまだ欲しがる」「食べ過ぎでは?」と心配する声も少なくありません。
こちらも基本の考え方は同じです。

欲しがるだけ与えてよい?判断のポイント

食べ過ぎかどうかも、やはり成長曲線が大きな手がかりになります。
体重が急激に増えすぎていなければ、活発に動く子はその分しっかり食べることもあります。
ただし、満腹のサインを無視してどんどん与え続けるのは避けたいところ。
前述の「食べる量は子どもに任せる」という考え方とも関わりますが、おなかがいっぱいのサインを感じ取ってあげることが大切です。

補食(おやつ)の量と内容を見直す

食事の量が多いと感じる場合、まず見直したいのが補食です。
おやつに甘いお菓子やジュースを与えすぎると、食事のリズムが乱れて食べ過ぎや逆に食事を食べない原因になります。
補食はあくまで3回の食事で補いきれない栄養を足すもの。
おにぎりや蒸したさつまいも、果物、乳製品など、食事の延長になるような内容を選ぶと安心です。


塩分・味付けで気をつけたいこと

量と同じくらい大切なのが「味付け」です。
この時期の味覚や体への負担を考えると、薄味が基本になります。

1〜2歳の塩分目安は大人の半分以下

幼児の味付けは「なるべく薄味」が基本です。
日本人の食事摂取基準では、1〜2歳の塩分摂取の目標量は1日3.0g未満とされており、これは大人の目安(女性6.5g・男性7.5g)の半分以下にあたります。
1〜2歳はまだ食事量が大人の半分より少なめなので、薄味を意識することがそのまま適切な塩分量につながります。

家族みんなで「薄味」を心がける

細かく濃度を計算するよりも、「大人が薄味だと感じる程度にする」「塩分の濃いものはなるべく食べない」「味の濃いものと薄いものを組み合わせる」といった心がけのほうが、実際には管理しやすくおすすめです。
大人はつい目標量より多く塩分を摂りがちなので、この機会に家族全員で減塩を意識すると、お子さんの食事づくりもぐっとラクになります。


こんなときは専門家に相談を

基本的に「食べムラ」は心配いらないものですが、なかには相談したほうがよいケースもあります。
目安を知っておくと安心です。

受診・相談を検討したいサイン

以下のような様子が続くときは、念のため専門家に相談しましょう。

  • 水分も含めてほとんど口にしない時間が長く続く
  • 特定の食感を極端に嫌がり、固形を一切受けつけない状態が続く
  • 月齢に見合った食形態にまったく進めない
  • 成長曲線から外れて体重が増えない、または急に減っている
  • 元気がなく、機嫌が悪い状態が続いている

これらに当てはまる場合は、自己判断せず小児科や栄養相談を活用してください。
気になることがあれば、心配を抱え込まずに早めに専門家へつなぐことが安心への近道です。

身近な相談先を活用しよう

「受診するほどではないけれど不安」というときも、相談先はたくさんあります。
保育園に通っているなら保育士さんに、通っていない場合は地域の子育て支援センターや、1歳半健診のタイミングなどで相談してみるのがおすすめです。
「うちの子だけ?」という不安は、誰かに話すだけでもぐっと軽くなります。
同じ悩みを乗り越えてきた人がすぐそばにいるはずです。


まとめ:数字より「楽しい食卓」を大切に

最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
1歳の食事量には厚生労働省の目安(軟飯90〜110g、おかず各種など)がありますが、本当に大切なのは「体重が増えているか」「元気でいるか」です。
1〜2歳のころには2人に1人の親が「食べない」と感じており、偏食の半数以上は自然に通り過ぎていきます。
決して「あなたの料理のせい」でも「うちの子だけ」でもありません。

少食でも食べ過ぎでも、基本は成長曲線を目安に、無理強いせず子どものペースを尊重すること。
そして何より、食事の時間を親子で楽しいものにすることが、長い目で見て「食べる力」を育てます。
気になるサインがあれば専門家を頼りながら、どうか肩の力を抜いて、お子さんとの食卓の時間を楽しんでくださいね。
今日も頑張っているあなたは、それだけで十分すばらしい親御さんです。

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