育児中ママの体ケア | 骨盤底筋の簡単エクササイズ

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赤ちゃんとの毎日は愛おしくて楽しい反面、「くしゃみをした瞬間にヒヤッとした」「抱っこで腰が重い」など、産後の体の変化に戸惑うママも多いのではないでしょうか。実はこうした不調の多くに、骨盤底筋(こつばんていきん)のゆるみが関係していると考えられています。でも大丈夫。特別な道具も、まとまった時間も必要ありません。育児のスキマ時間にできる簡単なケアで、体は少しずつ応えてくれます。この記事では、忙しいママでも今日から無理なく続けられる骨盤底筋エクササイズを、やさしく丁寧にご紹介します。体が軽くなれば、育児はもっと楽しくなりますよ。

骨盤底筋ってどんな筋肉?

骨盤底筋という言葉は聞いたことがあっても、体のどこにあるのかピンとこない方がほとんどです。
まずは「そもそも何のための筋肉なのか」を知ることから始めましょう。
仕組みがわかると、エクササイズの効果もぐっと実感しやすくなります。

体の底で臓器を支えるハンモック

骨盤底筋は、その名の通り骨盤の底にある筋肉の集まりです。
骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支えており、排尿や排便のコントロールに関わっています。
ちょうど尾骨と恥骨の間にハンモックのように広がって、大切な臓器を下から支えているイメージです。

この筋肉は体の内側にあるため、腕や脚の筋肉のように目で見たり手で触れたりできません。
身体の表面に近い骨盤底筋群の一部をのぞいて、知覚することや、動かすことに慣れが必要な筋肉といえます。
だからこそ「うまく動かせているのかわからない」という声が多いのですが、コツをつかめば誰でも意識できるようになります。

骨盤の底にハンモック状に広がる骨盤底筋をやさしく示した解説イラスト、パステルカラー

妊娠・出産で大きな負担がかかる

妊娠中はお腹の赤ちゃんの重みを長い期間支え続け、出産時には赤ちゃんが通るために骨盤底筋が大きく引き伸ばされます。
骨盤底筋は妊娠、出産、肥満、加齢、運動不足、筋力不足などが原因で弱ってきます。
特に出産時には胎児が通るため、大きく引き延ばされ、骨盤底筋に大きなダメージが加わります。

ここで知っておきたいのが、ゆるむだけが問題ではないという点です。
一般的に骨盤底筋がゆるむと尿もれになると思われることが多いですが、骨盤底筋が硬くなってしまい、うまく働かないこともあります。
分娩時の傷や痛みで筋肉がこわばってしまうケースもあるため、「締める」だけでなく「ゆるめる」意識も大切なのです。


ゆるむとどんな不調が起こる?

骨盤底筋の働きが弱まると、体にはさまざまなサインが現れます。「産後だから仕方ない」とあきらめてしまう前に、どんな不調とつながっているのかを知っておきましょう。
原因がわかれば、対策への一歩が踏み出しやすくなります。

尿もれ・腰痛・ぽっこりお腹

もっとも代表的なのが産後の尿もれです。
尿もれや腰痛、臓器下垂や、ぽっこりお腹、体型の崩れなどと骨盤底筋は、医学的に関連性があるといわれています。
くしゃみや咳、抱っこで力んだ瞬間に少しもれてしまうのは、尿道を締める力が弱くなっているサインです。

また、骨盤底筋のゆるみは腰痛や下腹のぽっこりにもつながると考えられています。
骨盤底筋はお腹の奥の筋肉とも連携しているため、ここが弱ると体幹全体の安定感が失われ、姿勢のくずれや腰への負担にも影響するのです。

「産後だから」とあきらめないで

「そのうち自然に治るかも」と様子を見ている方も多いですが、適切なケアをするかどうかで回復のスピードは変わってきます
骨盤底筋を鍛えることで尿もれは改善されることも多いのです。
体からのサインに早めに気づいて、できる範囲でケアを始めることが、快適な育児生活への近道になります。

ただし、産後すぐのきついガードルには注意が必要です。
骨盤底筋や靭帯に負担をかけ、回復を遅らせてしまうことがあります。

産後4週間以上はきついガードルをつけるのを止めて、体を休ませることに専念してくださいね。
同じ理由で、腹筋運動もこの時期は控えておきましょう。


エクササイズを始める時期の目安

やる気になったからといって、いきなり始めるのは禁物です。
産後の体はデリケート。
適切なタイミングで始めることが、体をいたわりながら効果を出すためのポイントになります。

会陰の痛みが治まってから

出産直後の骨盤底筋は、傷ついて収縮する力が落ちている状態です。
会陰の痛みが治まったら、お産の重かった人も軽かった人も、骨盤底筋トレーニングを始めましょう。
目安としては会陰の痛みの治まる時期を目安にスタートし、1日2回それぞれ10分間、少なくとも産後8週頃まで行ないましょう。

とくに次のような方は骨盤底筋への負担が大きかったと考えられるため、意識してケアするのがおすすめです。

  • 妊娠や出産後に、ひんぱんに尿もれをした
  • 分娩の途中、子宮口が開いてから子どもが産まれるまで5時間以上かかった
  • 3500g以上の大きな赤ちゃんを産んだ
  • 出産後1週間経っても子宮が下がっている

本格運動やリハビリは産後2ヶ月以降

軽いエクササイズは会陰の痛みが治まってから始められますが、より本格的な運動やリハビリは体が回復してからにしましょう。
専門家によるとリハビリについては産褥期を過ぎた産後2ヶ月以降をおすすめしております。

帝王切開だった方は、必ずお医者さんに相談してから始めてください。
自分の体調と相談しながら、無理のない強さや回数で行いましょう。
帝王切開の場合は、お医者さんに相談してから行いましょう。
体調には個人差があるので、焦らず自分のペースを大切にしてくださいね。


まずは骨盤底筋を感じてみよう

エクササイズの第一歩は「どこを動かすのか」を体で理解することです。
ここを飛ばしてしまうと、せっかくの努力が空振りになりがち。
感覚をつかむだけで効果が大きく変わります。

「尿を止める」イメージがコツ

まずは骨盤底筋がどこにあるのかを感じてみましょう。
排尿を止める、またはオナラを我慢するように、腟と肛門に最も近い部分の筋肉を絞るよう締め付けてみましょう。
このときギュッと引き上がる感覚がある部分が、まさに骨盤底筋です。

別のイメージとして、ゆるんだ骨盤底筋を膣からお水やゼリーなどを吸い上げるように引き上げて縮めます。
という表現もわかりやすいでしょう。
自分にしっくりくるイメージを見つけてみてください。

なお、トイレで実際に排尿を止める練習は避けてください。
尿路感染症のリスクがあります。

(ただし、トイレで実際に排尿を止めることは尿路感染症のリスクになるのでやめましょう。
)あくまで感覚をつかむためのイメージとして使いましょう。

お腹やお尻に力を入れない

骨盤底筋を動かすときにありがちな失敗が、ほかの筋肉に力が入ってしまうことです。
腹筋、臀筋(お尻の筋肉)、大腿筋(太ももの筋肉)をなるべく使わないよう意識しましょう。

とくに座った姿勢だと余計な力が入りやすいので、お腹に片手を当てて、下腹部がふくらまないか確認しながら行うのがおすすめです。
おなかが動いていなければ、骨盤底筋だけをうまく使えている証拠です。

仰向けで膝を立て、お腹に手を当てながらリラックスしてエクササイズをする女性


スキマ時間でできる簡単エクササイズ

いよいよ実践編です。
育児中のママにとって、まとまった運動時間を確保するのは至難の業。
だからこそ「ながら」でできる方法が続けるカギになります。
無理なく生活に溶け込ませていきましょう。

基本のケーゲル体操

もっとも基本となるのが、仰向けで行うケーゲル体操です。
仰向けに寝て、足を肩幅に開き、両膝を軽く曲げて立て、体をリラックスさせます。
その姿勢から、息を吐きながら、尿やおならを我慢するイメージで骨盤底筋をキュッと締める。
このときに下腹部が膨らまないように注意する。

締める時間の目安としては、骨盤底筋を“尿を止める”イメージで締め、5秒キープ、5秒リラックスを1セットとし、1日3セット、1セット10回を目標にします。
最初から5秒がきつい場合は、短い時間から始めて少しずつ伸ばしていけば大丈夫です。
大切なのは締めることと同じくらい、しっかりゆるめること
締めっぱなしにならないよう、リラックスの時間も意識しましょう。

お尻を持ち上げるヒップリフト

慣れてきたら、大きな筋肉も一緒に使うエクササイズを取り入れると効果を実感しやすくなります。
ヒップリフトは、骨盤底筋を鍛えるだけでなく、お尻や太ももの筋肉を鍛えることもできます。
仰向けに寝て、膝を曲げ、足を床につけます。
その状態でお尻を持ち上げ、骨盤を天井方向に押し上げます。
この状態で、骨盤底筋を収縮させ、5秒間維持します。

専門家も、骨盤底筋だけでなく、大きな筋肉である大臀筋や内転筋も一緒に鍛えるので、その点は比較的にわかりやすいとすすめています。「効いている感覚」がつかみやすいので、モチベーションの維持にもつながります。

抱っこや家事の合間に「ながら締め」

忙しいママにいちばんおすすめなのが、日常動作に組み込む方法です。
継続のコツは、歯磨き中や子どものお昼寝中など、日常の隙間時間に取り入れることです。
短時間でいいので、毎日どこかの時間でおこなうようにしましょう。

たとえば、赤ちゃんを抱っこしながら信号待ちのあいだ、授乳中、洗い物をしているとき・・・そんな何気ない瞬間に「キュッと締めてゆるめる」を数回繰り返すだけでOKです。
座った姿勢でも行えますが、座った姿勢では腰やおなかに力が入りやすいので、おなかに片手を当てながら確かめ、腹筋を使わないよう気をつけるのがポイントです。「特別な運動」ではなく「生活の一部」にしてしまえば、無理なく毎日続けられます。

リビングで赤ちゃんを抱っこしながら笑顔で過ごす30代の母親、明るく穏やかな雰囲気


効果を実感するための続け方

骨盤底筋のケアは、残念ながら一日で劇的に変わるものではありません。
だからこそ「どう続けるか」がもっとも重要です。
挫折しないためのポイントを押さえておきましょう。

まずは3ヶ月を目標に

骨盤底筋の強化には、どうしても時間がかかります。
トレーニングの効果をしっかり出すためには、少なくとも15〜20週間(4〜5ヶ月程度)は続ける必要があると考えられています。
そのため、まずは3ヶ月続けてみることを目標にしましょう

専門家も、どの骨盤底筋トレーニングもスカッと症状が改善するわけではありません。
まずは3カ月続けてみてください。
と語っています。
日々の変化は感じにくくても、数ヶ月単位で振り返ると、もれる量や頻度が減っているといった変化に気づけるはずです。

変化のチェックでモチベアップ

続けるコツは、小さな変化を見逃さないことです。
変化を確認する基準は「もれる量」と「もれる頻度」。
『これまで使っていた尿もれパッドより小さいのでよくなった』『なわとびはダメだけど、ジョギングではもれなくなった』などと改善の傾向が見られれば、トレーニングを続けるモチベーションにもなると思います。

うれしいことに、骨盤底筋のケアは尿もれ以外にもよい影響が期待できます。
骨盤底筋の機能がアップすると、尿もれが改善するだけでなく、生理痛やPMSが軽減する可能性も期待できるとされています。
体全体の調子が整えば、育児にも気持ちの余裕が生まれますね。


気をつけたいことと相談の目安

安全に続けるために、知っておいてほしい注意点があります。
無理をせず、必要なときには専門家を頼ることも、大切なセルフケアのひとつです。

無理せず自分のペースで

骨盤底筋のケアは、頑張りすぎないことが何より大切です。
骨盤底筋が弱っていたりダメージを受けていたりする場合は、無理のないよう注意しながら根気よく続けることが大切です。
体調のすぐれない日は思い切って休んでかまいません。
育児で疲れているときに無理をすると、かえって体に負担をかけてしまいます。

「完璧にやろう」と気負わず、思い出したときにキュッとするくらいの気軽さで十分です。
ママが笑顔でいることが、赤ちゃんにとっても何よりの環境になります。

専門家に相談したほうがよいケース

セルフケアを続けても改善が見られない場合や、症状が強い場合は、我慢せず専門家に相談しましょう。
尿失禁予防には、骨盤底筋トレーニングの継続が鍵です。
セルフケアで改善が見られない場合は、婦人科で超音波検査を受け、適切な治療プランを相談しましょう。

また、正しくできているか不安なときは専門家の力を借りるのも一つの方法です。
近くの医療機関などに骨盤底筋トレーニングに詳しい理学療法士がいれば、効果的な方法を教わることができ、より安全で効率的なトレーニングができるようになるでしょう。
最近では、エコーで骨盤底筋の動きを確認しながら指導してくれる施設も増えています。
気になる症状が長く続く場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。


まとめ

産後の尿もれや腰痛、下腹のゆるみといった不調は、多くのママが経験する自然な体の変化です。
その背景には骨盤底筋のゆるみが関わっていることが多く、日々のちょっとしたケアで少しずつ改善が期待できます
まずは「尿を止めるイメージで締めてゆるめる」感覚をつかみ、抱っこや家事、授乳のスキマ時間に取り入れてみましょう。

効果が出るまでには数ヶ月かかるのが普通ですから、焦らずまずは3ヶ月。
もれる量や頻度の小さな変化を励みに、無理のないペースで続けてみてください。
体が軽くなれば、赤ちゃんとの毎日はもっと心地よく、もっと楽しくなります。
あなたの体をいたわる時間は、家族みんなの笑顔にもつながっています。
今日から、できることから少しずつ始めてみませんか。

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