せっかく買った絵本を、わが子がビリビリに破いてしまった・・・。1歳前後の子どもを育てていると、誰もが一度は経験する「あるある」ではないでしょうか。お気に入りの一冊がボロボロになっていく姿に、思わずため息が出てしまうこともありますよね。でも、実はこの「絵本を破る」「かじる」という行動には、お子さんの大切な成長のサインが隠れているのです。
この記事では、1歳の子が絵本を破ってしまう理由から、破れにくいボードブックの活用法、そして親子で絵本の時間をもっと楽しむための関わり方のコツまで、まるごとお伝えします。読み終わるころには、絵本破りへのイライラが、ちょっとした成長の喜びに変わっているはずです。

1歳が絵本を破る理由とは
まずは、なぜ1歳ごろの子どもが絵本を破ったりかじったりするのか、その理由を知ることから始めましょう。
理由がわかると、ぐっと気持ちがラクになりますよ。
破る・かじるは発達の証拠
1歳前後の子どもにとって、絵本を破ったりかじったりするのは、ごく自然な成長の一場面です。
絵本を破る・かじる行動は、好奇心を満たすための立派な「探索活動」です。
専門家によれば、小さい子どもは好奇心の赴くままに、絵本をかじったりやぶいたりするもので、頭ごなしに叱る必要はありません。
お子さんは「これは何だろう?」「どんな手触りだろう?」と、自分なりに世界を確かめているのです。
なぜ口に入れてしまうのか
絵本を破るだけでなく、口に入れてかじってしまうのも1歳ごろによく見られる行動です。
これには、はっきりとした理由があります。
育児の専門家は、なんでも口に入れてしまうのは、口の中がそのお子さんにとってものの感触や形などを一番理解できる場所だからだと説明しています。
大人は手で触って感触を確かめますが、手よりも口の中のほうがものの感触を味わいやすいから、つい口に入れてしまうのですね。
口にものを入れることは、赤ちゃんにとって貴重な情報収集の手段であり、好奇心を満たす方法でもあります。
さまざまなものを口に入れて確かめることは、脳や五感の発達にも役立ちます。
つまり、絵本をかじるのは「五感をフル活用して学んでいる」最中なのです。
この時期はいつまで続く?
「いつになったら破らなくなるの?」と気になる方も多いはず。
これも発達の段階と深く関わっています。
専門家は、成長とともに手先の感覚がきめ細やかになり、器用に動かせるようになってくると、手で触ることでものの固さや感触を感じられるようになり、口の中に入れる必要がなくなるため、その発達段階を越えれば自然と口に入れなくなると述べています。
手先が器用になるにつれて、破る・かじる行動は自然と落ち着いていきます。
あくまで一時的な時期だと知っておくと、見守る余裕が生まれますね。
破れにくい絵本の種類と特徴
理由がわかったところで、次は対策の本命「破れにくい絵本」について見ていきましょう。
1歳の絵本破り対策には、絵本選びそのものを工夫するのが一番の近道です。

ボードブックとは
1歳の絵本破り対策で、まず候補に挙げたいのが「ボードブック」です。
ボードブックとは、厚紙でできた丈夫な作りの絵本のことで、力加減が難しい小さな子どもが扱っても破れにくいのが最大の特徴です。
あるレビューでは、ボードブックはとても丈夫で、普通の絵本とは違い破れにくく、小さなお子さんでも安心して渡してあげられる(破れるというより、無理にすると折れ目がつく程度)と紹介されています。
また、中のページも水分が染み込みにくく、気になったらさっと拭き取ることができるそうです。
よだれが多い時期にも心強いですね。
PP加工絵本という選択肢
ボードブックと並んで知っておきたいのが「PP加工絵本」です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、とても実用的な絵本です。
PP加工ブックとは、破れたり汚れにくいように、ポリプロピレンのフィルムを圧着して貼り合わせる加工がされた絵本のことです。
表面がツルッとコーティングされているため、よだれや手垢にも強く、汚れてもサッと拭き取れます。
ボードブックより薄くてめくりやすいものも多く、通常の絵本に近い感覚で読めるのに丈夫というバランスの良さが魅力です。
布絵本・お風呂絵本も活用
紙の絵本だけにこだわらないのも、賢い対策のひとつです。
布でできた「布絵本」は、引っ張っても破れず、洗濯できるものも多いので衛生的。
仕掛けがついていて指先遊びにもなります。
また、ビニール素材の「お風呂絵本」も破れる心配がほとんどありません。
お風呂タイムに一緒に楽しめば、絵本との親しみも自然と深まります。
素材の異なる絵本をいくつか用意しておくと、シーンに合わせて使い分けられて便利です。
1歳向け絵本の選び方のコツ
丈夫さだけでなく、お子さんが夢中になれる内容を選ぶことも大切です。
1歳の心をつかむ絵本選びのポイントを押さえましょう。
はっきりした色と顔のイラスト
1歳ごろの子どもには、シンプルで分かりやすい絵本が好まれます。
赤や白、黒などのはっきりとしたコントラストや、目や口がある顔のイラストは子どもの興味を引きます。
こうしたイラストは生後6ヶ月くらいの赤ちゃんでも注目することがわかっています。
ストーリーをまだ理解できなくても、複雑なストーリーがなく、イラストだけでも楽しめる絵本がおすすめで、色使いがきれいな絵本や赤ちゃんが興味を持ちやすい顔のイラスト入りの絵本が向いています。「これなあに?」と指をさす姿が見られるかもしれませんね。
リズム感のある言葉
1歳は言葉をぐんぐん吸収する時期です。
1歳は言葉の吸収・学習スピードがぐんと上がる時期で、擬音やリズミカルな言葉の絵本が向いています。「どんどこ」「ぴょんぴょん」といった繰り返しの言葉は、耳に心地よく、子どもが思わず体を揺らして反応することもあります。

生活習慣や仕掛けが学べる絵本
身近な題材は、1歳の子にとって特別な親しみやすさがあります。
食事やトイレなど生活習慣にまつわる絵本は1歳におすすめで、身近な題材はお話を楽しみながら、あいさつやマナーに慣れさせることもできます。
さらに、簡単な仕掛け絵本や、自分で開いて読めるボードブックは好奇心を満たしてくれます。
めくる・引っ張るといった動作そのものが楽しい遊びになり、自然と絵本に夢中になってくれます。
破られたときの正しい対応
どんなに丈夫な絵本を選んでも、破られてしまうことはあります。
そんなときの対応次第で、お子さんの絵本への気持ちは大きく変わります。
頭ごなしに叱らない
絵本を破られると、つい大きな声を出したくなりますよね。
でも、ここはぐっとこらえましょう。
前述のとおり、絵本をかじったりやぶいたりすることに対して、頭ごなしに叱る必要はありません。
無理にものを口に入れる行為をやめさせようとすると、かえってママやパパに隠れて舐めるようになる子どももいるため、無理強いせずに見守ることが大切です。
強く叱ってしまうと、絵本そのものを「怒られるもの」と認識してしまうこともあるので注意したいところです。
絵本の楽しみ方を伝える
叱らない一方で、本来の楽しみ方をやさしく教えていくことも大切です。
絵本をかじって食べることに対して頭ごなしに叱る必要はありませんが、絵本の本来の楽しみ方を教えることもやはり大切です。
「破る」のではなく「めくる」「見る」「読んでもらう」という楽しさを、親が一緒に体験して見せてあげましょう。「ここにワンワンがいるね」「次はどうなるかな?」と声をかけながらページをめくると、お子さんは絵本の別の魅力に気づき始めます。
修復して大切にする姿を見せる
破れてしまった絵本は、その場で捨てずにテープで修復してみましょう。
親がものを大切に直す姿を見せることは、お子さんへの最高の学びになります。
「直ったね、よかったね」と一緒に喜べば、ものを大事にする気持ちが少しずつ育っていきます。
修復した絵本は、また新たな思い出の一冊になりますよ。
絵本を破られない環境づくり
対応と同じくらい大切なのが、そもそも破られにくい環境を整えることです。
ちょっとした工夫で、親のストレスは大きく減らせます。
誤飲を防ぐ環境整備
絵本のかじり対策で最優先すべきは、誤飲の防止です。
破れた紙片やページの破片は、小さなお子さんが口に入れて誤飲する危険があります。
床に落ちた紙くずはこまめに取り除きましょう。
専門家も、なめる・口の中に入れるというのは誤飲につながる可能性が大きく、口に入れてほしくないものは子どもの手の届くところに置かない、しっかり片付けておくのがよいと注意を促しています。
大人が見守れる範囲で遊ばせる、という基本を忘れないようにしましょう。
絵本の置き場所を工夫する
一日中ずっと絵本を渡しっぱなしにせず、置き場所を分けるのも有効です。
お子さんが自由に触ってよいボードブックや布絵本は手の届く低い棚に、破ってほしくない紙の絵本は高い棚にしまっておく、という具合に区別しておきましょう。
こうすることで、「自由に楽しんでよい絵本」と「大人と一緒に読む絵本」のメリハリがつき、親のヒヤヒヤも減ります。
お子さんも、自分専用の絵本コーナーがあると愛着がわいてきます。
定期購読サービスを活用
絵本選びに悩んだら、月刊絵本の定期購読を取り入れるのもひとつの手です。
0・1・2歳向けの月刊絵本はすべてボードブックタイプの絵本となっており、月に一冊新しい絵本が届くサービスもあり、1冊400円前後と求めやすい価格になっています。
毎月丈夫な絵本が届くので、破れにくさを気にせず新しい絵本に出会えます。
定期購読は、破れにくさと選ぶ手間の軽減を同時に叶えてくれる、忙しい家庭の強い味方です。
絵本を楽しむ読み聞かせのコツ
最後に、親子の絵本時間がもっと楽しくなる読み聞かせのコツをご紹介します。
破り対策は、実は「絵本を好きになってもらうこと」とつながっているのです。
感想を求めず一緒に楽しむ
読み聞かせで意外と大切なのが、お子さんに反応を求めすぎないことです。
読み聞かせのポイントは、赤ちゃんに感想を求めないことです。
感想を聞くのは意見の強要になってしまう恐れがあり、赤ちゃんはストレスを覚えがちで、場合によっては絵本そのものへの嫌悪感につながりかねません。
専門家は、読み聞かせが終わったら「おもしろかったね」と声をかける程度で十分で、気に入ってくれたなら感想を求めなくても笑顔になったり、繰り返し読んでほしがったりといった反応があると述べています。
肩の力を抜いて、ただ一緒に楽しむ気持ちで読んであげましょう。
0歳から始めても大丈夫
「うちの子はまだ早いかな?」と心配する必要はありません。
読み聞かせを始める時期に特に制限はなく、0歳児に対しても簡単な内容の絵本を読み聞かせる意味があります。
0歳児は言葉や物語は追えなくても、絵の印象だけなら楽しむことができます。
さらに、親と一緒にいろいろな絵が移り変わる時間を過ごすのは、大切なスキンシップになります。
絵本の時間は、内容を理解させること以上に、親子の触れ合いそのものに大きな価値があるのです。
スキンシップの時間にする
絵本を読むときは、ぜひお子さんを膝に乗せたり、隣にぴったり寄り添ったりしてみてください。
声のぬくもりや体の温かさを感じながら過ごす時間は、お子さんにとってかけがえのない安心感になります。
破る・かじるが気になる時期こそ、無理に「正しく読む」ことを目指さず、親子のふれあいの時間として絵本を楽しむことを大切にしましょう。
絵本を「楽しいもの」「うれしい時間」と感じられれば、成長とともに自然と破る行動も減っていきます。
まとめ
1歳の子が絵本を破ったりかじったりするのは、好奇心を満たし五感を使って学んでいる、大切な成長のサインです。
手先が器用になるにつれて、この行動は自然と落ち着いていくので、過度に心配する必要はありません。
対策のポイントを振り返ってみましょう。
まず、厚紙のボードブックやPP加工絵本、布絵本など破れにくい素材の絵本を取り入れること。
次に、はっきりした色やリズミカルな言葉、身近な題材など1歳が夢中になれる内容を選ぶこと。
そして、破られても頭ごなしに叱らず、誤飲に気をつけながら本来の楽しみ方をやさしく伝えていくことです。
何より大切なのは、絵本の時間を親子のスキンシップとして楽しむこと。
破り対策に頭を悩ませる今の時期も、振り返ればきっと愛おしい思い出になります。
丈夫な絵本を味方につけて、お子さんとの絵本時間を心から楽しんでくださいね。
