鮮やかな緑色と豊富な栄養で、赤ちゃんの離乳食にぜひ取り入れたい「ほうれん草」。でも、「アク抜きって面倒そう」「いつから食べさせていいの?」「えぐみで嫌がられそう・・・」と、なんとなくハードルの高さを感じているママ・パパも多いのではないでしょうか。
実はほうれん草は、コツさえ押さえれば下ごしらえもぐっとラクになり、毎日の離乳食にどんどん活躍してくれる頼もしい食材です。この記事では、ほうれん草を始められる時期から、失敗しないアク抜きのやり方、初期から完了期までの月齢別レシピ、冷凍保存のワザまでまるっと解説します。読み終わるころには、「今日ほうれん草やってみよう!」とわくわくしてもらえるはずです。

ほうれん草は離乳食でいつから?
ほうれん草は、緑黄色野菜のなかでも比較的早い時期からデビューできる食材です。
まずは「いつから」「なぜおすすめなのか」を確認していきましょう。
離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)から食べられる
ほうれん草は、生後5〜6ヶ月頃の離乳初期から与えることができる食材です。
ほうれん草は、生後5,6ヶ月頃、離乳初期から与えることができますが、アクが強く、食物繊維もあるので、調理にはおさえておきたいポイントがあります。
最初は葉先のやわらかい部分だけを使い、しっかりアク抜きをしてからペースト状にして与えるのが基本です。
おかゆに慣れて、野菜を少しずつ取り入れ始めるタイミングで挑戦してみましょう。
栄養たっぷりで赤ちゃんの成長を応援
ほうれん草は「緑黄色野菜の王様」とも呼ばれるほど栄養豊富な野菜です。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとにした情報では、ほうれん草100gあたりに鉄2.0mg、葉酸210µg、ビタミンA(レチノール活性当量)350µg、ビタミンC35mg、カルシウム49mgなどが含まれています。
特に注目したいのが鉄分です。
ほうれん草は栄養素が高く特に鉄分が豊富で、離乳食が進み母乳やミルクが減ってくると不足しやすい栄養素を補える食材です。
生後9ヶ月頃からは赤ちゃんの鉄が不足しやすくなるといわれており、そのタイミングでほうれん草は心強い味方になってくれます。
鉄の吸収を高める組み合わせのコツ
植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」で、そのままだと吸収率がやや低めです。
非ヘム鉄はビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取すると鉄の吸収率が高まります。
また、動物性たんぱく質と一緒に摂ると、吸収がアップします。
離乳食が進んだら、しらすや豆腐、鶏ささみなどのたんぱく質、じゃがいもやブロッコリーなどビタミンCを含む食材と組み合わせると、栄養をより効率よく摂れます。
献立を考えるときのちょっとしたヒントにしてみてくださいね。
ほうれん草のアク抜きが必要な理由
ほうれん草といえば「アク抜き」。
なぜ手間をかけてでもアク抜きをするのか、その理由を知ると納得して取り組めます。
えぐみのもとは「シュウ酸」
ほうれん草にはシュウ酸という独特のえぐみ成分が含まれているため、アク抜きが必要です。
このシュウ酸が、あの独特の苦味・えぐみの正体。
シュウ酸は苦味やエグ味のもととなり、カルシウムと結びつきやすく、体調によっては結石の原因ともなる物質で、水に溶けやすいので、必ず茹でてから水にさらすことが大切です。
赤ちゃんにとって苦味は本能的に受け入れづらい味です。
アク抜きが不十分だとえぐみが残り、赤ちゃんが嫌がって食べてくれない原因になります。
もしほうれん草を嫌がるときは、まずアク抜きがしっかりできているか見直してみましょう。
シュウ酸は下ゆでで大幅に減らせる
ありがたいことに、シュウ酸は正しく処理すればしっかり減らすことができます。
あくの成分であるシュウ酸は水溶性のため、茹でたり水にさらしたりすることで8割程度減らすことが可能で、沸騰したお湯に根元から入れて1分ほど茹でた後、流水にさらすとよいでしょう。
「たっぷりのお湯でゆでて、すぐ冷水にさらす」
このシンプルな手順を守るだけで、赤ちゃんが食べやすいほうれん草に変わります。
難しく考える必要はありません。

失敗しないアク抜きの手順
ここでは、初めてでも安心してできるアク抜きの具体的な手順を紹介します。
鍋と電子レンジ、2つの方法があるので、お家のスタイルに合わせて選んでください。
鍋でゆでる基本のアク抜き
もっともオーソドックスなのが鍋でゆでる方法です。
ほうれん草は根元の部分に土やほこりが付着しているので、根元を水の中でよく振り洗いしてから使います。
下記の手順で進めましょう。
- ほうれん草の根元を水の中で振り洗いし、泥をしっかり落とす
- 沸騰したお湯に入れ、大人用より長めにゆでる(初期は葉先をクタクタになるまで)
- すぐに冷水にさらしてアクを抜く
- 固くしぼって水気をきり、月齢に合わせて調理する
2分程度(大人の茹で時間よりも長めに)茹でたらざるにあげ、すぐに冷水にさらしてアク抜きをし、アク抜きが済んだら固くしぼって次の調理に進みます。
電子レンジでも下ごしらえOK
忙しいときは電子レンジも活用できます。
やわらかく仕上がれば電子レンジを使っても問題なく、水で洗ったほうれん草をラップに包み600Wで1〜2分加熱し、その後すぐに冷水に浸して5分ほど置くことで、アク抜き効果が期待でき、色もきれいに保てます。
電子レンジ加熱でも、加熱後に必ず冷水にさらすことがポイントです。
この一手間でえぐみが抜けて、色鮮やかに仕上がります。
塩は不要・色をきれいに保つコツ
大人の料理では茹でるときに塩を入れることもありますが、離乳食では不要です。
ほうれん草のアク抜きや色をきれいに出すために茹で水に食塩を添加する場合が多いものの、一般的に添加される「ひとつまみ」の量ではその効果がないともいわれ、離乳食では食塩を入れなくても加熱後すぐに冷水で冷やすことで色をきれいに保つことができます。
赤ちゃんの離乳食では塩分は極力控えるのが基本です。
ゆで水に塩は入れないようにしましょう。
月齢別・ほうれん草の進め方
ほうれん草は月齢に合わせて「使う部分」と「かたさ・大きさ」を変えていきます。
ここを押さえておくと安心です。
初期・中期は葉先だけを使う
離乳食を始めたばかりの頃は、繊維の少ないやわらかい葉先だけを使います。
ほうれん草は比較的繊維が気にならない葉の部分をペースト状にして使うのがポイントで、離乳食を始めたばかりならペースト状にしてから濾して水分量も多くすると赤ちゃんが食べやすくなります。
調理法の目安は次のとおりです。
初期は葉先をやわらかく茹でてペーストにする、中期は葉先をやわらかく茹でて粗くつぶす、後期は全体をやわらかく茹でて粗めのみじん切りにする、完了期は全体をやわらかく茹でて1cm幅に切る、という進め方が基本です。
後期からは茎も使える
離乳後期からは、葉先だけでなく茎も使えるようになり、粗めのみじん切りくらいのサイズが目安です。
細かく刻むときに葉の縦と横から包丁を入れると、繊維が切れて食べやすくなります。
この「縦と横に包丁を入れて繊維を断つ」というひと手間は、青菜が苦手な赤ちゃんにもとても効果的。
ぜひ試してみてください。
月齢別の量とかたさの目安
1回あたりの量は個人差が大きいので、あくまで目安として捉えてください。
以下は一般的なガイドラインです。
| 時期 | 使う部分・調理 | 1回量の目安 |
|---|---|---|
| 初期(5〜6ヶ月頃) | 葉先/なめらかなペースト | 小さじ1程度から |
| 中期(7〜8ヶ月頃) | 葉先/粗くつぶす・とろみづけ | 20〜30g程度 |
| 後期(9〜11ヶ月頃) | 葉+茎/粗めのみじん切り | 30g前後 |
| 完了期(12〜18ヶ月頃) | 葉+茎/1cm幅 | 40〜50g程度 |
中期については生後7〜8カ月ごろの離乳食中期では葉先を使用し、しっかり加熱して舌でつぶせる程度のかたさにして1回あたり20〜30gが目安です。
完了期については生後12〜18カ月ごろの離乳食完了期では1cm幅の茎や葉先が使用でき、歯茎で噛み切れる程度のかたさに調理して1回あたり40〜50gを目安にするとよいでしょう。
数字はあくまで目安。
赤ちゃんの食欲や発達に合わせて、無理なく調整するのが一番大切です。
月齢別・ほうれん草のレシピ
ここからは、実際に作れる月齢別のレシピを紹介します。
どれも身近な食材で作れるものばかりなので、気軽にチャレンジしてみてください。
初期|基本のほうれん草ペースト
まずはこれ!すべての基本になるペーストです。
葉先をやわらかくゆでてアク抜きし、なめらかにすりつぶします。
ブレンダーを使う場合は、ほうれん草をみじん切りにしなくてもそのまま状態を見ながら適した状態まで混ぜられます。
初期はさらに裏ごしをして繊維を取り除き、湯冷ましやだしでポタージュ状にのばすと、赤ちゃんがごっくんしやすくなります。
おかゆに混ぜると彩りもよく、食べやすくなりますよ。
中期|ほうれん草と豆腐のとろとろ
たんぱく質もとれる組み合わせです。
豆腐は電子レンジで加熱し、やわらかくした葉先と合わせます。
お湯またはだしでのばしたほうれん草を煮立て、水溶き片栗粉を少量ずつ加えて月齢に合わせたとろみをつけると、青菜が食べやすくなります。
盛り付ける際はあえて混ぜずにほうれん草と豆腐を分けて、豆腐だけ・ほうれん草だけなど単品で与えたり、器の中で混ぜ合わせたりと赤ちゃんの好みに合わせて食べさせるのもおすすめです。
後期|ほうれん草としらすのおかか和え
後期になったら、鉄分とうまみをプラスしたひと品を。
ほうれん草ペーストに、塩抜きして細かく刻んだしらすとかつおだしを和えるだけ。
食べにくい場合は片栗粉でとろみをつけると食べやすくなります。
しらすの動物性たんぱく質がほうれん草の鉄分の吸収を後押ししてくれる、栄養面でもうれしい組み合わせです。
完了期|手づかみもできる野菜おやき
完了期には、手づかみ食べにぴったりのおやきがおすすめです。
みじん切りにしたほうれん草、水切りした豆腐、鶏ひき肉、片栗粉をこねて、薄く油をひいたフライパンで両面を焼くだけ。
ひじきを加えるとその塩分で自然に味付けされますが、お好みでしょうゆを数滴加えても構いません。
成長するにつれて味のついたものを好むようになる赤ちゃんもいるため、離乳食後期〜完了期は様子を見ながら基本の調味料でごく薄く味付けをしてみてもよいでしょう。
自分で持って食べられると、赤ちゃんも食事がもっと楽しくなります。

ほうれん草の冷凍保存のコツ
ほうれん草は下ごしらえに手間がかかる分、まとめて作って冷凍しておくと毎日の離乳食がぐっとラクになります。
ペースト・すりおろしで小分け冷凍
作ったペーストは製氷皿で小分け冷凍が便利です。
ほうれん草を冷凍保存するには、製氷機に入れて凍らせたあと小分けにしてジッパー袋に入れると、1回分ずつ保存でき、解凍して使う際も電子レンジで解凍するだけとお手軽です。
また、ゆでてアク抜きした葉先を棒状にまとめてラップで包んで冷凍しておけば、使うときに凍ったまますりおろすと細かくなって使いやすく、すりおろしたものに水を軽く振って電子レンジで加熱するだけで簡単にペースト状になります。
1週間以内に使い切り、必ず再加熱
冷凍したほうれん草を使うときの大切なルールがあります。
冷凍したほうれん草は赤ちゃんにそのまま与えるのではなく再加熱して与え、1週間を目安に使い切りましょう。
赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いため、冷凍したものは必ずしっかり再加熱してから与えてください。
この点だけは忘れずに守りましょう。
市販の冷凍ほうれん草も上手に活用
「毎回下ごしらえは大変・・・」というときは、市販の冷凍ほうれん草も強い味方です。
市販の冷凍ほうれん草はブランチング(数秒から数分熱湯やスチームで加熱して品質劣化を防ぐ加工)と洗浄工程があるため、基本的にアク抜きをする必要がありません。
ただし注意点も。
離乳期は免疫が未発達なため、市販の冷凍ほうれん草も念のため二次加熱したものを食べさせるようにしましょう。
また、栄養面では冷凍にもメリットがあり、茹でたほうれん草を冷凍するとビタミンCや葉酸などは減ってしまいますが、β-カロテンは増えることがわかっています。
与えるときの注意点
最後に、ほうれん草を安心して取り入れるための注意点をまとめます。
難しいことはありませんが、押さえておくと安心です。
初めては1さじから様子を見て
どんな新しい食材でも共通ですが、初めて与えるときは少量から始めます。
ほうれん草でアレルギーが起こることはあまりありませんが、初めて与えるときはスプーン1さじから試して様子を見てあげましょう。
初めて食べさせる場合は少量をほかの食材と混ぜずに与え、子ども用スプーンのひとさじから始めて徐々に量を増やしていきます。
体調の変化に気づきやすいよう、平日の午前中に試すと安心です。
食物繊維が多いので体調に合わせて
ほうれん草には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維も豊富に含まれているため赤ちゃんによってはお腹がゆるくなることがあり、赤ちゃんが下痢気味のときは控えたほうが安心です。
また、体調の悪いときは大量に与えないように気をつけましょう。
いつもより元気がないな、と感じるときは無理をせず、体調が整ってから取り入れるのがおすすめです。
食べてくれないときの工夫
青菜の苦味やえぐみで食べてくれないこともよくあります。
そんなときは、あわてず工夫してみましょう。
赤ちゃんがほうれん草を食べてくれない時は、バナナなど甘みのある果物やミルクと合わせて与えてみると食べやすくなることがあります。
とろみをつけたり、おかゆやポタージュに少量混ぜ込んだりするのも効果的。
一度食べなくても、時間をおいて何度かチャレンジするうちに食べられるようになることも多いので、焦らず気長に向き合ってあげてくださいね。
まとめ|ほうれん草で彩り豊かな離乳食を
ほうれん草は、鉄分や葉酸、β-カロテンなど赤ちゃんの成長を支える栄養がたっぷり詰まった、離乳食初期から使える頼もしい食材です。
ポイントを振り返っておきましょう。
- 生後5〜6ヶ月頃の離乳初期から、葉先をペーストにして始められる
- えぐみのもと「シュウ酸」は、ゆでて冷水にさらせば大幅に減らせる
- 月齢に合わせて使う部分(葉先→茎)とかたさを変えていく
- ペーストやすりおろしで小分け冷凍すれば、毎日の調理がラクになる
- 冷凍品は必ず再加熱し、1週間以内に使い切る
- 初めては1さじから、体調に合わせて無理なく取り入れる
アク抜きと聞くと身構えてしまいがちですが、コツをつかめばほうれん草は離乳食の心強い定番になります。
鮮やかな緑がお皿に加わるだけで、離乳食づくりがちょっと楽しくなるはず。
ぜひお子さんの「おいしい!」の笑顔を思い浮かべながら、今日の一品に取り入れてみてくださいね。
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。
お子さんの発育やアレルギー、体調に関して気になることがある場合は、かかりつけの小児科医や自治体の栄養士など専門家にご相談ください。
