「うちの子、ちゃんと眠れているのかな・・・」赤ちゃんや幼児を育てていると、睡眠に関する悩みは尽きないものです。夜中に何度も起きる、なかなか寝てくれない、逆に寝すぎているのでは、など月齢が変わるたびに新しい疑問が出てくるのではないでしょうか。
子どもの睡眠時間は月齢・年齢によって大きく異なり、成長段階ごとに理想とされる長さやリズムも変化していきます。この記事では、厚生労働省が公表している睡眠ガイドや米国睡眠医学会(AASM)の推奨データをもとに、0〜3歳の子どもに必要な睡眠時間を月齢・年齢別に一覧表でまとめました。あわせて、各時期に見られる睡眠の特徴や、質の良い睡眠を促す生活習慣のコツも詳しく紹介します。目安を知ることで、育児の不安が少しでも軽くなり、親子の毎日が穏やかになるお手伝いができれば幸いです。
子どもの睡眠時間が大切な理由
子どもにとって睡眠は、単に体を休めるだけの時間ではありません。
脳や体の発達に直結する、非常に重要な活動のひとつです。
脳と体の発達に欠かせない役割
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、体の発育が促されます。
また、日中に得た情報や経験を脳が整理・定着させる時間でもあり、記憶力や情緒の安定にも関わっているといわれています。
大人よりも子どものほうが多くの睡眠を必要とするのは、成長のスピードが著しく、脳の発達に多くのエネルギーと時間を要するためです。
睡眠不足が引き起こす影響
厚生労働省の情報サイトでは、小児の睡眠不足や睡眠障害が持続すると、肥満や生活習慣病(糖尿病・高血圧)、うつ病などの発症率を高めたり症状を増悪させたりする危険性があると示されています。
乳幼児期の睡眠習慣は将来の生活習慣にもつながっていくため、早いうちから整えておくことが望ましいとされています。

【一覧表】0〜3歳の睡眠時間の目安
まずは、月齢・年齢ごとの理想的な睡眠時間を一覧表で確認しましょう。
厚生労働省が2024年に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、米国睡眠医学会が推奨するこどもの睡眠時間として、4ヶ月〜1歳未満児は「12〜16時間(昼寝含む)」という目安が示されています。
この数値をベースに、新生児期や1歳以降の目安も含めてまとめました。
月齢・年齢別の総睡眠時間表
| 月齢・年齢 | 総睡眠時間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 新生児期(0〜3か月) | 約14〜17時間 | 昼夜の区別がなく、数時間ごとに眠って起きるを繰り返す |
| 4か月〜1歳未満 | 約12〜16時間 | 夜間のまとまった睡眠が少しずつ増えてくる |
| 1〜2歳 | 約11〜14時間 | お昼寝は1〜2回、夜泣きが見られることもある |
| 3歳前後 | 約10〜13時間 | お昼寝が1回になり、卒業する子も出てくる |
あくまで目安であり、同じ月齢でも子どもによって必要な睡眠時間には個人差があることを前提に参考にしてください。
厚生労働省と米国睡眠医学会の推奨基準
厚生労働省は2024年2月に「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定しました。「健康づくりのための睡眠2014」の策定から約10年が経過し、睡眠に関する新たな科学的知見が蓄積されたため、成人・こども・高齢者のライフステージ別に推奨事項がまとめ直されています。
同ガイドでは、適正な睡眠時間の目安を子ども・成人・高齢者に分けて初めて示している点が特徴です。
また、こどもの睡眠時間については、厚生労働省だけでなく、米国睡眠医学会もこの睡眠時間を適切であると推奨しており、理想的な睡眠時間はこどもの成長に伴い徐々に短くなるとされています。
複数の専門機関が共通の見解を示していることからも、この一覧表の数値は信頼性の高い目安といえるでしょう。
詳しい内容は厚生労働省「睡眠対策」公式ページでも公開されています。
新生児期(0〜3か月)の睡眠の特徴
生まれたばかりの赤ちゃんは、1日の大半を眠って過ごします。
この時期特有の睡眠パターンを知っておくと、必要以上に心配せずに過ごせます。
睡眠サイクルと昼夜のリズム
新生児の睡眠は、大人と大きく異なる特徴を持っています。
赤ちゃんの睡眠サイクルは大人と比較するとレム睡眠が2倍ほど多くなっていて、睡眠時間の50%を占めているとされ、レム睡眠は浅い眠りのため少しの刺激やちょっとした物音でも目を覚ましてしまうことがあります。
また、生まれたばかりの赤ちゃんは睡眠サイクルができておらず、昼と夜の区別がなく授乳の時以外はほとんど眠っている状態です。
おおよそ2〜3時間ぐらいの睡眠サイクルを繰り返しながら、少しずつ体内時計が育っていきます。
この時期に気をつけたいポイント
この時期は「まとまって寝てくれない」ことに悩む親御さんが非常に多いですが、これは生理的に自然なことです。
授乳やおむつ替えのために頻繁に起きるのは正常な発達段階であり、無理に「夜通し寝かせよう」とする必要はありません。
焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて過ごすことが大切です。
一方で、明らかに睡眠時間が極端に短い、ぐったりしていて起きない時間が異常に長いなど、いつもと違う様子が続く場合は、早めにかかりつけの小児科へ相談しましょう。
生後4か月〜1歳の睡眠の変化
生後4か月頃から、赤ちゃんの睡眠には少しずつ変化が見られるようになります。
夜間のまとまった睡眠が増える時期
この時期になると、体内時計が発達し始め、昼夜の区別が徐々についてきます。
日中は数回の昼寝を挟みながら、夜にまとまった時間眠れるようになる赤ちゃんが増えていきます。
ただし個人差は大きく、生後6か月を過ぎても夜間に何度か目を覚ます子は珍しくありません。
周囲の子と比べて焦る必要はなく、その子なりのペースで見守りましょう。
夜泣きが始まる理由と対処法
この時期に多くの親御さんを悩ませるのが「夜泣き」です。
夜泣きは生後6ヵ月前後にピークを迎え、1歳半前後に終わるケースが多い傾向にあります。
夜泣きが起こる背景には、脳の発達過程で日中の記憶を整理する過程が関係していると考えられています。
夜泣きへの対処としては、次のような工夫が有効とされています。
- 就寝前は部屋を暗くし、穏やかな雰囲気で過ごす
- 毎日同じ順番で「お風呂→授乳→絵本→就寝」など入眠儀式を作る
- スマートフォンやテレビの光を就寝前は控える
- 激しい遊びは寝る直前を避け、落ち着いた活動に切り替える
夜泣きは成長過程で誰にでも起こりうる自然な現象であり、親の育て方が原因ではありません。
一人で抱え込まず、パートナーや家族と協力しながら乗り越えていきましょう。

1〜2歳の睡眠とお昼寝の目安
歩き始め、言葉も少しずつ出てくる1〜2歳は、活動量の増加にともなって睡眠のリズムにも変化が現れます。
お昼寝の回数と時間の移行
1歳を過ぎると、多くの子どもは昼寝が1日2回から1回へと移行していきます。
ただし、この移行は月齢だけで一律に決まるものではなく、子どもの機嫌や日中の活動量を見ながら、少しずつ回数を減らしていくのがポイントです。
急に昼寝をなくすと、夕方以降に疲れすぎてしまい、かえって寝つきが悪くなることがあるため注意しましょう。
イヤイヤ期と寝かしつけの工夫
1歳半頃から始まる自我の芽生え、いわゆる「イヤイヤ期」は、寝かしつけにも影響することがあります。「まだ寝たくない」「もっと遊びたい」という気持ちが強くなり、寝る前にぐずってしまうことも増えるでしょう。
この時期は、寝る前の流れをルーティン化し、子ども自身に「そろそろ寝る時間」だと予測させてあげることが効果的です。
選択肢を与える(どちらの絵本を読む?など)ことで、子どもの自主性を尊重しながらスムーズに就寝へ導く方法もおすすめです。
2〜3歳の睡眠とお昼寝卒業の目安
3歳前後になると、体力もつき、日中の活動時間が長くなることで睡眠のパターンにも大きな変化が見られます。
保育園・幼稚園生活との両立
保育園や幼稚園に通い始める時期でもあり、集団生活のリズムに合わせて睡眠時間が整いやすくなる一方、環境の変化によって寝つきが悪くなることもあります。
園での昼寝の時間が家庭でのリズムと異なる場合は、休みの日にも大きくリズムを崩さないよう配慮すると、生活リズム全体が安定しやすくなります。
夜更かし対策と生活リズム
e-ヘルスネットで紹介されている厚生労働省の調査では、2001年に出生した4万人以上のこどもの睡眠習慣について追跡調査を実施し、4歳6カ月時点での最も多い就寝時刻は21時台であり、21時前に就寝するこどもは5人に1人以下しかいなかったという結果が出ています。
乳幼児期の就寝時刻は親の生活リズムに影響されやすいため、家族全体で早寝・早起きを意識することが重要です。
実際、これは親が残業等で帰宅が遅いことも影響していると指摘されており、乳幼児期は、こどもの睡眠習慣が親の睡眠習慣に影響されやすいため、家族ぐるみで早寝・早起き習慣を目指すとよいとされています。
睡眠時間が目安より短い・長いときの考え方
一覧表と自分の子どもの睡眠時間を見比べて、「うちの子は目安より短い(長い)けど大丈夫かな」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
個人差の範囲と受診の目安
睡眠時間には生まれつきの個人差があり、目安の範囲から多少外れていても、日中機嫌よく過ごせていて、食欲や体重の増加に問題がなければ、過度に心配する必要はないとされています。
一方で、日中も強い眠気が続く、発達の遅れが気になる、いびきや呼吸の乱れが頻繁に見られるといった場合は、自己判断せず小児科や専門医に相談することをおすすめします。
心配しすぎないための考え方
睡眠の一覧表はあくまで「多くの子どもに当てはまる平均的な目安」であり、絶対的な基準ではありません。
数字に一喜一憂するよりも、子どもの機嫌・食欲・成長曲線といった総合的な様子を見て判断することが大切です。
育児は比べるものではなく、目の前の我が子のペースに寄り添うことが何よりのポイントといえるでしょう。

質の良い睡眠を整える5つの習慣
睡眠時間の長さだけでなく、質の良い睡眠をとることも子どもの成長には欠かせません。
ここでは、今日から取り入れられる具体的な工夫を紹介します。
生活リズムを整えるコツ
毎日できるだけ同じ時間に起床・就寝することで、体内時計が整いやすくなります。
朝はカーテンを開けて日光を浴びる、朝食をしっかりとるといった習慣も、夜の寝つきの良さにつながります。
休日だからといって大きく起床時間をずらさないことも、リズムを崩さないポイントです。
睡眠環境の整え方
寝室の温度や湿度、明るさは睡眠の質に大きく影響します。
夏場は26〜28度前後、冬場は20度前後を目安に、季節に応じて調整しましょう。
就寝時は部屋をできるだけ暗くし、豆電球程度の薄明かりにとどめると、体が「眠る時間」と認識しやすくなります。
寝かしつけルーティンのつくり方
「お風呂→パジャマ→絵本→ハグ→消灯」のように、毎晩同じ流れで就寝準備を行うと、子どもは次に何が起こるかを予測できるようになり、安心して眠りに入りやすくなります。
ルーティンは一度作ったら、できるだけ崩さず継続することが定着のカギです。
旅行や帰省などでいつもと環境が変わるときも、絵本の読み聞かせだけは続けるなど、一部だけでも維持する工夫がおすすめです。
さらに、就寝前の1時間はスマートフォンやテレビなどの画面から離れる「デジタルデトックスタイム」を設けることも効果的です。
ブルーライトは脳を覚醒させる作用があるため、寝る直前の視聴は避け、穏やかな遊びや会話の時間に切り替えていきましょう。
まとめ
0〜3歳の子どもの睡眠時間は、新生児期の約14〜17時間から始まり、成長とともに少しずつ短くなっていきます。
厚生労働省や米国睡眠医学会が示す目安を知っておくことで、「うちの子は大丈夫かな」という漠然とした不安を、具体的な指標をもとに考えられるようになります。
ただし、どの数字もあくまで目安であり、大切なのは目安と完全に一致させることではなく、子どもの機嫌や成長を見ながら無理のない生活リズムを一緒に作っていくことです。
夜泣きやお昼寝の悩みは、多くの家庭が通る道です。
焦らず、今日紹介した生活習慣のコツを少しずつ取り入れながら、親子にとって心地よい眠りの時間を見つけていってください。
