「隣の家の赤ちゃんはもう一人で立っているのに、うちの子はまだつかまり立ちも危なっかしい・・・」そんな風に、我が子の成長を他の子と比べて不安になってしまうことはありませんか。赤ちゃんの一人立ちは、育児のなかでも特に感動的な瞬間のひとつですが、始まる時期には驚くほど個人差があります。この記事では、こども家庭庁が公表している最新の乳幼児身体発育調査のデータをもとに、赤ちゃんが一人立ちをする時期の目安や発達のステップ、家庭でできる安全なサポート方法までをわかりやすく解説します。正しい知識を身につけて、赤ちゃんの成長を楽しみながら見守っていきましょう。
赤ちゃんの「一人立ち」とは?たっちとの違い
赤ちゃんの発達を語るうえで、「つかまり立ち」「一人立ち(たっち)」「ひとり歩き」という言葉はよく似ているようで、それぞれ意味が異なります。
まずは言葉の定義を整理しておきましょう。
一人立ちとつかまり立ちの違い
「つかまり立ち」は、テーブルやソファなど何かに手をかけながら立ち上がる動作を指します。
一方で「一人立ち(たっち)」は、家具や大人の手など何にもつかまらず、自分の足だけでバランスを取って立つ状態を指します。
つかまり立ちができるようになってから、一人立ちができるようになるまでには一般的に数か月のタイムラグがあることを知っておくと、成長の見通しが立てやすくなります。
一人立ちとひとり歩きとの関係
一人立ちができるようになると、次のステップとして「つたい歩き」を経て「ひとり歩き」へと移行していきます。
多くの赤ちゃんは、家具につかまりながら横歩きをする「つたい歩き」の期間を経てから、支えなしで数歩あるく「ひとり歩き」に進みます。一般的な成長過程としては、おすわり、ハイハイ、つかまり立ち、つたい歩き、一人立ち、ひとり歩きという順序で発達が進んでいくケースが多いとされています。

一人立ちが始まる時期の目安【最新データ】
赤ちゃんの発達の目安として、多くの育児メディアが参照しているのが厚生労働省(現・こども家庭庁)による「乳幼児身体発育調査」です。
この調査は昭和25年から10年ごとに実施されている国の一次情報であり、非常に信頼性の高いデータといえます。
こども家庭庁の調査結果に見る月齢別の割合
2024年12月に公表された最新の調査結果によると、「ひとりすわり」は生後9〜10か月未満の乳児の90%以上でできる、「はいはい」は生後10〜11か月未満の乳児の90%以上でできる、「つかまり立ち」は生後11〜12か月未満の乳児の90%以上でできる「ひとりすわり」は、生後9~10 か月未満の乳児の90%以上でできると回答。
・「はいはい」は、生後10~11 か月未満の乳児の90%以上でできると回答。
・「つかまり立ち」は、生後11~12 か月未満の乳児の90%と報告されています。
これは国が実施した調査による一次情報であり、育児メディアの多くが参照している数値の裏付けとなるものです。
さらに、一人立ちの先にある「ひとり歩き」については、過去の調査で「ひとり歩き」は、生後1年3~4か月未満の幼児の90%以上ができるようになると報告されています。
これらのデータから逆算すると、一人立ちが始まる時期はおおむね生後10か月から1歳2か月頃が一つの目安になると考えられます。
実際に、複数の育児情報サイトでもたっち(一人立ち)を始めるのは生後10か月〜1歳2か月頃たっち(ひとり立ち)は、何もつかまらずに一人で立つこと。
伝い歩きが上手になり、下半身が安定してくると、自然に脚の力だけで立てるようになります。
赤ちゃんがたっちを始めるのは、生後10ヶ月~1歳2ヶ月頃と言われていますと紹介されており、国の統計データとおおむね一致しています。
個人差が大きい理由
一人立ちの時期には、体重や筋力、性格、運動への興味の強さなど、さまざまな要因が影響します。
早い赤ちゃんでは生後8〜9か月頃から一人立ちの兆候が見られる一方で、1歳を過ぎてからゆっくり進む赤ちゃんもいます。
発達には数か月単位の個人差があるのが当たり前であり、月齢だけを基準に焦る必要はありません。
実際に、生後1年を超えてもつかまり立ちをしない赤ちゃんが全体の1割ほどいるという報告もあり、少し遅れているからといって特別なことではないのです。
一人立ちまでの発達ステップ
赤ちゃんが一人立ちに至るまでには、いくつかの段階を経ることが一般的です。
それぞれのステップを知っておくことで、今わが子がどの段階にいるのかを把握しやすくなります。
寝返り・おすわり・ハイハイの時期
多くの赤ちゃんは、生後4〜7か月頃に寝返りを覚え、生後7〜9か月頃にはおすわりが安定し、そこからハイハイへと発達していきます。
ハイハイで全身の筋力とバランス感覚を養うことが、その後の立つ・歩く動作の土台になります。
つかまり立ち・つたい歩き・一人立ちへ
ハイハイが上手になると、次は目の前の家具や大人の体につかまって立ち上がる「つかまり立ち」が始まります。
つかまり立ちが安定してくると、つかまったものを伝いながら移動する「つたい歩き」に進みます。
つたい歩きの初期は足を横に動かすカニ歩きのような動きが多く見られ、慣れてくると足をクロスさせて移動できるようになります。
この過程を経て、少しずつ何にもつかまらずに立っていられる時間が増え、一人立ちへとつながっていきます。

一人立ちの前兆となるサイン
赤ちゃんが一人立ちをする直前には、いくつかの共通したサインが見られることがあります。
日々の様子を観察していると、その兆候に気づけるかもしれません。
動作面に見られるサイン
つたい歩きの最中に、片手だけを家具から離して数秒間バランスを取ろうとする様子や、抱っこをせがんで手を挙げた拍子に、支えなく数秒間立ってしまう瞬間などは、一人立ちが近づいているサインの一つです。
また、足の裏でしっかり床を踏みしめる感覚に慣れてきたり、膝を伸ばした状態で長く立てるようになったりするのも特徴です。
気持ち・仕草に見られるサイン
高い位置にあるおもちゃに手を伸ばそうとしたり、大人が近くで名前を呼ぶと立ち上がって近づこうとしたりするなど、「もっと自由に動きたい」という好奇心や意欲の高まりも、一人立ちの前兆として見逃せないポイントです。
赤ちゃんの「やってみたい」という気持ちを大切に見守ってあげましょう。
おうちでできる安全なサポート方法
赤ちゃんの一人立ちは自然な発達の過程であり、無理に練習させる必要はありませんが、環境を整えることで挑戦しやすくなります。
ここでは家庭でできる具体的なサポート方法を紹介します。
安全な環境づくりのポイント
つかまり立ちの練習には、赤ちゃんの身長に合った高さの家具を用意することがポイントです。
家具が低すぎても高すぎても不安定になりやすいため、ソファやローテーブルなど、赤ちゃんの手が届きやすい高さのものを動線上に配置する赤ちゃんの身長に合った高さの家具を動線に配置するのがポイントです。
赤ちゃんがつかまり立ちに意欲的でも、周りにちょうどよい高さの家具がなければなかなか実践につなげられませんとよいでしょう。
また、床には滑りにくいマットを敷き、角のある家具にはコーナーガードを取り付けるなど、転倒時のケガを防ぐ工夫も欠かせません。
おすすめの遊び方・声かけ
大人が赤ちゃんの脇や腰を優しく支えながら、床に足の裏をしっかりつけて立つ感覚に慣れさせる方法も効果的です。
手押し車やジムタイプのおもちゃを使い、おもちゃを左右両方向に動かし、それを追って移動できるようサポートしてあげましょうという関わり方も、つたい歩きから一人立ちへの移行を後押ししてくれます。
何より大切なのは、立てた瞬間にたくさん褒めてあげることです。
「できたね」「すごいね」という声かけは、赤ちゃんの挑戦する意欲を大きく育てます。

練習で気をつけたい注意点とNG行動
一人立ちの練習をサポートする際には、良かれと思ってやったことが赤ちゃんの発達にとって逆効果になるケースもあります。
以下のポイントに注意しましょう。
転倒・誤飲などの事故対策
一人立ちを始めた赤ちゃんは行動範囲が一気に広がるため、転倒だけでなく、テーブルの上のものを引っ張って落下させたり、コード類を引っ掛けたりする事故のリスクも高まります。
家具の固定、コンセントカバーの設置、床に小さな部品を置かないなど、赤ちゃんの目線に立った安全対策を改めて見直しましょう。
目を離す時間はベビーサークルなどを活用し、常に見守れる環境を整えることが大切です。
無理な練習は禁物
早く立たせたい一心で、赤ちゃんの手を引っ張って無理に立たせたり、長時間立たせ続けたりすることは避けましょう。
足腰の発達が十分でない段階で過度な負担をかけると、股関節や足の形成に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
あくまで赤ちゃん自身の「やってみたい」という気持ちを尊重し、大人はその挑戦をサポートする役割に徹することが望ましいとされています。
「まだ立たない」と不安なときの考え方
育児書やSNSで見る「標準的な発達」と我が子を比べて、不安になってしまう親御さんは少なくありません。
しかし、発達のスピードは赤ちゃん一人ひとり異なります。
発達の個人差と目安の考え方
前述のとおり、こども家庭庁の調査でも一人立ちにつながる「つかまり立ち」ができるようになるのは生後11〜12か月未満で90%以上という結果であり、逆に言えば1割近くの赤ちゃんはそれ以降にできるようになるということです。
月齢の目安はあくまで「多くの赤ちゃんに当てはまる平均的な傾向」であり、個々の赤ちゃんの発達に優劣をつけるものではありません。
体格や性格によっても差が出るため、他の子と比べすぎず、我が子のペースを見守る姿勢が大切です。
相談先の目安(乳幼児健診・かかりつけ医)
とはいえ、1歳6か月を過ぎてもつかまり立ちや一人立ちの兆候が全く見られない場合や、筋緊張の異常など気になる様子がある場合は、自治体の乳幼児健診やかかりつけの小児科医に相談することをおすすめします。
自己判断で様子を見続けるのではなく、専門家に相談することで、親御さん自身の不安も軽減されます。
1歳6か月児健診は発達の重要なチェックポイントの一つですので、日頃気になっていることをメモしておき、遠慮せず相談してみましょう。
一人立ちから広がる赤ちゃんの世界
一人立ちができるようになると、赤ちゃんの視界や行動範囲は一気に広がります。
高い場所にあるものに手が届くようになったり、両手を自由に使えるようになったりすることで、遊びの幅もぐっと広がっていきます。
両手が自由になることで広がる遊び
一人立ちができると、両手でおもちゃを持ちながら立っていられるようになるため、積み木を積んだり、絵本のページをめくったりといった遊びがしやすくなります。
この時期は指先の発達も著しく進む時期でもあるため、握る・つまむといった動作を伴うおもちゃを取り入れるのもおすすめです。
ひとり歩きへの助走期間として楽しむ
一人立ちは、ひとり歩きへの大切な助走期間です。
この時期は転倒することも多く、お尻をついてぺたんと座り込む姿もかわいらしいものです。
できないことを心配するよりも、日々少しずつ変化していく赤ちゃんの姿そのものを楽しむ気持ちを持つことが、育児をより豊かなものにしてくれます。
成長記録として写真や動画に残しておくと、後から振り返ったときにかけがえのない思い出になるでしょう。
まとめ
赤ちゃんの一人立ちは、こども家庭庁の最新の調査データからも、生後10か月から1歳2か月頃を中心に、大きな個人差を伴いながら訪れる発達の一段階であることがわかります。
つかまり立ちからつたい歩き、そして一人立ちへと進む過程を理解し、赤ちゃんの身長に合った家具の配置や転倒対策など、安全な環境づくりを整えてあげることが、親としてできる何よりのサポートです。
月齢の目安はあくまで参考として捉え、我が子のペースを尊重しながら、日々変化していく小さな成長の瞬間を一緒に楽しんでいきましょう。
もし発達について気になることがあれば、一人で抱え込まず、乳幼児健診やかかりつけ医に相談することも忘れずに。
赤ちゃんの一人立ちという大きな一歩を、温かく見守ってあげてください。