「最近よく単語を話すようになったけど、二語文っていつから出るのかな?」「うちの子はまだ単語だけ・・・このままで大丈夫かな?」。1歳のお子さんを育てていると、言葉の成長は気になるテーマのひとつですよね。お友だちが「ママ きた」とおしゃべりしているのを見ると、つい比べてしまうこともあるかもしれません。
でも、安心してください。言葉の発達には大きな個人差があり、その子なりのペースで一歩ずつ進んでいきます。この記事では、二語文が出始める時期の目安から、言葉がぐんと増える「語彙爆発」の前兆、そして今日からおうちで楽しく実践できる関わり方のアイデアまで、まるごとお伝えします。読み終わるころには、お子さんとのおしゃべりがもっと楽しみになっているはずです。

そもそも二語文とは?一語文との違い
二語文という言葉はよく聞くけれど、正確にはどんなものを指すのか、まずは基本から確認していきましょう。
言葉の発達段階を知っておくと、お子さんの「いま」がどのあたりにいるのかが見えてきて、関わり方のヒントにもなります。
二語文の意味と具体例
二語文とは、その名のとおり2つの単語を組み合わせた文のことです。「ぼく ごはん」などの名詞と名詞の組み合わせのほか、「ママ だっこ」「ワンワン いる」などの主語である名詞と述語の組み合わせ、「おやつ ちょうだい」のように目的語となる名詞と動詞を組み合わせた文などがあります。
たとえば「ボール ちょうだい」「お外 行く」「おおきい ワンワン」といった表現が二語文です。
たった2語ですが、子どもにとってはとても大きな飛躍なのです。
一語文から二語文へのステップ
子どもはいきなり二語文を話すわけではありません。
一語文とは、赤ちゃんが最初に意味のある言葉を話し始める段階を指し、通常は生後10ヶ月〜1歳半頃に「ママ」「パパ」「ワンワン」など、単語を一つずつ使って自分の意思を表現するようになります。
この一語文の時期をしっかり経たあとに、2つの単語をつなげる力が育っていきます。
二語文が話せると世界が広がる理由
二語文が出ると、お子さんの伝えられる世界が一気に広がります。
二語文では2つのものの関係性を表現できるようになるため、一語文よりも相手に意図をより明確に伝えやすくなり、子どもにとっては表現の幅が大きく広がることになります。「まんま」だけでは伝わらなかった「ごはんが食べたい」という気持ちが、「まんま たべる」と言えることで、ぐっと伝わりやすくなるのです。
1歳の二語文はいつから?発達の目安
いよいよ本題、「二語文はいつから話し始めるの?」という疑問にお答えします。
ただし、ここでお伝えするのはあくまで目安。
数字に一喜一憂せず、参考程度に受け止めてくださいね。
二語文が出始める一般的な時期
多くの専門機関が示す目安として、二語文を話し始める時期には個人差がありますが、一般的には生後14ヶ月から2歳頃にかけて見られることが多いとされています。
つまり1歳の後半から2歳にかけてが、二語文が出てくるひとつの時期と言えます。
公的な指針でも同様の見解が示されています。
厚生労働省の「保育所保育指針解説書」によると、1歳後半から2歳にかけて、言葉を二つ使う「二語文」が話せるようになってくる時期とされています。

語彙数と二語文の関係
二語文が出るタイミングには、覚えている単語の数も関係しています。
一般的には、知っている言葉(語彙数)が50語〜100語ほどになると、2つの語をつなげられるようになるといわれています。
最初は「ママ だっこ」「まんま たべる」など、単語をつなげただけの組み合わせですが、二語文を習得するとすぐに三語、四語とつなげた発語がみられるようになります。
単語をたくさん吸収している時期は、二語文への準備が着々と進んでいるサインとも言えます。
今は単語だけでも、その積み重ねが次のステップにつながっているのです。
個人差が大きいことを知っておこう
ここでいちばん大切なお話をします。
言葉の発達は、本当に一人ひとり違います。
発達のスピードには個人差があり、早い子供では1歳半頃から二語文を話し始めることもあれば、2歳を過ぎてから話し始める子供もいます。
二語文を話し始める時期が遅れているように感じる場合でも、他の言葉やコミュニケーションの発達が見られていれば心配する必要はありません。
「平均」はあくまで目安です。
数字どおりに進まなくても、それだけで何かが問題というわけではありません。
お子さんのペースを大切に見守りましょう。
言葉が一気に増える「語彙爆発」とは
二語文の話とあわせて知っておきたいのが「語彙爆発」という現象です。
これを知っておくと、お子さんの言葉の成長がもっと楽しみになりますよ。
語彙爆発が起こる時期と特徴
語彙爆発とは、その名のとおり言葉が爆発的に増える時期のこと。
1歳前後で「ママ」「パパ」などを話し始め、しばらくの間は一語文を話しますが、1歳後半には語彙爆発と呼ばれるほど言葉が目覚ましく増え、2歳近くになると「お外、行く」などの二語文が出てくるようになることが多いと言われています。
それまでゆっくりだったのに、ある日を境に「これ、新しい言葉だ!」という瞬間が一気に増える そんな経験をする親御さんはとても多いのです。
脳の発達と語彙爆発のつながり
この語彙爆発は、脳の発達とも深く関わっていることが研究でわかってきています。
玉川大学脳科学研究所の調査では、18ヶ月児と21ヶ月児の新しい音声言語に対する学習能力の差が大脳の言語機能の発達に深く関連することが示唆され、こうした脳機能の発達が始まるのがちょうど語彙爆発期(21ヶ月頃〜)であって、脳機能の発達がこの時期の子どものことばの発達を支えていると考えられています。
語彙爆発の前兆サイン
語彙爆発の前には、わかりやすいサインが見られることがあります。
とくに注目したいのが「指さし」です。
保育の現場からは、指差しが増えてきた子は、その後すぐに言葉が増えていくケースが多く見られ、「あれ、この子最近よく指差ししてるな」と思っていると、1〜2週間後には急におしゃべりになっていることがよくある、という声もあります。
指さしが増えてきたら、言葉が増える準備が整いつつあるサインかもしれません。「あれは何?」と尋ねるような指さしには、ぜひ丁寧に答えてあげましょう。

言葉が増える!おうちでできる関わり方
ここからは実践編です。
特別な教材やお金は必要ありません。
毎日の暮らしの中で、ちょっと意識を変えるだけでできる関わり方のアイデアを紹介します。
どれも今日から始められるものばかりです。
子どもの興味に大人が合わせる
言葉を育てる関わりの基本は、「大人が教え込む」のではなく「子どもの興味に寄り添う」ことです。
イギリスの言語聴覚士サリー・ウォードが提唱した「語りかけ育児」では、子どもの言いたいことを代わりに言ってあげたり、話を膨らませたりすること、そして「自分の言うことを大人がちゃんと受け止めてくれている」と思えるよう、子どもの興味に大人が合わせることが大切だとされています。
たとえばお子さんが犬を指さしたら、「わんわんだね」「大きいわんわんだね」と、その興味に乗っかって言葉を添えてあげる。
これだけで立派な語りかけになります。
「言葉を足して返す」テクニック
お子さんが発した言葉に、ちょっと言葉を足して返してあげる方法は、言語聴覚士も推奨する効果的なテクニックです。
専門的には「エキスパンション(拡張)」と呼ばれます。
たとえば子どもが車を見て「あ!ブーブー!」と言ったら、「ほんまや、ブーブー走ってるね!」「大きいブーブーやね」など、「走っている」「大きい」といった意味を付け加えて返してあげるのです。
子どもの「ブーブー」という一語に、大人が「走ってる」「大きい」を足すことで、二語文・三語文の自然なお手本になります。
無理に言わせるのではなく、さりげなくお手本を見せるのがポイントです。
静かな環境で向き合う時間を作る
語りかけは「量」だけでなく「質」も大切です。
語りかけ育児は量よりも質が大切と言われ、テレビの電源をオフにするなど、親と子どもがゆったりと過ごせる静かな環境を用意することが重要だとされています。
子どもはまだ、たくさんの音の中から大切な言葉だけを拾い出すのが苦手です。
だからこそ、テレビを消した静かな時間に、お子さんとゆっくり向き合うひとときがとても効果的なのです。
1日数分でも構いません。
絵本や擬音語で楽しく言葉に触れる
遊びの中に言葉を取り入れるのもおすすめです。
水遊びをしているときには「バシャバシャ」、粘土遊びでは「どんどん」「コロコロ」「ぐちゃ」など、遊んでいる動作に音をつけて子どもの遊びに注意を引きつけてあげましょう。
絵本を読む際には、登場人物ごとに優しい声や大きな声など、声色に変化をつけてみると集中力が持続します。
擬音語・擬態語は、小さな子どもにとって覚えやすく、まねしやすい言葉です。
楽しみながら自然と語彙を増やすきっかけになります。
これだけはNG!避けたい関わり方
よかれと思ってやっていることが、実は逆効果になっていることもあります。
言葉を育てるために、できれば避けたい関わり方を確認しておきましょう。
言い間違いを強く訂正しない
子どもが言葉を間違えても、強く直すのは禁物です。
子どもが言い間違いをしたときは、強く指摘したり言い直しを強要するのではなく、やさしく言い直してあげることが大切です。
強く指摘したり言い直しを強要してしまうと、子どもの中に芽生えてきた「話したい」という気持ちが萎縮してしまうことがあります。
たとえば犬を見て「にゃんにゃん!」と言ったら、「ちがうでしょ!」ではなく、「わんわん、犬やねぇ」とすぐに大人が正しく伝えたうえで、子どもには言い直しをさせないのがポイントです。
言い直しをさせると「自分は間違ったんだ」と、子どもがことばにネガティブな印象を持ってしまうからです。
「言わせよう」と無理強いしない
「ママって言ってごらん」と何度も繰り返させたくなる気持ちはわかりますが、これは控えめにしましょう。
大人の都合で物や動きに子どもの注意を無理に集中させようとしたり、言葉を繰り返させたり、教え込もうとしたりするのはNGとされています。
言葉は「言わされる」よりも「言いたくなる」環境の中でこそ育ちます。
プレッシャーをかけず、楽しい気持ちを大切にしてあげてください。
焦りや比較は禁物
SNSやお友だちと比べて焦ってしまうこともあるかもしれません。
でも、子どもの成長は3歳くらいまで個人差がとても大きく、できたりできなかったりさまざまで、できないからといって押し付けたりせず、ゆっくりとその子のペースに合わせて付き合うことが肝心です。
比べる相手は他の子ではなく、「昨日のわが子」で十分なのです。
子どもの「伝えたい」気持ちを育てよう
テクニックも大切ですが、その土台にあるのは「もっと伝えたい」という子どもの気持ちです。
この気持ちを育てることが、言葉の発達への近道になります。
応答的な関わりが言葉を伸ばす
子どもの発信にきちんと応えてあげることには、研究でも裏付けがあります。
積極的に反応する母親の子どものほうが、そうでない母親の子どもよりも語彙が増え、二語の発話が始まる時期も早かったという研究があり、積極的に反応してくれる大人とのやりとりの中で「もっと伝えたい」という気持ちが育っていくことが、子どもの言葉の発達をうながすと考えられています。
話しかける言葉の「量と質」を意識
言葉の力は、家庭環境よりも関わり方が大きく影響します。
慶應義塾大学の今井むつみ教授によると、子どもの「言葉の力」は親の経済力が決定的な要因ではなく、親から子どもへ話しかける言葉の量と質が大きく関係しているという調査結果がスタンフォード大学から報告されています。
つまり、特別な教育ではなく、日々の語りかけそのものが何よりの財産になるのです。
日常の何気ない場面が学びの宝庫
言葉を学ぶ場は、机の上だけではありません。
子どもと一緒に外出したら会話を広げるチャンスで、スーパーで売られている食品について話すことで、子どもの興味を刺激しながら言葉をたくさん使うことができます。「あか いちご」「つめたい おさかな」
お買い物も、お散歩も、お風呂も、すべてが言葉の学びの場になります。
こんなときは専門家に相談を
個人差が大きいとはいえ、「やっぱり気になる」というときには、専門家に相談するのもひとつの安心材料です。
どんなときに相談を検討すればよいか、目安をお伝えします。
相談を検討したい目安
ひとつの目安として、他の発達に特に心配がなく、大人の言葉を理解できているならば、二語文が出るのがゆっくりでもあまり心配せずに見守ってよく、遅くとも3歳までに二語文が出れば問題ないと言われています。
一方で、専門機関では次のような様子が見られる場合に相談を勧めています。
2歳を過ぎても二語文を全く使用しない、他の子どもたちと比べて言葉の理解や表現に顕著な遅れが見られる、言葉の代わりに手や身体を使って意思を伝えようとすることが多い、といった場合は専門家の意見を求めることがおすすめされています。
相談できる場所
相談先がわからないというときは、まず身近な窓口を頼りましょう。
お住まいの地域の保健センターや、乳幼児健診、かかりつけの小児科などが入り口になります。
保育園に通っているお子さんなら、担任の先生に日頃の様子を聞いてみるのもよいでしょう。
相談は「安心」のための一歩
相談することは、決して「うちの子に問題がある」ということではありません。
言葉の遅れが発達障害の一つのサインである可能性も指摘されていますが、必ずしも発達障害を意味するわけではなく、言葉の発達は個人差が非常に大きく多様なペースで進むものです。
早めに相談しておくことは、親御さんの不安をやわらげ、安心して見守るための一歩になります。
一人で抱え込まず、気軽に専門家を頼ってくださいね。
まとめ:その子のペースで言葉は育つ
1歳の二語文について、時期の目安から関わり方のアイデアまでお伝えしてきました。
最後に大切なポイントを振り返りましょう。
二語文は一般的に1歳後半から2歳頃にかけて出始めることが多いですが、その時期には大きな個人差があります。
語彙数が50〜100語ほどになると2つの語をつなげられるようになるといわれ、二語文を習得するとすぐに三語、四語へと広がっていきます。
今は単語だけでも、その積み重ねが確実に次のステップにつながっています。
そして言葉を育てる関わりの基本は、子どもの興味に寄り添い、発した言葉に応えてあげること。
積極的に反応してくれる大人とのやりとりの中で「もっと伝えたい」という気持ちが育ち、それが言葉の発達をうながします。
特別な教材よりも、毎日の何気ない語りかけが何よりの力になるのです。
比べるのは他の子ではなく、昨日のわが子。
お子さんがはじめて二語文を口にしたとき、その瞬間にきっと感動するはずです。
焦らず、楽しみながら、お子さんの「言葉が育つ毎日」を一緒に味わっていきましょう。
あなたの優しい語りかけは、お子さんの世界を広げる何よりの贈り物です。
