よちよち歩きが始まったと思ったら、いつの間にか後ろ向きや横向きにも歩き出す我が子・・・。「これって早すぎる?」「まだできないけど大丈夫?」と、成長のスピードに一喜一憂してしまうのは、子育て中なら誰もが経験することですよね。1歳前後の赤ちゃんは、前歩きだけでなく後ろ歩きや横歩きといった応用的な歩行にも少しずつチャレンジし始める時期です。この記事では、後ろ歩き・横歩きが始まる目安の時期や、公的機関の最新データ、家庭で無理なく取り入れられる遊びのアイデアまで、育児が楽しくなる情報をたっぷりお届けします。
「うちの子はまだできない」「もうこんなに上手に歩けるようになった」と、周りと比べて不安になる必要はありません。運動発達には個人差があることを前提に、お子さんのペースを一緒に楽しんでいきましょう。

後ろ歩き・横歩きとはどんな動き?
後ろ歩きとは、進行方向を見ずに後方へ足を運ぶ歩行動作のことです。
横歩きは、体を横向きにしたまま左右どちらかへ移動する歩き方を指します。
どちらも、前方へまっすぐ進む「前歩き」に比べて難易度が高い動きとされています。
前歩きより難しい理由
前歩きは視覚で進行方向を確認しながら足を出せますが、後ろ歩きは目に見えない方向へ体を動かす必要があります。
足の裏や関節から伝わる感覚(固有受容感覚)を頼りに、無意識のうちにバランスを取る力が求められるため、赤ちゃんにとってはひとつ上のステップの運動といえるでしょう。
横歩きが持つ役割
横歩きは、家具につかまりながら伝い歩きをする過程で自然と身につくことが多い動きです。
体の側面を使ったバランス調整や、片足に体重を乗せ替える練習になるため、後ろ歩きと同様に歩行の完成度を高める大切な過程と考えられています。

後ろ歩き・横歩きができる時期の目安
多くの赤ちゃんは、ひとり歩きが安定してから数か月後に、後ろ歩きや横歩きにチャレンジし始める傾向があります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、発達のスピードには非常に大きな個人差があることを念頭に置いてください。
公的機関のデータで見るひとり歩きの時期
こども家庭庁が実施した最新の調査によると、「ひとり歩き」は、生後1年4~5か月未満の幼児の90%以上でできると回答されています。
つまり、後ろ歩きや横歩きといった応用動作は、この安定したひとり歩きの土台があってこそ育っていくものだと考えられます。
この調査は、全国の乳幼児の身体発育の状態を調査したもので、昭和25年から10年ごとに実施しているものです。
長年にわたり日本の子どもたちの発育・発達の実態を追い続けてきた、信頼性の高い一次情報といえます。
後ろ歩きが定着する年齢の目安
発達検査の指標のひとつであるKIDS乳幼児発達スケールでは、手すりなどにつかまらない状態で後ろ向きに歩く動作は1歳7か月頃の発達に位置付けられています。
また、その他の発達評価においても後ろ向きに歩く動作は1歳後半から2歳頃の発達と解釈されているものが比較的見られます。
つまり、1歳ちょうどのタイミングで後ろ歩きが完璧にできなくても、まったく焦る必要はないのです。
1歳の誕生日を過ぎても後ろ歩きをしないからといって、発達に問題があるわけではありません。
前歩きが安定してから徐々に習得していく動きなので、長い目で見守ってあげましょう。
なぜ後ろ歩き・横歩きをしたがるの?
赤ちゃんが後ろ歩きや横歩きをし始めると、「わざと難しいことをしているの?」と不思議に思うかもしれません。
しかし、これは好奇心と運動能力の発達が結びついた、ごく自然な行動です。
好奇心とチャレンジ精神の表れ
1歳を過ぎると自我が芽生え始め、いつもと違う動きを試したいという気持ちが強くなります。
後ろ歩きや横歩きは、赤ちゃんにとって新しい「遊び」であり、成功したときの達成感が次のチャレンジへの意欲につながっていきます。
バランス感覚を育てる練習
専門家の見解では、未診断の幼児で「後ろ歩きだけが苦手」な子を対象にした研究は限定的であるものの、後方への歩行練習はバランス能力の向上に関わる可能性が指摘されています。
日常の中で自然と後ろ歩きにチャレンジすること自体が、体幹やバランス感覚を鍛える貴重な機会になっていると考えられます。

家庭でできる後ろ歩き・横歩きの遊び方
専門的なトレーニングをする必要はありません。
日常の遊びの延長線上で、楽しみながら体を動かす機会を増やしてあげることが何より大切です。
手つなぎ後ろ歩きごっこ
大人と手をつなぎながら、ゆっくりと後ろ向きに数歩歩く遊びです。
転倒のリスクを減らしながら、後ろ歩きの感覚をつかむ練習になります。「せーの」で一緒に後ろへ下がるだけでも、赤ちゃんは大喜びしてくれるはずです。
音楽に合わせた横歩きダンス
好きな音楽をかけながら、横にステップを踏む動きを一緒にやってみましょう。
リズムに合わせて体を動かすことで、楽しみながら左右へのバランス調整を経験できます。
お家の中でできる安全な運動遊び
- クッションや座布団を並べて、その上を歩くバランス遊び
- 段ボールで作った簡単なトンネルをくぐる遊び
- 低い台からジャンプして着地する遊び(大人がしっかり支える)
- 風船を追いかけて歩く・小走りする遊び
遊びの中で「できた!」という成功体験を積み重ねることが、赤ちゃんの運動発達への意欲を高める一番の近道です。
無理に練習させるのではなく、あくまで遊びの延長として取り入れることを意識してください。
後ろ歩き・横歩き練習時の注意点
後ろ歩きや横歩きは魅力的な成長のサインですが、練習させる際にはいくつか気をつけたいポイントがあります。
転倒によるケガのリスク
後ろ歩きは進行方向が見えないため、前歩きよりも転倒のリスクが高くなる動作です。
家具の角や段差、コード類など、後方に障害物がない安全なスペースを確保したうえで練習させましょう。
床材・靴下にも配慮を
フローリングで靴下を履いたまま後ろ歩きをすると、滑って転倒する危険性が高まります。
室内で歩行練習をする際は、滑り止め付きの靴下を活用するか、裸足やスリップしにくいマットの上で行うことをおすすめします。
無理強いは禁物
後ろ歩きや横歩きを嫌がる、怖がる様子を見せる場合は、決して無理にやらせないでください。
運動発達は、身体機能だけでなく本人の意欲や環境との関わりの中で育っていくものです。
焦らず、赤ちゃんのペースを尊重してあげましょう。
こんなときは相談を|受診の目安
基本的に、後ろ歩きや横歩きの習得時期に多少のばらつきがあることは心配いりません。
ただし、次のようなサインが見られる場合は、早めにかかりつけの小児科医や1歳半健診などで相談することをおすすめします。
相談を検討したいサイン
- 1歳半を過ぎても、つかまらずに立つことができない
- できていたはずの動き(つかまり立ちや伝い歩きなど)が急にできなくなった
- 体の左右で明らかに動きに差がある
- 歩行時に強い痛みを訴える様子がある
できていた動きが急に消失した、けいれんのような動きが見られる、意識がぼんやりしているなどの場合は、様子を見ずにすぐに医療機関を受診してください。
自己判断で様子見を続けるのではなく、専門家の目で確認してもらうことが安心につながります。
健診をうまく活用しよう
1歳6か月児健診は、運動発達を専門家にチェックしてもらえる貴重な機会です。
日頃気になっていることをメモしておき、遠慮せずに質問してみましょう。
健診で「順調」と言われるだけでも、育児の安心材料になります。
個人差を前提に見守ることの大切さ
SNSや育児雑誌では、月齢ごとの「できること」がリスト化されていることが多く、つい我が子と比べて焦ってしまいがちです。
しかし、運動発達のスピードは骨格や筋力、性格、生活環境など多くの要因によって左右されるため、一つの目安に一喜一憂しすぎないことが大切です。
体格や性格による違い
体格がしっかりしている赤ちゃんは早い時期から活発に動き回る一方で、慎重な性格の赤ちゃんはハイハイや伝い歩きをじっくり楽しんでから歩き出すこともあります。
どちらが良い・悪いということではなく、それぞれの個性として捉えてあげましょう。
比べるべきは「過去のわが子」
他のお子さんと比較するのではなく、1か月前、3か月前のわが子と比べてどれだけ成長したかに目を向けると、育児の見え方が大きく変わります。
小さな成長の積み重ねに気づけると、日々の子育てがぐっと楽しくなるはずです。
よくある質問
Q. 後ろ歩きを全くしない場合、練習させたほうがいいですか?
A. 無理に練習させる必要はありません。
前歩きが安定してくれば、遊びの中で自然と後ろ歩きや横歩きにも興味を示すお子さんがほとんどです。
心配な場合は、健診のタイミングで相談してみましょう。
Q. 横歩きばかりして、なかなか前に歩こうとしません。
大丈夫ですか?
A. 伝い歩きの延長として横歩きを楽しんでいる時期は珍しくありません。
つかまるものがない場所でも少しずつ手を離す様子が見られれば、発達は順調に進んでいると考えられます。
Q. 兄弟姉妹で発達のスピードが全然違います。
心配すべきですか?
A. 兄弟姉妹であっても、運動発達のスピードには個人差があります。
それぞれの成長曲線を比べるのではなく、その子自身の変化を見守ってあげてください。
まとめ
1歳前後の赤ちゃんが見せる後ろ歩きや横歩きは、前歩きの完成に向けたステップであり、好奇心とバランス感覚が育っている証でもあります。
こども家庭庁の最新調査でも示されているとおり、ひとり歩きの習得自体に幅広い個人差があることを踏まえれば、後ろ歩き・横歩きの時期に差があるのはごく自然なことです。
大切なのは、月齢別の目安に振り回されすぎず、遊びの中で楽しく体を動かす機会をたくさん作ってあげることです。
転倒などの安全面に配慮しながら、親子で一緒に体を動かす時間を楽しんでみてください。
そして、気になるサインが見られたときは、迷わずかかりつけ医や健診の場を頼りましょう。
日々の小さな成長を一緒に喜びながら、お子さんのペースに寄り添った育児を楽しんでいただければ幸いです。